Web3.0とスタートアップに求められること
Web3.0、なかなかのバズワードになってきました。しかしWeb3.0は、2006年にNew York TimesでJohn Markoffが記事を書いており、新しい分野ではありません。
面白いことに、Metaへの社名変更やJack Dorseyの辞任など、今年は新しいWeb3.0に変容している気がしています。
簡単に振り返ってみましょう。
Web1.0
1990年代のインターネットを思い出してみてください。混沌とした散らかった状態で、一方的+受動的+静的であるウェブがコンテンツでした。ほとんどのユーザーはコンテンツ提供側に回ることはできませんでした。
Web2.0
2000年前後から、Google, Amazon, Facebook, Twitter, Appleなどを始めとしたテック企業が登場します。彼らは、繋がりやすく見つけやすく、インターネット体験を全く新しい物にしました。多くの人がコンテンツを作ることができ、動的+相互にやりとりができました。
Web3.0は、彼ら企業に渡った情報をユーザーが回復する流れになります。
Web3.0 2006~
Web3.0の捉え方は十人十色で、明確な定義はありません。
wwwの考案者であるTim Berners-Leeが提唱したSemantic Webをweb3.0と指すこともあります。
複数サイトを確認したところ、以下が共通する要点の様子。
ユーザー主導
分散型
至るところにある(ユビキタス)
ちなみに上記以外に、ブロックチェーン、パーソナライゼーション、AR・VR、ガバナンス、仮想環境etc.の機能に重きを当てる人も多々あります。
Web 3.0 日本
日本でも、今週だけで既に著名人各々の視点から活動が始まっています。
昨日社長退任を発表したSmartHRの宮田さんも、SaaS+FinTechなので何かしらWeb3.0に関係あるのでは…と推測しています(本当に勝手に。…でも多分違うんじゃないかな笑)。
スタートアップ企業が求められる対応とは?
ただでさえやることの多いスタートアップ。困りますね?いや、困ったことばかりではありません。
マーケティング
どの企業でも大きな対応を余儀なくされるでしょう。しかし、企業にとってもポジティブなことではないでしょうか。
どこまでも追いかけてくる広告を出す企業に、ユーザーがいい印象を持ちますか?
好きなアーティストの動画を開こうとして、広告が挟まれ待つことを好む人はいますか?
Web3.0は、ユーザー自身が企業のオンラインマーケティングにNoをつけつける挑戦状ですが、行き過ぎた企業への戒めのようでもあります。
コトラーのマーケティング4.0を読み返す時です!
準匿名性(Quasi-Anonymous)なパーソナライゼーション
セキュアなAIやデータを駆使した顧客体験向上サービス(CX)一貫した体験ができるオムニチャネル
顧客と企業の接点は多様化しました。準匿名的にコミュニケーションを行えて顧客がストレスを感じない複数チャネルでの包括的プラットフォームの必然性。関係値を強化するエンゲージメント
購入後のアフターフォローまでファン化を設計できるツール。
一貫した顧客視点のマーケティングに、今一度企業が立ち戻る必要があります。この会社からまた買いたい!と思ってもらえる体験の構築設計が、これからCMOが担う役割かもしれません。
マルチなサービス設計
顧客やユーザーが、広告ブロッカーに対応したOS/アプリを選択している可能性が増えます。
今もBrazeという広告ブロッカーが入ったブラウザが人気です。
広告ブロッカーをユーザーが利用していることで、Webアプリだと挙動が予期せず変わることは多々あります。
つまり、サービス提供側は今まで以上に様々なOS/ブラウザ/デバイスで動作することを想定し開発する必要があります。個々設定に依存しない非ネイティブアプリやミニアプリのニーズが再来するか、楽しみなところです。
また、エンジニア視点ですと、以下のニーズが一層出てきそうです。
仮想環境構築サービス
バージョン管理ツール
増えすぎた端末の自動テストツール
他サービスと情報を連動し合うiPaaS
セキュリティを担保できる分散型DB
言うまでもなく、上記設計ができるエンジニアは重宝されることでしょう。
人事設計
人の配置も分散型になり、従業員が企業よりパワーを持ち報酬も独断で決めて…となるにはまだ早い気がします。ただDeFiな通貨で支払いをして欲しいという従業員も出てくるかもしれません。
採用プロセスや人事評価が定期的に見直しされ、ヘッドカウントだけのKPIはなくなるのではないかと思います。
守り
スタートアップですので、DXは済ませてください。抑えないといけない点は今後増えて来そうですが、今の時点でできることは行っておきましょう。
GDPR/改正個人情報保護への対応
従業員のセキュリティ対策のためのIDaaS導入
中央集権的サービスの利用継続の検討(?)
Web3.0がスタンダードな世界では、Googleを使っているだけでユーザーから石を投げられ利用ストライキをされてしまうのでしょうか…?
終わりに
冒頭出たNew York TimesのJohnはこう言います。
Johnが求めるシステムは、残念ながらまだ世にないように思われます。いつ頃できるのでしょうか?
一方経営者やエンジニアにとって、Web3.0でもやることは変わりありません。
Web4.0でも64.0でも、完璧にフィットした戦略を企業が実行する必要はなく、アジャイル開発やPMFのように改善し続けて企業に合った形を作っていくのです。
新規市場で生じる負を見落とさず、ユーザーが求めるサービスを作っていけた先に何があるのか、楽しみです。
参照リンク
https://www.ontotext.com/knowledgehub/fundamentals/what-is-the-semantic-web/
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