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チーズとクミンとオレンジワイン

自分にもひとつだけ、行きつけと呼べるレストランがあって、10回は通っていて、そこのお店の人々にはほんとによくしてもらっているのですが、何しろやっぱりソムリエさんが最強だと思うわけです。知識の量、物腰の柔らかさ、そしておいしさへの偏執的な深堀具合。こないだ、チーズを頼んで出てきたものと、それとは別で頼んだオレンジワインと、そのふたつがそろったのを見ておもむろにクミンシードを小皿に入れてもってきてくれて、「これをチーズにつけて食べて、ワインとあわせてみてください」と、なにもお願いしていないのに教えてくれて、これがアメージングな未体験フレーバーだったわけです。もうね、感動ですよ。

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人は「好きなものを得るとうれしい」のだけど、あるものを「これは自分の好きなものだ!」と自覚するためには、その体験あるいはその体験に類似する体験を過去に経験しておく必要があるわけです。目の前にある食べものを「これはおれの好物だ!」となぜ人はわかるかって、それを食べたことがあるからであって。だから、「好きなもの=知ってるもの」になるわけで、じゃあ”人はどうやって新しい好きに出会えるのか”といったら、「好きだという人から、その好きをおすそ分けしてもらう」ことが、ほとんどなんじゃないかなと思うんです。もちろん、「飛び込む」っていう有効な方法もあるのですが、なんでもかんでも飛び込むわけにはいかないわけで、そうすると人は「なんとなく想像がつくもの」から飛び込みたくなるので、やっぱりあんまり飛び込めない。だから、「全然知らない好きを見せてくれる人」って、ほんとうに大事にしたいなとおもうんです。

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だから、誰がチーズにクミンをつけてオレンジワインと合わせて飲むなんてことを思いつくかって話に戻るんだけど、やっぱりそのソムリエさんは変態的にワインとチーズが好きなんだなあと、にやにやにしながらいつも、こちらがお願いできない=思いつかないようなことを提案してくれて、ありがたいし、ここまで行って初めて「モノよりコト」とかいえるんだなと。コトの本質は好きってことか。

ああ書いてたらまた行きたくなってきた笑 引き続きお世話になります!

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