見出し画像

アヘン戦争は僅差の可決。「私はユニオンジャックに誇りを持てなくなる」

19世紀後半のイギリスの自由党の政治家。自由貿易政策を伸張させる。第3次選挙法改正を実現させ、アイルランド自治法の成立をめざしたが保守派の抵抗で失敗。帝国主義競争の激化にたいしてはつねに批判的であった。

 グラッドストン William Ewart Gladstone 1809-98 19世紀後半のイギリスの、ヴィクトリア朝は典型的な二大政党時代であったが、その一方の自由党を代表する政治家であった。好敵手であった保守党のディズレーリが帝国主義政策を推進したのに対して、19世紀的なブルジョア自由主義の代表的政治家といえる。はじめ保守主義の政治家として出発したが、穀物法廃止に賛成して次第に自由主義貿易を主張するようになる。1860年にはパーマーストン内閣の蔵相として英仏通商条約の締結にあたるなど実績を上げ、1868年(明治元年に当たる)から1894年(明治27年、日清戦争の年)までの間に4次にわたって自由党内閣を組織した。

index.jpgくのりれけ

自由党の若手、グラッドストンの議会演説

「その起源においてこれほど正義に反し、この国を恒久的な不名誉の下に置き続けることになる戦争をわたくしは知らないし、これまで聞いたこともないと、明言できる。反対意見の議員は、昨夜広東で栄光のうちに翻るイギリス国旗とその国旗が地球上のどこにおいても侮辱されることはないと知ることで鼓舞されるわれらが兵士たちの精神について雄弁に話された。幾多の危機的状況のなかでイギリス国旗が戦場に掲げられているときイギリス臣民の精神が鼓舞されてきたことをわれわれは誰でも知っている。だが、そもそもイギリス国旗がイギリス人の精神をいつも高めることになるのはどうしてであろうか。それはイギリス国旗が常に正義の大義、圧制への反対、国民の諸権利の尊重、名誉ある通商の事業に結びついていたからこそであった。ところが今やその国旗は高貴な閣下の庇護の下で、悪名高い密貿易を保護するために掲げられているのである。

わたくしは、女王陛下の政府が本動議に関して本院にこの正義に反した、邪悪な戦争を教唆するよう説得することなど決してないと確信する。わたくしはアヘン貿易をどれだけ激しく弾劾しようと何の躊躇も感じない。同様な憤激をもってアヘン戦争を弾劾するのに何の躊躇も感じることはない。」

私は世界の港に翻るユニオンジャックを見るたびに誇りに満ちた気分になり、心は高揚した。しかしこのような非道なことをこの旗のもとで行うならば私は今までのような誇り高い気持ちを持つことはできなくなる。

当時のイギリス議会の半数は帝国主義に反対だった

「不義の戦争」とする批判があったが、清に対する出兵に関する予算案は賛成271票、反対262票の僅差で承認

わずか9票。もし否決されていたら当時の日本にも良い影響を与えたはずであり東アジアの今の関係にも影響していたのでは?


敬虔なクリスチャンであった自由党のグラッドストンは生涯をキリスト精神を政治に反映させることに注いだ。


ではまた

何かの形で社会に還元します。あるいは次回の無料記事に。でも水準保証の返金付きですから安心して、胸躍らせてどうぞ。