見出し画像

響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 前編 武田綾乃

リズと青い鳥。

アニメで言うところの、所謂久美子2年生編(誓いのフィナーレ、アンサンブルコンテスト)に当たり、共に映画公開でアンコンは今作後日譚の短編原作でありますから、『誓いのフィナーレ』とスピンオフの映画『リズと青い鳥』の原作となります。
今作の前編では、コンクール部内オーディションが終わった辺り迄が描かれています。
随所にリズ感も、散りばめられています。

2019年
2018年

で原作、手に入り難いです。
3のアニメが始まる頃には、何とかなると良いのですが、最終楽章(前後編)は兎にも角にも、立華(前後編)と短編(ヒミツの話、吹奏楽部活動日記)をすっ飛ばしました。


北宇治高校吹奏楽部、奇跡の大躍進(復活)の1年を経て、黄前久美子も2年生となりました。
部長が吉川優子で、副部長に中川夏紀と言う、中々に騒々しいコンビですね。

全国出場効果で、有望な新入生も加わって、いよいよ北宇治の黄金時代が到来するのかと思えば、まぁそんな甘い話でもありませんでした。
有望な新入生である事は、紛れも無かったですが、見事に問題児…訳有揃いで、"黄前相談所"と称される久美子の出番であります。
本人にとっては不本意でも、信頼と実績の"黄前相談所"となっております。
久美子が流され易いのは、自他共に認めるところでありますが、実際譲れない部分では頑固で一切譲りませんから、全くの無問題かと思いますけれど、だからこそ余計な問題を抱えてしまう事になるとも言えます。
ホント周囲を良く観察出来ますし、瞬発力は無いのかも知れませんし、閃きの様なものも無いですが、後から気付いて対処出来るだけでも、充分過ぎるのでは無いかと思います。

久美子は、3年生の加部(友恵)ちゃん先輩と共に1年生担当として抜擢されますが、その辺りも他の2年生では適任者が居ない様な感じです。
加部ちゃん先輩の行動原理や考え方は、久美子とは対極的な感じですが、だからこそ学ぶべきところはあるでしょうね。
良くも悪くも一軍体質のところが垣間見えて、バランスとしては偏りを感じ無いでも無いのです。
無論、それは努力を積み重ねて来た結果でもありますから、改める必要は当然ありませんが、現状のスタンスを続けるのであれば、自らを苦しめる枷になるのは確かなので、色々な考えを知る事はマイナスにはならないでしょう。

問題児達とは言っても、演奏者としては皆有望株でもある訳ですが、W鈴木こと鈴木美怜(みっちゃん)は、演奏に関しては堅実で真摯でありますが、若干コミュニケーションに難があり、貴重な男子部員である月永求は無気力丸出しで、何と言っても久石奏は一見ちゃんとしている様で絶妙に攻撃的で、アニメで流れをしっているにも関わらず、読んでいてハラハラしていました。
それでも、自ら吹奏楽部に入部して来た事は確かな事実ですから、そこは久美子の出番なのでしょうね。

先輩後輩の軋轢は、何も吹奏楽部だけの専売特許では無いかと思われますが、スポーツであれば実力の比較や数値化は容易ですが、芸術系となると難しいところがあるのは理解出来ますが、そこで感情論を錦の御旗にするのは明らかに間違っています。(コンクールメンバー選定での話です)
まぁ団体スポーツであれば、直接的なライバルは共に、大抵はベンチ入り(登録)メンバーとなる筈ですし、そもそも公式試合では両者出場も可能ですから、やはり吹奏楽コンクールはよりシビアになるのかも知れません。
だからと言って、当然許される訳でもありませんが、逆に上手下手でコンクール以外の全てを図るのもまた、大いに間違いであります。
それこそ、一軍体質です。

そう言ったメンバーの一方で、剣崎梨々花が少しだけ登場して、飄々として掴み所も無さそうな雰囲気を醸し出していましたが、見ているところは見ているなと言った印象もあり、案外1年生のキーパーソンと言うか、タイプは違いますが久美子的ポジションに収まるのかも知れません。
梨々花は、"リズ"の鎧塚みぞれと同じパートで、関係性を改善したいと久美子に相談する程ですから、見所があるのは確かでしょう。

何れにしても、久美子の気苦労が終る事は無さそうですが、放り投げる事も無く踏み込む事が出来るのが、黄前久美子その人なのです。

この記事が参加している募集

読書感想文