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ビジコンの審査員やったら自分のしつこさの意味を再確認できた。

しつこさと衝動の関係性の話。

先週末、ご縁あってビジネスコンテストの審査員をやってきた in 名古屋大学。久々の新幹線もウェルビーも中部支社の後輩とのご飯も、行き掛けの駄賃としてサイコーだったけど、ビジコン審査も色々考えさせられた。我が身を振り返れば大学生時代はバンドしかやってなかったし、ビジネスのビの字も登場しない(むしろビの字を忌避していた)毎日で、こういうのに出願する学生さんにはそれだけで敬服。このTongaliというビジコン、入賞すれば大学ファンドが資金を融通してくれたり、活動拠点の提供、起業に関する情報、マッチングなど素晴らしく手厚いサポート体制。「賞とったらESに書ける」みたいなモチベーションの学生さんはほとんどいないようにお見受けしました。だから自分も審査しながら、彼らの熱気にあてられて朦朧としそうになる中、とても勉強になった。

ただ、聞いているうちに、あれ自分って性格悪いのかな?と思った訳です。

多くのプランは、世の中と、検証アンケートの声を、ものすごい信じていて。「このコンセプトを20人の僕らの周りの学生に聞いたところ、9割の人が欲しいと答えました」=だからいけます、みたいなプレゼンがすごい多かった。あるいは「伝統工芸の認知が若者の中で低い。だからこのアプリで若者に広めます」みたいな、課題をそのまま裏返しにしてプランの根拠とする提案も結構多かった。

欲しいと言ったから本当に買う訳でもないし、興味があると言ったのはその瞬間だけかもしれないし、あるサービスのことをいいね!と言ったのはサービスがいいからじゃなくて親友が起業しようとしているからかもしれない。「認知が低いから、このアプリで認知をあげます」というからには、なぜ現状の認知が低いのか、当事者の心理のレベルで考えて本質的な課題を特定した上で、自分のアプリならなぜそれを克服できるのか説明しないといけない。そういうことがなぎ倒されて、自分のノーリーズンな衝動だけでうまくいくほど世の中は簡単じゃない。本当に顧客が何を思い何を考え、何に苦しみ悩んでいるのか、そこの初期仮説におけるインサイトの深さが加わるとすごい見違えるんだろうなあという起案が多かった気がする。「顧客の受容性調査はPoCできてからでいいでしょ」という考え方もあるかもしれないけど、受容性とかPoCとか以前の、そもそものコアコンセプトやビジネスモデル仮説を人間心理から考えられているか。そこには、社会を目に見える部分だけで判断しない、ある種のしつこさが必要なんだと、自分の性格の悪さやしつこさを自己弁護する気持ちも半分入りながらも思います。

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What people say,
What people do and
What they say they do
are entirely different.

僕の中に何人かいる「勝手に心の師」の一人、マーガレット・ミードの言葉。いつも忘れないように個人的にはしていて、それを審査しながら思い出したりしてました。「本当に大切なことは、目に見えない」って、「星の王子様」のキツネも言ってたでしょ。自分はやっぱり改めて、目に見えないことに興味があるし、そんな目に見えないことが見えた時に一番喜びを感じるし、目に見えないことを見ようとする人と特に共感し合う人間なのだなと、30案のビジネスプランを浴びて現在地確認できました。感謝。

一方で、ノーリーズンな衝動も必要なのは事実で。しつこさと衝動の両方の手を使い分けながらも、両手で何かを生み出すのが世にことを成すという事なのかもしれない。一人で両利きになろうとしなくても、自分と利き手が逆の仲間を見つければいい。そういう意味では、僕の性格の悪いしつこさに付き合ってくれる、利き手が逆の「酔狂担当の仲間」を見つけ出すのが次のテーマかもしれない。

そんな、しつこさと衝動は「両の手」の関係性だよねっていう、名古屋の記録でした。

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