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【日本のロックを熱く語る】エレファントカシマシ#2

エレファントカシマシ、まさかの第二段である。
前回、ガストロンジャー一曲を語って終わってしまったので、さすがにそりゃ違うだろうと思って第二段を書くことにした。

エレファントカシマシのスゴさはそれはたくさんあるけれど、どうしても外せないのは、やはりヴォーカルの宮本宏さんのあの存在感だ。
(長くなるから)ここでは敢えてトークの話は避けるとしても、あのステージでの無敵の優しさとカッコよさは一体何なのだろう?
しかも、それらが装うことなく常に自然体なのだ。
まさに、ステージに立つために産まれてきたようなお方だと思う。

ちなみに以前、日比谷公会堂でのライブに参戦したとき、宮本さんはMCで、
「家に出るゴキブリをスリッパでこう叩く、こう叩くんですよ!」と、素振りを交えて話をしておられた。
どこの世界のロックバンドのヴォーカルがそんなMCをするだろうか?しかし、ファンはそれをまたやってる…みたいな感じで温かく見守り、当然宮本さんのカッコよさは微塵も崩れることはない。不思議な人だなと思う。日比谷公会堂で、ゴキブリの話だ。

しかし、そんな彼が一旦マイクを握ると、カッコいい曲ではひたすらに男らしく、優しげな曲ではあくまでも自然に振る舞う。本当に素敵な人だと思う。

エレファントカシマシの名曲は無限にあるけれど、
カッコいい曲から一曲。

【悲しみの果て】

この曲は、なんとも言いがたい心情になる曲だ。

悲しみの果てに何があるかなんて
俺は知らない 見たこともない

そうやって始まるこの曲だが、わたしは宮本さんは悲しみの果てを見たことがある人だと思っている。
わたしもかつて似た経験をしたことがあるからだ。
あ、ここが悲しみの果てなんだ、と。

涙の後には笑いがあるはずさ
誰かが言ってた 本当なんだろう

宮本さんが作る歌詞は、自分のことを歌う曲以外のほとんど全ての曲が、最終的には聴く人たちの応援歌になっていると思う。

この悲しみの果てでも最後には、

悲しみの果ては 素晴らしい日々を
送って行こうぜ

と、悲しい曲では終わらせていない。
むしろ、悲しみに暮れた人々を励ましている。
この曲は稀に見る名曲なので聴いてみて欲しい。

そして、優しい曲から一曲(かなり迷った!)
【武蔵野】

エレファントカシマシの曲には優しい曲の方が多いかもしれない。例えば今宵の月のようになんかもとても優しい。しかし、敢えて武蔵野を選んでみた。

この曲の一番のスゴさは、なんとワンフレーズ目に既に登場している。

俺は空気だけで感じるのさ
東京はかつて木々と川の地平線

初めて聴いたとき、わたしは耳を疑ってしまった。
空気だけで感じる…?
かつて、まだ自然のままだった頃の東京の風景を、現代の空気だけで感じる人がいるだなんて…
宮本さんの感性がそういうものなのだろうとしか言いようかない話だが、未だに信じられない気持ち。

宮本さんは他の曲でも至る所でそれに似たようなことを歌ってはいるが、空気だけという表現は、おそらくこの武蔵野だけだと思われる。

わたしは一度、この人が見ている世界が見てみたいと思う。おそらくそこは時間を超えた世界だろう。武蔵野では、そんな遠い過去の風景が浮かんでは消えていく。むしろそれしか歌っていない曲なのだ。
しかしわたしはそこがとてもいいなと思っている。

そして、最後にはこう締めくくられている。

武蔵野の川の向こう 乾いた土
俺たちはたしかに生きている

この終わり方が本当に大好きだ。
いつ聴いても胸にじーんとくる。

この世界観は言葉では説明しづらいけれど、かつては木々と川の地平線だったその同じ場所、この東京に今、わたしたちはたしかに生きている。
武蔵野を聴くと、自分も含めたその土地の歴史の奥深さを少しだけ、感じられるような気がするのだ。

スゴいことだと思う。ただ感嘆を覚えるばかりだ。

まだまだ名曲は山ほどあるけれど、語り尽くせるはずもないので二曲だけ厳選した。
個人的には精神暗黒街とか昔の侍なんかも大好き!


日本が誇るべき日本のロックバンド、男!エレファントカシマシ。
ここまで正統派かつ型破りなロックバンドはちょっとお目にかからない。
彼らはわたしたちリスナーをずっと励まし続けてくれている。
「生きようぜ!」
それはまさに、彼らからの魂からのメッセージだ。
ロッカーで良かったなと思わせてくれるバンドだ。





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