上場企業の収益堅調 賃上げしながら利益増やせる経営戦略を

企業は強みを磨いて増益続ける戦略を:日本経済新聞

上場企業の収益が堅調な伸びをみせている。円安や経済の正常化で需要が上向き、値上げも進めやすい環境が追い風になっている。

東証プライム市場上場企業の2023年4~6月期決算を本紙が集計したところ、全産業(金融含む約1100社)の純利益が前年同期比50%増えた。増益は2四半期連続だ。製造業が同12%増となったのに加え、非製造業が同2.2倍と大きく伸ばした。

中国経済の減速が日本企業の収益に影を落としはじめたのには留意すべきだ。工作機械のファナックは業績が下振れし、受注の回復は「24年以降」という。世界の景気動向を入念にみながら事業展開を練る必要があろう。

東京証券取引所が企業に要請したPBR(株価純資産倍率)の向上は、持続的に収益力を高めることで実現する。将来の成長を生み出す経営手腕が試されるときだ。

重要なのはこの先も増益基調を途切れさせないことだ。賃上げを伴いながら利益を増やせる体質へ競争力を磨く必要がある。企業それぞれの経営戦略が問われる。


PBRとは

PBRとは「Price Book-value Ratio」の略で、株価が1株当たり純資産(BPS:Book-value Per Share)の何倍まで買われているかを見る投資尺度のこと。現在の株価が企業の資産価値(解散価値)に対して割高か割安かを判断する目安として利用される。PBRの数値は、低いほうが割安と判断される。なお、PBR=1倍が株価の底値のひとつの目安(株価と資産価値が同じ)とされてきたが、長い間PBRが1倍を下回ったままの銘柄もあり、必ずしも底値の判断基準とすることはできない。

新興企業は一般的にBPS算出の分子部分となる純資産が少ないためにPBRが高くなりがちとなるなど、一概にPBRが高い=株価が割高と決めつけられるものではない。この場合、ライバル会社や同じ業種、セクターの企業などと比較するほうが適切といえる。


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