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【詩】血潮

遥か昔に生きた人と自分を重ねるとき
次第に自分の姿が無になり空となり
やがてすっかり消え果てて
かつてその人が見た光景が見えてくる
そんなときがたまにある

一番分かり易いのは朝方
昇る朝日を眺めるときに
彼の心の声が響いてくる
.
「さよならだ」
.
今日を生きるか死ぬか
そんな彼らの日常では
これが最後の朝日かと
別れを告げたのだろう
.
昔の侍が見たそんな光景を
子孫のわたしが眺めている
それがこの世の血潮の不思議


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