maijima

小説を書いています。梨と桃と5月が好きです。

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最近の記事

【掌編】自然発火した同級生のテラダ

 一週間前の数学の授業中にクラスメートのテラダが自然発火するという事件が起き、その自然発火によってテラダは死亡した。  警察がいくら調べてもわからなかった自然発火の原因だったが、テラダは学校中の嫌われ者だったので原因不明だろうがなんだろうが皆心底どうでも良く、誰もが口を揃えて「風通しが良くなって幸いだね」などと言い合って、大変に喜んでいた。  ああ、無情なり人の世、こいつらは本当に人間なのだろうか、どいつもこいつも人の命をなんだと思っているんだろう?この学校には性根が腐りきっ

    • 精神迷宮膝栗毛#2「江ノ島へ。後編」

      ↑前編はこちら 新江ノ島水族館の充実した展示を堪能した私たちは水族館を後にした。 国道134号線沿いのお店でしらす丼を食べながら、バル姉が最近見たという悪夢の話を聞かされる。 「夢の中の私の手元に借りた憶えのないTSUTAYAのDVDがあるんだ。配信でいくらでも見れるというのに一体私は何を借りたんだとDVDケースに貼られたラベルを見ると『ダンボ』って印字されてて……そこは、まあいい。さもありなんだ。私好きなんだ、ダンボ。サイケだろ?ディズニープラスにも入ってないしな。……そ

      • 精神迷宮膝栗毛#1「江ノ島へ。前編」

        2023年10月2日 バル姉(ばるねえ)に誘われ江ノ島へ行くことになった。 バル姉とは私のほぼ唯一と言っていい友人で、その名前の由来は、かつてサイケデリックな女になりたいとアフロのウィッグを被っていた時期があるらしく、その姿がサッカーコロンビア代表のバルデラマ(コロンビアの英雄)にあまりに酷似していたため周囲からバルデラマ姉さん略してバル姉と呼ばれるようになったと伝え聞くが、真偽は定かではない。 無論、今となってはストレートヘアのバル姉いわく江ノ島には日本三大弁天である江

        • 掌編集「ケンとミオとヒナとヨシ」#1

           Chapter 1 修学旅行   いつも僕ら四人は、みんなとはぐれる。  修学旅行に来てもそれは変わらない。  戦場ヶ原って広いんだな、すげえーだとか、マジで戦いあっただろ、すげえーだとか、ところで何と何が戦ったんだっけか、すげえーだとか各々が感想を言い合っていたらクラスの皆の姿はどこにも見当たらなくなっていた。 「何が戦ったかって、沼の神様と湖の神様だよ。」とミオが言う。 「どっちが勝ったの?」と僕。 「そりゃ湖の神様でしょ。だから大きい水たまりには湖って名前がついて、

        【掌編】自然発火した同級生のテラダ

          連載小説「ミズサワさんとフジムラくん」#1

          Chapter1天国の入口はいつも地獄  「水沢能力開発センター」とは僕の所属する学校非公認の同好会の名である。設立者であり会長である同級生の水沢さんが考案したコーチングプログラム(潜在意識への働きかけ並びにハイヤーセルフとの対話)を通し、ワンネスに至ることを目的としている。会員は僕と水沢さんの二人のみであり――僕自身に入会した覚えは全くなく、知らぬ間に、気づけば、勝手に、この同好会の一員に組み込まれていた――日夜活動に勤しんでいる。    そんなわけで、今日も今日とて水沢

          連載小説「ミズサワさんとフジムラくん」#1

          短編小説「ミズサワさんとウンコとカラタネオガタマと」

          はじめに(あらすじ、注意事項) 同級生の水沢さんに「うんこからメロンの香りがするんだけど……」と言われた主人公藤村君が渋々水沢さんのうんこの香りを嗅いでみる、という内容の小説になっています。 小説内にうんこ等出てきますので苦手な方、食事中の方は避けてください。 Chapter0 二人だけの五月祭  女子は皆柔らかいものだと思っていたがとても硬かったことに驚いた。  乳房の話ではなく、唇の話でもない。じゃあなんだ、お腹か手のひらか?いや耳たぶか?はたまた二の腕か?なるほど

          短編小説「ミズサワさんとウンコとカラタネオガタマと」