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義母との同居を解消したい!⑤

【それぞれの引っ越し】


新築一戸建てに1人で暮らす。


そう言われて、人はどう思うだろうか。

心細い?
1人には広すぎ?
掃除が大変??

いやいやいや、それら差し引いたって、新築よ。
しかものびのび1人暮らし。

ひいき目に見て最高でしょ。


家のメンテナンスのための新居への1人暮らしについて、義母は案の定、快く引き受けた。
ただし、私たちも異動先での生活と、新居のローンの支払いが重なるため、義母が住んでいる間の光熱費は全て負担してもらい、家賃の代わりとして夫が返済している、大学の時に借りていた奨学金を義母に支払ってもらうことにした。
それにしたって、これまで住んでいた賃貸の実家よりは月の負担がかなり軽くなる。

引っ越しと言っても市内の話なので、職場は遠くなるものの、充分に通勤圏内で問題はない。


繰り返しになるのだが、重要なポイントをもう一度。
夫が義母に打診した際、決してこちらから強くお願いしたわけではなく、一つの案として考えている旨を伝えただけである。

職場から近く、家の物も処分する必要がない今の生活を続けてもいいし
家のメンテナンスをしてもらうことになるが、新居で生活を先に始めてくれてもいい。


さぁ、どっち??


そして、先に引っ越して新居に1人で暮らすことを選んだのは義母なのである。
そこだけは、今後重要になってくるのでしっかり覚えておいてほしい!


とにかく、この大きな誤ちは現実のものとなるのであった。


冬のある日、私たち夫婦は新天地へを引っ越し、新たな職場での生活を始め、すっかり暖かくなった春、義母による新居への引っ越しが行われた。

新天地での仕事の都合でどうしても引っ越しに立ち会えなかったことも、今後を左右する大きな過ちとなる。

義母からは引っ越し業者さんの他に、新居の近くに住む知り合いの方にもお手伝いいただき、無事に引っ越しを完了したという報告を受けた。

どうやら、わざわざレンタカーの軽トラックを借りて、実家の庭の土ごと掘り返し、丹精込めて育てた植物までも、庭に持ち込んだとのこと。
もちろん、約束していた庭の家庭菜園スペースは用意していたので、そこを使うよう、幾度となく伝えていた。

義母からは、新居の居間に座って記念撮影した写真が、夫の携帯に送られてきたり、友人を招いて羨ましがられたりと、新生活を満喫していると電話を受けたのだが、我々の心配はただ一つ。

事前に何度も約束したように、必要以上の荷物を持ち込んでいないか?

そこに尽きる。


義母にはテレビ電話することもできなかったため、夫は電話で何度も確認していた。

「実家の大型家電を持ち込んでないか?」
「ソファや家具を持ち込んでいないか?」
「家庭菜園スペース以外に勝手に植物を植えていないか?」

電話のたびに聞いているので、あまりのしつこさに私は笑えてきたのだが、夫は自分の目で見るまで母の言葉が信じられない様子で、何度も何度も確認していた。

義母はそのたびに「大丈夫」「うん、持ってきてないよ」などと答えていたのだが、入居前からしていた約束が守られていることはなかった。



…が、我々がそれを知るのはもう少し先の話。




つづく

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