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光かと思った 03.私にも作品集が作れるかもしれない

多分誰にも言ったことないけれど、年が明けるたびわたしは新年の目標に「作品集をつくる」と書いてきた。それこそ何年も。少なくともここ2−3年は確実に書いていたと思う。けど、まともに実現したことは一度もない。

なぜなら「何もわからない」から。何がわからないのかも分からないまま、念仏のように唱えていた。「サクヒンシュウヲツクル」。
じゃあ何で何もわからないのに作品集を作りたがっていたかというと「これ、わたしの作品集なんです!」って言ってみたかったから、だと思う。
…素直に書いてみたのはいいものの、あまりにも動機が浅はかすぎて、執筆しながら画面の前で赤面している。

“見せるものがある”って作家さんぽくてかっこいいな〜、いつか作れたらな〜。
そんなぼんやりした憧れだけを携えて、ろくに調べてもこなかった。ろくに調べてもないのに、「うーん、みんなが使うようなフォトブック作成サービスで作品集を作るのはなんか違うな〜」という製本に関する謎のこだわりは一丁前に発動。
「作品集をつくる」という目標は、年々“夢のまた夢感”が強まっていた。

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実は自分で撮影したフィルム写真に自作の詩を添えた作品をかれこれ4年近く、インスタのストーリーに掲載している。フィードじゃなくてストーリーに載せてるのは「見てもらえてる」って一番実感しやすい場所だったから。たとえ流し見だとしても、一瞬でもわたしの写真がその人の目に映るのはうれしい。(気になる方はわたしのインスタのハイライト“words."か“詩集”シリーズをチェックしてみてね)

わざわざ指で画面を止めて「詩を読んでるよ」「まいちゃんの言葉がすき」「元気もらってます」「スクショして保存して見てます」と言ってもらえることが増えたときはさらに嬉しかった。

昔の作品を見返すと、“青いな” とこそばゆく感じることももちろんある。けれど、どれもわたしが生み出してきた可愛い子どもたち。年数を重ねるうちに、“画面の中だけじゃなく紙媒体で、手で触れることのできる表現”に、自然と憧れを抱くようになっていった。
作品数が増えれば増えるほど、それに比例するように「作品集をつくってみたい」気持ちも高まる。けれどやはりそこで手は止まってしまう。
作品集としてまとめられそうな素材がいくらあったとしても、重い腰を上げるきっかけが見出せずにいた。この4年近くで、700個は作ってきた。それでもなお、燻っていた。あともう一歩。何かあれば。

その“何か”は、個展の準備を進める中であっさり見つかった。
テーマだ。自分の中でブレない、他人からどれだけアドバイスや意見をもらったとしてもここは譲らない…そんな揺るぎのないテーマが今までの私からは驚くほどに欠落していたのだ。
伝えたいことはある。けどそれらはただの点でしかなく、繋がりもなければ繋がり合おうともしていなかった。繋ぎ止める主題も薄かった。そりゃ実現しないのも当然。なんでこんな基本中の基本のことが思い出せなかったのだろう。

はじめは「何となく年単位で(作品集を)作ってみようかな…」と思っていた。けれど、方向性がばらばらの作品を一緒くたにしたところで、いいものは生まれない。一つひとつの食材(作品)がどれだけクオリティが高くても、何も考えずに混ぜ合わせたらただの大味の料理になってしまう。

わたしに必要なのは、テーマを決めて、そのテーマに相応しいタイトルを付けて、そのタイトルに至った理由を書き出して音読してみることだった。
自分の言葉を目だけでなく耳でも捉えようとする。声に出すことで脳の刺激を増やす。どれくらい効果があるのかは未知数だったけれど、eさんに教えてもらった“五感をなるべく使って、細胞の隅々まで主題を染み込ませる作業”は、わたしにとってとても重要だと知った。

長い長いたたかいの末、わたしには今、ブレることのないテーマとタイトルがある。だから「1から全部きめなくっちゃ!」とジタバタせずとも、自ずと選ぶ写真・載せる言葉・紙質・製本方法は“定まってくる”(と信じたい)。

テーマが“光”なら、その光はどんな光?自分の中でどんな色で、どんな言葉で表現できて、どんな質感がふさわしくて、ボリュームはどれくらいがちょうどいいか。なんのテーマもない状態よりも、ずいぶん視界がクリアになってきたように思う。今年だったら、「作品集」、自分の納得いく形で作れそう。


いままで形にすることばかりにこだわっていて肝心の中身は空っぽだった。それでは、心には届かない。私にも何も残らない。ただ目の前に「サクヒンシュウ」らしきものが転がるだけだ。

わたしは、“わたしにとっての光”を知りたい。不特定多数ではなく、特別なあなたのためにつくりたい。

そんな言葉が降りてきたから、自ずと製本方法も定まってきそうだった。楽ではないかもしれないけれど、未知の領域だけど、わたしは立派な分厚い本よりも温もりを感じるZINEのような形式で「作品集」をつくってみたい。だんだんそちら側に傾いてきた自分の心に触れる。

そうと決まれば、有識者に意見を募ろう。
大学でデザインの勉強をしていて、本作りに昔から興味があって、ZINEやポートフォリオをたくさん見たり作ったりしてきた、同じ職場のmちゃんが思い浮かぶ。

mちゃんがいい子なのは間違いないのだけれど、職場の都合上mちゃんとシフトが被ることはないから、「急にこんな連絡をしても大丈夫かな、学校の課題とか忙しい時期だったらどうしよう…」という不安な気持ちがむくむく湧いてくる。

けれど勇気を出して昨年末、初心者丸出しの不躾な質問をいくつかした上で「時間を作って話を聞かせて欲しいです、mちゃんと一緒に楽しいものを作りたいです」とお願いした。すると7分後、「ひゃ!!!嬉しい!!!です!!!私でよければいつでも◎ですよん^_^!」と快諾の頼りが。返信早くてめっちゃびっくりしたけど、その軽やかさにわたしはとても救われた。
そうして1月16日、13時からミーティングが実現した。

〈続〉

2024年1月17日 3時8分
日付が変わる直前から執筆し始めたものの文章の方向性を見失いすぎて3パターンくらいテーマが乱立、書いたり消したりを繰り返してたら一睡もせず3時間が秒で溶けていって深夜3時を迎えてしまったおっかなびっくりのわたしより

(朝は7時起床ですよよろしくおねがいしますよ!4時間後のわたし!)

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