20社以上のPM課題をヒアリングしたんだけど、何か聞きたいことある?

「PMのことナニモワカラナイ・・・」

そんな理解曲線の谷から脱却すべく、この半年で多くの企業に協力いただきPMにまつわるペインをインプットしてきました。

ようやく「PMちょっとワカル・・・?」の兆しが見えてきつつも、この大きなペインは自分だけでは到底どうにもできない、と途方に暮れてしまう日々でもあります。

そんなわけで、今日はヒアリングしてきたペインの総まとめを公開。

プロダクト開発の現場で解決しなければいけないことを1つでも多く乗り越えて、明日のプロダクトがもっと良くなることにつながれば幸いです。

ヒアリング経路

この半年でPM課題についてお話しを聞かせていただいた方は今日時点までで23名。内2名はフリーランス、他は会社の代表や人事、現場のエンジニアまで幅広いです。

まずはこの場を借りてご協力に感謝。その節は本当にありがとうございました!

また、以下内訳を見てもわかる通り、カジュアル面談サービスの「Meety」は非常に活躍してくれました。ビジネスマッチングよりもカジュアルで、Twitterで募集するより要件が絞られて、本当にちょうど良いサービスでした。(回し者ではありません)

【協力者の経路内訳】
Meety:7社
友人知人:3社
PMコミュニティ:3社
既存取引先:3社
他、新規アポ:7社

前提

弊社が現在メインとしている事業は「PM支援事業」。この「PM」は職種や役割としての「PM」というより「プロダクトマネジメント」「プロジェクトマネジメント」への支援を通して対象プロダクトの成長に寄与したいという思いがあります。

私はいわば、そんなPM支援事業のPMです。

特に、弊社は創業メンバーが全員エンジニアバックグラウンドということもあり、「システム、ソフトウェア開発」に関連するプロダクトの支援をしています。

そんな弊社が定義する「PM支援事業」とは何なのか、今後どうすれば事業ミッションが達成できるのかを仮説検証するために、PM課題を持つさまざまな立場の方へのユーザーヒアリングを実施しました。

ヒアリング対象者

プロダクト開発には多くの立場の人が関わります。中でも、特にPMとの関係性が深く、課題があるのではないか、という人たちから順に話を聞きました。

① PMを仕事としている正社員、フリーランス
② 受託開発事業者としてプロダクト開発をする経営者、PM
③ 事業会社でプロダクト開発を発注する経営層(立ち上げ期)
④ 事業会社でPMを採用する人事、エンジニア部門(成長期)
⑤ 事業会社でPMを育成したい部長クラス、現場(成熟期)

ヒアリング方法

これはお話しさせてもらった時のこちら側の事業フェーズによっても多少ブレがありますが、なるべくどの対象者にも「オープンクエスチョン」から入ることを意識し、変なバイアスが入らないよう課題について機械的に6W3Hで掘り下げていくようにしていました。

【6W3Hとは】
When) その課題はどんな時におきるのか?
What) その課題は何なのか?
What for) それは何のためになるのか?
Why) なぜそれが課題なのか?
Who) 関係者は誰なのか?
Where) 発生場所はどこなのか?
How) 現在はどうやって解決しているのか?
How much) どのくらいの重要度なのか?
How often) どのくらいの頻度で発生するのか?

特に、④⑤のヒアリングをし始めた頃にはある程度、仮説が明確になってきていたこともあり、採用や育成に特化した質問も含めながらより仮説の精度をあげていくことに努めました。

業界ごとの課題

では、プロダクト開発に関わるさまざまな立場の人がどんな課題をPMに対して抱いているのか。

そこには、ポジションならではの悩みも多くありましたが、全社が必ず口にする、といった共通的な課題も一部見つかってきています。

受託開発事業

  • 社員や業務委託メンバーの稼働管理もPMの仕事となるため、プロダクトだけに100%力を発揮できない

  • 経営層がPMのような営業、顧客窓口も兼ねてしまい属人化する(小規模企業)

  • 工数見積もりが相場と合っているのか不安、レビューをしてほしい

  • 大規模案件でステークホルダーが多いと情報がなかなか出てこず、PM1人で立ち回るのが大変

事業会社

  • マネジメント業務をしていると社内に比較できる社員もいなかったり成長実感がない

  • 自分のできる範囲でなんとなくやっている感があり、スキルが身につかない

  • 所属会社の業務知識に依存している気がして、他企業でも活かせるスキルなのかわからない

  • プロダクトの認知度があがらない、工数をかけてイベントをしても人が集まらない

フリーランス

  • まだお金をもらっていない段階から要件整理や見積もりに相当な工数がかかってしまう

  • 最初の見積もりが甘すぎてプロジェクトが赤字になる

  • 技術的なことがわからずエンジニアに任せきりになってしまったり、工数感覚がわからない(非エンジニアPM)

  • エンジニアからPMになりたいと思っているが、未経験で入れる案件がなくエンジニアとして採用される

共通的な課題

現役PMが自身のスキル不足や案件に悩む一方、受託開発会社の経営層、事業会社の人事から多く聞こえてきたのは「採用」「育成」の課題でした。

採用

  • エンジニアが増えてもPMがいないと事業拡大できない

  • PM経験者が転職市場にいない

    • 某スカウトサービスで職種をPMに絞ると、エンジニアの10分の1以下になってしまう

  • PM採用のエージェント成果報酬がとても高額になっている(ここでは伏せますが驚きのパーセンテージでした…)

  • エージェントからPMが一向に紹介されない

    • 興味深かったのが、この課題は企業によってかなり大きなブレがあったこと。1ヶ月に1件くればいいほう、という会社もあれば1日数件くる、といっていた会社も。後者は複数エージェントを使いこなし、条件も最大まで上げ、さらにSNS発信など相当工数を使って努力されているようでした。

  • まずはPMに認知してほしいが採用広報に工数をかけられない

育成

  • OJTを模索しているが臨時的な対応が多く、なかなか体系的なカリキュラムに至らない

  • 社内にPMのロールモデルがおらず若手が育たない

  • ビジネスとエンジニアの橋渡し人材がほしいがそれがPMなのかがわからない

これから解決していきたいPM課題

ここまで雑多に定性的なユーザーの声を拾ってみましたが、いかがでしたでしょうか。

「めっちゃわかる!」と共感する課題から、「なるほどそういう課題もあるんだ」と新しい気付きもあったのではないでしょうか。

特に私は、自身がエンジニアバックグラウンドのPMということもあり、周囲にもそういう知人が多かったので世の中的にそういうPMがそこまで少ないという意識は実はありませんでした。

しかし、皆さん口を揃えて「PMってどこにいるんですか?」と嘆いていたのが印象的です。

ここ数ヶ月で人事の方々に話を聞けたのは非常に勉強になりました。

プロダクト開発の内製化

半年間で私自身が話を聞いていて特に将来的な課題に感じたのは、

  • 社内にPMがいないために開発を内製化できず事業成長が頭打ちになってしまったり

  • ベンダーにおんぶ抱っこ状態で依存して自社にノウハウが溜まっていかなかったり

という光景でした。

せっかくPMFしたサービスでも、自社で拡大していけないのではいつか開発スピードは停滞してしまいます。

もちろん専門外の領域を外注して自社では得意分野に集中すべきフェーズもありますが、もしそれがシステム、ソフトウェアのプロダクトとして成り立ったサービスならばそれも自社で専門性を持つべきタイミングなのではないでしょうか。

そういうわけで、直近はそんな成長期に差し掛かった企業のプロダクト開発の内製化を主に支援していきたいと思います。

また、手前味噌ですが、弊社主催の「開発PM勉強会」では様々なテーマでPM事例を聞くことができますので是非、自社に取り入れられそうなテーマがあった時には参加してみてください。

https://peer-quest.connpass.com/event/

「PMってどこにいるんですか?」の回答にもなれば幸いです。
(登壇していただける協賛企業も募集しております!)

余談

今回、事業の性質上、初めの頃はPMや経営層に話を聞くことが多かったのですが、「PMの性(サガ)」ともいうべきか、PMは課題を自ら積極的に見つけて作り出してしまう傾向も感じ取れました。

というのも、こちらが「課題をヒアリングしたい」という前提で話をしているので、「何か課題を提案してあげないと!」という良かれとした善意が働くのだと思います。

そのため、聞き方を間違えるとあたかも課題がわんさかあるように聞こえてしまい、掘り下げてみたらそんなに解決したいほどではなかった、ということになりかねません。

「お金を払ってでも代わってほしい」本当のペインはなんなのか?

これを聞き出すには、スキルが問われるなぁと思った半年でした。

そういう意味では、PdMの仕事のひとつでもあるユーザーヒアリングもまた奥が深いです。

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