大阪地裁の判決を受けて

大阪地方裁判所は同性婚が認められていない現状を「合憲」と判断した。

 札幌の一歩は、繋がれなかった。

 学校が終わって真っ先にTwitterを見て、崩れ落ちそうになった。

 国の反論の根拠は「婚姻制度は一人の男性と一人の女性が子供を産み育てる共同生活に法的保護を与えることを目的とした制度だから」だそう。そんな言葉が出てくるような国なのか。それがですよねそうですよねと通じてしまうのか。悔しくて、苦しくて、涙が出る。ただ、大切な人と家族になりたいと願っているだけなのに、なぜその権利を奪っている現状が許容されているのだろう。

 まずこの主張には全く論理性がない。日本には異性間で結婚して子どもを持たない夫婦もいる。経済的、身体的、またその他様々な理由で、子どもを持たない選択をして、パートナーと婚姻関係にある人もいる。ではその結婚は、婚姻制度を悪用しているのか。そんなことはない。「男女間」ならば、結婚は自由なのだ。

 大体、そんな言葉で、この国は一体何がしたいのだろう。異性婚をしたカップルが追従すると思っているのだろうか。彼らの結婚も侮辱していることに気が付かないのだろうか。子どもを産む産まないも当人の選択であって、国に求められるべきことではない。本当に気持ち悪い。

 私の両親は法律婚をした。そして、私が生まれた。でも、生産性のために結婚したわけではない。少子化を食い止めるために結婚したわけでもない。

 私は、両親の生産性の対価として私が生まれたなんて思わない。私達が生まれてきた意味を、私達の両親が選んだ家族の形を、馬鹿にしないで。人権は生産性の対価じゃない。日本中の家族と、日本中の結婚が許されない人たちを馬鹿にするのもいい加減にしてほしい。

 

「何故そんなに関心があるの?」と聞かれることが度々ある。

 今、私自身は結婚を望んでいない。恋愛がしたいとも思わない。子供がほしいとも思っていない。それでも、社会に生きる一人として、今この瞬間、そして未来を生きる十代として、思うことがあるから声をあげている。

 私は人間という種それ自体が存続する必要性なんてどこにもないと思う。私達人間が、主観的に見て存続させたいと考えているだけで、宇宙や自然から見れば私たちの存在なんてあってもなくても変わらない。

 それでも、私達は今、生きている。今この瞬間、そしてこの先短くない年月、生きる人々は、生きている人は皆、「自分らしく幸せに生きるための選択の権利」を持っている。そして人生の中にはその選択の権利を行使できる場面が何度もある。

 結婚は、その選択のうちの一つ。結婚しないことを選ぶ人もいれば、結婚することを選ぶ人もいる。それも個人の自由。結婚することも選択できる--はずなのに、現状では、選ぶには「異性同士であること」という条件が付く。条件付きの婚姻制度。

 幸福追従権は?法の下の平等は?婚姻の自由は?人権は?

 全部丸ごと無視しておいて、私はもう日本が先進国だなんて恥ずかしくて人に言うことができない。悔しい。誰かが幸せになることを応援して祝福することができないなんて、なんて恥ずかしいことだろう。今、そして昔からずっと、大切な人と想いあって、生きて、笑って、泣いて、いつか結婚することを夢に見て日々を過ごしている人がたくさんいる。「通念上」の存在なんかじゃない。今、この瞬間を生きている人がいる。たくさんいる。ご飯を準備しながらパートナーを待っている人のツイートを読んだら、涙が止まらなくなった。大切な人と日々を過ごしながら、結婚したいと望み続けている人に、今日の判決とその理由、国の反論はどう聞こえただろう。ごめんなさい。悔しい。本当に、苦しい。

 どうして、無視できるんだろう。どうして、これだけの声を蔑ろにできるんだろう。どうしてそんなに馬鹿にできるんだろう。どうして、今生きている大切な国民の持つべき当たり前の選択肢を奪っている現状を変えようとしないんだろう。

 そんな疑問を持ってみても、私にはもうこの国が私達をどう思ってるか、分からない。どうしても、差別したいみたい。


 時々、自己満足でしかないこの声のあげ方を自分で疑問に思うこともある。届かないことの方が多いと思う。諦めたら、楽なのかもしれない。でも、今私が苦しい何倍も何百倍も、結婚したくてもできない人の方が苦しいと思う。想像することすら烏滸がましいかもしれない。でもだからこそ無視できない。同じ社会に生きる人間として、そもそも人間として、黙っていられない。

 だからどうか、私が第三者として声をあげることを許してください。もし、私の言葉に不適切な言葉があれば、どんどん訂正してください。怒ってください。皆さんの絶対的な味方にさせてください。


 パートナーシップ制度の導入が進み、2022年4月の時点で209の自治体が導入、3月31日の時点で2832組の交付が成されている(https://www.marriageforall.jp/marriage-equality/japan/

)。日本の全自治体数は1700件余り。単純計算でその8倍の人数が結婚する未来を待ち望んでいる。


 それだけの人の、幸せを選ぶ権利を奪っているのが今の婚姻制度。


 今日、苦しい思いをした人。悲しい思いをした人。泣いている人。どうか、どうか、もう少しだけ、立って、一緒に戦わせてください。諦めないで私もできることを頑張ります。届くまで叫び続けます。最後まで絶対的な味方で在り続けます。味方でいさせてください。

 こんな差別、絶対に終わらせます。早く変えましょう。早く終わらせましょう。

 みなさんに、当たり前の幸せな未来を1分1秒でも早く。

 結婚の自由をすべての人に。

 Mai

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