「試着してから買う」のルールを破って。タイミングに呼ばれて買ったワンピースのはなし。
服を買う時のマイルールがある。
「試着してから買う」だ。
どんなにネットで素敵な写真が掲載されていても、まずは実店舗に赴いて素材感・丈感・着心地を検証しないと、買わない。
これは過去の数多い失敗から学んだマイルールだ。
けれどこの度、そのルールを破って1着のワンピースを購入した。
そのワンピースと出会ったのは昨年の秋頃。
あるショップでゆったりとハンガーにかかっていた。
スタンドネックのクラシカルなデザイン。
ウエスト部分にはシャーリングが入っており、
メリハリの効いたデザインになっている。
シックなブラウンの生地に細かい白い小花柄。
けれどまったく甘くなく、クラシックで大人なデザインがとても素敵だった。
試着しようと手にとり、お値段は・・と見てみると35,000円のタグ。
この価格は普段使いにはできないなぁ・・と断念。
どうせ買えないなら、と試着もやめた。
後ろ髪引かれながらショップを出た。
「あんなワンピース、着たいなぁ・・」と思いながら。
それからそのワンピースのことは忘れて半年ほど経った、先週の日曜日の朝のこと。
娘の保育園の年度末の発表会を控えたわたしは
着ていく服を何にしようか逡巡していた。
今日の午後は何も予定がないし、王道のセレモニー服を買いにでもいくか、と熱いコーヒーをすすりながら、窓の外の青空を眺めていた。
そのとき、あのワンピースのことがふわっと思い出された。
「あれを着て行けたら良いなぁ・・。」
スマホでそのショップのサイトを覗いてみた。
「ワンピース」で検索してみる。
あ、まだ売ってる。でも高いんだよな・・。
商品ページをクリックした。
50%OFFの表示が目に入った。
「え?」もう一度確認するわたし。
たしかに50パーセントOFFだ。
それはシーズンオフのアイテムが売れ残って値下がりしたのではなく、たまたまネット限定で期間限定の値下げを行なっていたところだった。
でも。と思う。
「このワンピース、一度も試着してない。」
わたしのマイルール「試着してから買う」はぜったいだ。
過去にどれだけ失敗してきたと思うんだ。
もうひとりのわたしが止める。
でも。でもね。とわたしが言う。
これは、完全に呼ばれた気がする。
これは、ぜったいにタイミングとして間違いない。
「うん。」とひとり頷き、その場でカートに入れて決済をした。
+++
それから3日後、ワンピースが我が家に到着した。
まずはクローゼットにかけてみる。
うん。いい感じ。他の服とも馴染んでいる。
次に実際に着てみる。
「頼むよ・・」と思いながら、丁寧に着る。
袖や襟元をちゃんと直してから、恐る恐る鏡を見てみた。
そこには、ちゃんとワンピースに似合ったわたしがいた。
服の色彩も、サイズも、デザインもわたしにしっくりきている。
側で見ていた娘が「すてき!」といってくれた。
夫も「お、いいんじゃない?」とのこと。
きっと出会うべきタイミングは今だったんだなぁ、と思った。
+++
似合う服の見つけ方っていまだによくわからない。簡単にさくっと見つかるものでは決してないことだけは分かっている。
だからこそ、こんな風にタイミングが合って出会える服というのは一期一会の貴重な出会いなのだろう。
マイルールを破ってクローゼットへお迎えしたワンピースは、他の洋服たちと一緒にハンガーにかかって出番を待っている。
娘の発表会にはこれを着て出かけよう。
ピアスはやっぱりパールが良いかな、
靴はブラックのバレーシューズで、タイツはチャコールグレーにしようか。
主役は娘なのに、当日のコーディネートを想像して楽しむわたしであった。
昨晩はほそーい三日月が金星のすぐ隣にあって、とてもきれいな夜空だった。
娘とスマホで一生懸命写真を撮ったけど、まったく綺麗に写らず…
でも心の中にちゃんと焼き付けました。
暖かくしてお休みください。
良い夜を。
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