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42. 2018年マサデミー賞をまとめてみた

ここ数年、一年に100本映画を見ることを目標に楽しく生きてきて、今年も無事100本見れました。旧作込みでの100本ではありますが、同時に映画館にも20回いけて、そういう時間を生活の中で確保しようと意地になってやった分も含めて、幾ばくかの「自分の人生、自分でコントロールできてる感」にもなったりします。で、そんなに見たならまとめやってよ!とTパイセンにこの年末のくそ忙しいさなか無茶ぶりをされたので、引くに引けず、何とか考えてみたのが、今回初の試みであります、マサデミー賞でございます。

・賞のタイトルは、こじつけです。ただよかった映画を紹介したいだけ。
・基本的には今年観た新作20本から選びました。
・完全なる主観です。

というわけで、今年もしこしこつけてきた個人的映画レビューを見返しながら、書いてみました。タイトルに作品そのもののレビューへのリンクも張っておいたので、そっちもよかったら見てみてください。

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【最優秀完全コピー賞(主演男優賞)】
ラミ・マレック
ボヘミアン・ラプソディ

フレディ・マーキュリー役での完璧なしぐさと目の泳ぎ方、姿勢に感服。死ぬほど生前の動画を見まくって、一つ一つインストールしていったとのこと。見た目だけだったら後ろに映りこんでいるブライアン・メイ役のグウィリム・リーのほうが激似かもしれんけど、ラミ・マレックの憑依芸にはうなりました。映画もサイコー。やる気の出るやつなんで、来年以降も気合入れたいときに見返そうかなと思います。


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【最優秀思春期こじれ賞(主演女優賞)】
シアーシャ・ローナン
レディ・バード

何者かでありたいと思うがあまりこじれ、自分で自分に新しい名前とか付けちゃう感じのサクラメントのイタいJKをやりきったシアーシャ・ローナンに。力んだりイキってる感じを出しすぎずに、ただただ苦しい感じが、いやーわかるーと自分の痛いところつかれた感じでさすがでございました。ストーリーは普遍的な友情と家族愛のお話だけど、ローナンと、母親役のローリー・メトカーフの演技がバツグンなので、映画っていいなーと思える名作でございます。モヤモヤしてイイーッ!!ってなりそうな時にぜひ笑 監督が女性なのも、たぶんこの作品をこの作品たらしめる一因になっているように思います。


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【最優秀ダメ男賞(助演男優賞)】
妻夫木聡
来る

「嫌われ松子の一生」「告白」などを手掛けた中島哲也監督がオカルトホラーを撮るとどうなるかっていう今作。なかなかにキモ怖い感じもあるけど、本当に怖いのは人間のクソな一面ですよっていうのが、(誉め言葉として)性格の悪い中島監督っぽい、陰湿な作品でした。「結局、こういうヤツが一番迷惑」っていうのを演じきった妻夫木君にこの賞を。最近、ゲスかったりイラつかせたりさせる脇役がハマり役な彼ですけど、今作もばっちりでした。育児に忙殺されるお母さんは本当に殺意を覚えると評判の、勘違いイクメンパパが天誅される様は、怖がるというより面白がるのが吉です。が、ホラー苦手な人にはお勧めしません…


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【最優秀妖怪賞(助演女優賞)】
樹木希林
万引き家族

この方のこの映画での演技は、演技というか、「演技の向こう側」という感じがしました。何も演じていないというか、それでいておそらくご本人そのものではない何かを表現していることには違いなくて、ああこれは物の怪の類なのかもしれないと思った矢先の訃報で、悲しいとか残念とかっていうより、これまた「死の向こう側」な死に方であっぱれでございますと思った、割りと今年、自分の中の価値観を揺さぶられたそんな作品。どうしたら人間としてあの境地に至れるのかとても興味深いので、来年はどこかで樹木希林という人間について深堀してみたいと思ってます。安藤サクラ、リリーフランキー、松岡茉優と、どの俳優さんも物の怪級の怪演だったので推させていただきます。


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【最優秀泣ける曲賞(作曲賞)】
リメンバー・ミー

泣いたなあこの映画は。しかも音楽で。ピクサーは本当に人間をよくわかっている映画を作るのでもとより大好きな存在だけど、改めてこれはやられたなあと。CMとかでよく流れていた例の曲ももちろんだけど、途中の劇中歌も名曲ぞろい。音楽目当てに中南米に行きたくなる、その土地の風土を曲に乗せるのがうまいのもさすが。作曲家は、ピクサーほか、意外なとこでいうとコールオブデューティーの音楽も作っているマイケル・ジアッチーノさんで、拍手でございました。


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【最優秀笑わしてもらいました賞】
カメラを止めるな!

これはもう、そんなにくどくど書きません笑 面白かったし、よくできてた。こういう「よくできた笑える話」は大好きで、例えば三谷幸喜の「ラヂオの時間」とかと近い観終わったときのあー笑った!って感じが多分自分は好きなんでしょうね。今年をいろいろと象徴する作品ですが、やっぱりこれで。


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【最優秀悪いヤツ賞】
マイケル・シャノン
シェイプ・オブ・ウォーター

何がよかったって、人間臭かったんですよね。はじめはちょっと意地悪そうだけど愛妻家だし、まあまともな人なのかもしれないと思わせておいて、だんだんと中間管理職的に上から追い詰められ、形相が変わってしまって、とんでもない狂気の行動に駆り立てられていくっていう。個人的には「適応」が映画のテーマだと思ってこの作品は観たんですが、ほんと、あらゆる周りの人事柄に不適応で摩擦を起こしまくる彼こそ、裏返してこの映画のコアが込められているように思ったので一票。


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【最優秀クリーチャー賞】
「彼」
シェイプ・オブ・ウォーター

続いちゃったけど、まあこれもシェイプオブウォーターですね。クリーチャーという切り口で言えば「ヴェノム」の粘菌感や、「ジュラシックワールド ~炎の王国~」(←放題がなぞすぎる)の安定しつつも確実にクオリティあがっている恐竜もさることながら、スタントしつつも異形の生物をちゃんと作りこむギレルモ監督は、さすが円谷プロの大ファンってだけあるなあと思いました。彼がどうしてもと懇願して、眼球を担当したのが、日本人特殊メイクアーティストの辻一弘さん。演じたスタントマンはスーツアクターとして数々のクリーチャーを演じたダグ・ジョーンズということで、ある意味、クリーチャーづくりの英知が結集した「彼」なのでした。怖さと優しさが入り混じった存在感に一票。


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【最優秀ギミック賞】
サーチ

すべてがウェブブラウザ他、カメラに撮られた映像として進んでいくっていう、いかにもアイデアギョーカイの人が好きそうな映画だったけど、よくできていたのと、映画そのもののプロットも結構やられたので、一票。面白かったです。演者の人たちもむずかしかったんじゃないかな笑 

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というわけで以上9賞8作品、選んでみました。やっぱり映画館でみた映画って記憶の中でもよいものとしてずっと残るなと。旧作も80本みてその中にも好きだった作品たくさんあったんですが、新作だけでまとめてみて、改めて来年も映画館に行こうと思った年末。自分みたいにコミュ障で対人スタミナがすぐ切れる人間は、やっぱり映画館とかサウナとか、疑似的に一人きりになれる空間が必要なんですわ。それで、一人きりであるがゆえに、自分が駄々洩れになっている状態で、差し込まれるのが映画っていうインプットで、それに様々影響を受けてこられた2018年、よい年でしたとさ笑

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