実用書「楽して幸せを手に入れる80対20の法則」よがり論
正直この本に関しては「よがる」必要はないと思う。
だって書かれていることは真理。
ムダがなくてすっきり分かりやすい。
著者はリチャード・コッチ。億万長者のような経歴と肩書があるけれど、実際はとても質素。
その理由がこの本に書かれている。
まず、80対20の法則とは?と疑問に思う人が多いだろう。
一体なんの比率なんだ??ってね。
80対20の法則とは、ユダヤ教で語られる自然界の絶対的比率79対21。すべてはこの法則で説明できる、と断言されている。
そして、ビジネス界で大きく注目を浴びた。多くのビジネス書にこの法則が適用され、我が物知りで語られている。
この本も雑に言ってしまえばそんな本。
結果の80%は原因や努力といった残りの20%で実証される、というもの。
まあ、そんなことはどうでも良いと。
大事なのは、この法則が私たちに何の関係があるのかってこと。
人生生きていると、さまざまなことがある。
仕事はつまらないし
恋人とは上手くいかないし
友人とは疎遠になる
家庭が上手くいかず、離婚寸前や冷戦状態の人だって多いだろう
そんな「なぜか上手くいかない」ことを、上手くいかせるために活用するのがこの法則。
そう知ったなら、少しは興味が湧くんじゃないかと思う。
わたし自身は、この80対20の法則を随分前に知っていたから、そこまで大きな驚きはなかった。
強いて言うなら、この本には「より具体的に法則を使わせようとする」パワーがあるところ。
さて、この本の何が面白いかって言うと、それは「努力をするな」と言っている点にある。
このご時世「出世しろ」「見た目を磨け」「トークスキルを鍛えろ」「中身のある人間になれ」と、これでもかというくらいタスクに溢れる中、この本は「いらんことばかりするな」と言っている。
これが面白くないはずがない。
具体的に言うと
「働くな」
「稼ぐな」
「物を欲しがるな」
「交流会ばかり行くな」
といったところ。
どれも現代社会に逆らう内容で、面白い。
すべてに理由を説明していて、腑に落ちるのだけれど、どうしても慣れないのが「20%の力で生きろ」という点。
フルで活動する現代人及びわたしには、ライオンの口の中に飛び込めと言われている様なもの。
この現状に慣れている身としては、恐怖心の方が打ち勝ってしまう。
しかしながら、豊かなこの時代に生きている割には、いつも不満や不安を抱えているのが現状で、そこから抜け出せず死んでいく人も多い。
多くの人は頑張り過ぎているからだ、と著者は言う。
頑張ること、成長することが美徳とされる現代では「100%の力で取り組むことが大切」と教わる。
多くの人は100%はムリにしても、90%とか80%の力で毎日を乗り越えていると思う。
頑張ることは素晴らしいし、多くの人が努力している。
幸せな人生や温かい家庭、お金持ちになるため奮闘している。
しかし、幸せな人は少ない。
なぜ?
最初に戻れば「努力のし過ぎ」が原因、だそう。
世の中のすべてのこと、自分の人生を豊かに、幸せにするためには90%の努力はやりすぎ。20%の力で生きろ、というのがこの本のメッセージ。
つまり、わたしたちが不幸なのは90%の力で生きているから。
だから、幸せになりたいなら「20%で力で生活すること」が重要になる。
多くの人がやりたくもない仕事で疲弊しているだろう。
お金を得るために日夜働き、残業もする。
なぜなら、お金があれば好きなものを買え好きなものを食べられ、好きな場所にいられる。
そういったご褒美があるから頑張れる。
しかしながら、現実は給料は少なく日々の生活で精いっぱい。中には副業に手を出して、時間を切り売りしてお金を稼いでいる人もいる。
それでもお金は増えない、時間は減る一歩だから自由はない。
家族や友人、パートナーとも疎遠になり、良いことは全くない。
その原因は、「80%のムダな努力をして、20%の大事なものを失っている」から。
時間がなければ自分の人生を豊かにできない。
そんなことは皆、分かっている。
それでも時間を売り払ってイヤな仕事をするのは、「お金がたくさんあればいつか幸せになれる」と思っているから。
しかし現実は反対。
お金を稼ぐために費やした80%の努力は、健康被害や親しい人との破局、日々の鬱憤へと姿を変える。
これが20%の結果。
そうではなく、したくないことはしない。
したいことがあるなら、20%の力で80%の結果を出す。
これがこの本の核となる部分。
今まで費やしていたムダな80%をなくし、20%の力で最大限の効果を得る。
これこそが、幸せな人生を生きるために必要だ、と著者は言う。
たしかに全人類が「楽して生きていきたい」と思う。
しかしムリだと知っている。
幸せには犠牲が必要だと思っている。
それこそが間違いなのだと気付く必要がある。
生活をしていて「これイヤだな」「これは心地良いな」と思う瞬間があるだろう。
楽して幸せになるためには、まずこの気持ちを大事にする必要がある。
多くの人は「イヤだけどやらなきゃ」「好きじゃないけど努力しなきゃ」と考えがち。
この考えが不幸の始まりで、幸せを遠ざけている。
なぜなら幸せには犠牲が必要で、何かを得るには何かを犠牲にしなきゃいけないと思っているから。
犠牲にするものは何もない。
唯一あるとすれば「思い込み」ぐらいだろう。
世の中には、承認欲求を満たすことに精を出している人が多すぎる。
良い家に住み良い服を着て、イカした仲間やパートナーとエンジョイして、誰もが羨む仕事に従事している。
そして有り余るほどの富。こういった人間になりたいと多くの人が願う。
だから努力をする。
100%の力で挑戦して、得るものは何もなく死んでいく。
それが現代社会。
優秀なマーケターたちが作りだした資本主義社会の完成だ。
しかし、わたしたちの本当の幸せは、良い家にも大量のお金にも潜んでいない。
私たちが本当に求めているのは、安心できる人との関係性と少しのお金、穏やかに暮らせる日々ではないだろうか。
そしてこれらは、20%の努力で手に入る。
今のように100%で生きる必要は全くない。
内容はカンタンだ。
〇やりたくないことは全てやめる
〇自分が真に求める幸せを厳選する
〇それらを手に入れるために、どれだけ努力せず最短で実現できるか考える
〇幸せとそれに至るまでの過程が決まればあとは頑張らない
以上で事足りる。
しかし、現代人にはハードルの高すぎる内容であるのは、火を見るより明らかで、多くの人が「あ、そう。自分には関係ないわ。意識高い人どうぞ~」といった心持だろう。
正直わたしもそうだ。
なにより「頑張らず結果を手にする方法」が浮かばない。
わたしは怠け者だし努力はキライ。
分かりやすくキライなものはキライ、好きなものは好きと断定する。
そんなわたしでも、この本の内容はハードルが高い。
そして皆そうだろう。
だからわたしは考えてみた。
洗脳された現代人を、潜在的な怠け者ではなく「リアルな怠け者」に仕上げるにはどうすれば良いか。
答えはこうだ。
やりたくないことはしない。
これが一番シンプルで挑戦しやすい。
20%の努力で~といった話はもっと後で、とりあえずわたしたちは洗脳を解かなければならない。
お金はたくさん要らない
家賃の高い家は必要ない
ハイスペックなパートナーじゃなく、真の関係が築ける相手を見つける
頑張ることが美徳じゃない
これらを解かないことには先には進めない。
やりたくない仕事を辞めるわけにはいかない。生活が懸かっている。
ごもっともな意見です。
だから辞める必要はない。
20%の力で働けば良い。そして80%の給料を手に入れたら良い。
少ない努力で成果を手に入れたら良い。
子どもがいるから家事や育児に手を抜けない。
ごもっともな意見です。
それなら家事代行を使ったり、いっそのこと家事を完璧にやらない、という方法を取ったりするのはどうでしょうか。
必ずしも100%で家事育児をする必要はない。
子どもが本当に欲しいのは「親の愛情」「親と過ごす時間」だから。
多くの人が洗脳されている。
多くのバイアスに囚われている。
幸せはモノを手に入れることでも、分かりやすいステータスを手に入れることでもない。
極限まで楽をして親しい人と同じ時間を過ごす。
これが本来の幸せではないだろうか。
この幸せには20%の努力だけで良い。
そのことに気付こう。
以上、「楽して幸せを手に入れる80対20の法則 著者:リチャード・コッチ」を読んだ、よがり論でした。
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