パラオの環境教育
JICA海外協力隊としてパラオに赴任していた川原和眞さんの活動現場を見せてもらう日、空は海の色と同じ水色に輝いていた。
川原さんはバベルダオブ島の先にある無人島で環境教育を行っているということで船で向かった。これがものすごいスピードでなかなか揺れるのでカメラマンも命がけ。
20分ほど走ると陸が見えてきた!
なんて美しい島。
女の子たちが島から走ってきて服のまま泳ぎだした。それはまるで海も陸も何も変わらないようなすごく自然な動きだった。
「彼女たち素敵ね」と声をかけると、「あれは私の娘なの。海があったらすぐ泳いじゃうんだから」とプロジェクトの準備をしながらこの学校の責任者のアンさんは言った。
彼女は川原さんの所属するエビルソサイエティという環境教育のスクールを立ち上げた人だ。自然豊かなパラオであっても人々が自然から乖離してきていると感じた彼女は15年前に子どもたちがこの無人島で自然について学べる環境教育を立ち上げた。今では小学校教育の一環としてパラオの全小学生がこの授業を受けるまでになっている。
そこで活動をしているのがこの川原和眞さんだ。もともと大学で森林生態学を学び、熱帯樹木の研究をしていたそう。そんな専門である樹木の知識も生かし、この子ども向けの環境教育の他、外来種駆除や植林などによる保全、希少生物の保護なども行っている。
子ども向けの授業の内容は海藻の種類を見分けたり、マングローブの生態系について学んだり、ゴミ拾いをして漂着物や観光客が残していったものに分類し、それを減らすにはどうしたら良いかを考えたりしているという。キャンプをすることもあるそうだ。
パラオの子どもたちは海にはよく接しているので海のことはよく知っている。なまこの種類に詳しい、とか。でも海への注目だけでなく、陸の森林生態を守れるようにと、彼はこの授業に加わって教えているのだ。
ちなみにこちらはたまたまお目にかかれた絶滅危惧種のパラオツカツクリという鳥。
そしてこれが外来種。
この外来種が島の在来種を駆逐していたため、ソサイエティのメンバーと一緒に駆除を行ったそう。
そんな説明を聞いていたらいつの間にか子どもたちが集まってきていて、いよいよ授業がスタート。
今日の授業は考古学。まずアンさんによって分類の説明がされる。陶器のカケラなど人が作ったもの、海のもの、石など・・。
今日はこれを島の中で拾い集めてきて、その後、分類、分析し、その場所がかつてどういう場所であったのかを読み解くというものだ。
子どもたちには冒険バッグが渡される。中にはメジャーや杭や袋、レポート用紙などが入っている。
冒険バッグを手にした子どもたちの目は輝きだした。そりゃあこんな専門家みたいなカバンを渡されたらワクワクするよね。いざ、出発。
グループに分かれ、それぞれ違う場所の2メートルほどの中に落ちているものを収集していく。
思った以上にいろんなものが落ちていた。
戦争時に日本軍が置いていったというものも。
「ここは陸地なのに貝がたくさん落ちていた場所。どういう可能性が考えられる?」という問いかけに「人が持ち込んだのかもしれない。議事堂のような場所だったんじゃないかな」という推測も。
私は自分が同じような活動をしているので、このスクールに興味津々。こんな風にして子どもたちを惹きつけるのか、とそのアイデアの一つひとつがとても勉強になった。
ただ触れるだけではなく、それを分析し、自分の頭で考えていくこと。深める作業をグリーンジャーニー でも子どもたちの成長とともにもっとやっていけたらいいなと思った。
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