なんで今更、コンセプトの本を書くことになったのか。
吉田将英と申します。
広告会社で企画とか社会分析とか経営伴走なんかをかれこれ15年ほどやってきました。この度。執筆しました新著「コンセプト・センス」が、1/26に発売します。※この一年は、文章を書くスタミナをこちらに全投下していたため、noteの更新がものすごく久々で、すいません!
入魂の一冊に仕上がったので、一人でも多くの、この本によっていくばくか頭や心が晴れやかになるであろう人の手に届くことを祈って、長文を書いてみようと思います。思えば、このnoteで書いた京都での執筆始動から1年半を、振り返ってみます。
そもそも何で、「コンセプト」の本なのか。
それは、まさにこれからの何かと生きづらい時代を「弱き立場の人たち」がそれでも自分らしく生き抜くために、コンセプトセンスは大きな鍵になると信じているからです。
コンセプトを見立てることによって、これまでに社会や集団が認知できていなかった、バイアスの外側の発想を、多くの人数で、まだ実現する前の段階から、共有することができる。これは、言い換えると「何かを変えたいが、簡単に変えれるほど資本を持たざる人」にとって、コンセプトは最大の武器になるということです。すでに権力があったり、資本をたくさん持っている人は、小難しいコンセプトなど考えなくとも、「片っ端から可能性やってみればいいじゃん」となるし、もっと言うと、「バイアスの外側の発想なんか持ち出されて今の構造を転倒されると困る」わけですから。
いつも、若い人たちの声が頭の中で鳴っている。
若者という日本社会における「弱き立場」の人たちを研究し共創してきた自分にとって、常に命題として付き纏ってきた問いこそまさに「物事を変えられるだけの立場に今、必ずしも身を置けてるとは言えない人の声をいかに社会に還元するか」であり、その弱き立場の一つが「若者」でした。前の前の本である「若者離れ」(エムディエヌコーポレーション)を刊行した時から、「Z世代」という言葉がここまで世を席巻し、かつてよりは社会の目が若者に向いているとは感じつつも、根本の生きづらさは、まだまだ根深いものがあると感じます。
この命題のために、クリエイティビティとコミュニケーションのフィールドで仕事をしてきた僕にとって、コンセプトについて体系化し、属人的な閃きの世界にとどめずに、どんな人でも、努力と個性をぶっ放す勇気と技能を身につければ、社会がボトムから1歩、前に進められるようになるのではないかと思って、それを書籍にしたためたという感覚です。
「しゃんしゃん」を超越するための、ボトムアップ革命
思えばこの日本社会は、「しゃんしゃん」な意思決定ばかり再生産してきて、今に至ってしまっていると思うのです。現時点で既得権益側にいる人が、意思決定の方式からハックしてしまっている以上、「多数決」「鶴の一声」「前例参照」といった悪しき意思決定のルールに乗った上でジャイキリするのは、なかなかに無理ゲーです。そこに少子高齢化が悪魔合体しているわけですから、正面からぶつかりにいくのは時間がかかりすぎる。そしてその時間がかかっている間に事はどんどん過ぎ去って変わってしまう。ここに、コンセプトを打ち立てることによって「社会の認知を変革する」ことが選択肢として持てて、そしてその選択肢を持てている人の総和が上がった時に、何かが良い方向に転倒する確率が上がる気がしてならないのです。
執筆の初期衝動は、自己の体験に基づく「怒り」だったのだと思います。若いだけで、歴が浅いだけで、「はいはい、まあ、君もそのうちわかるよ」と、中身の話にすら到達できず、挙句”自分がおかしいのかな・・・”とその違和感を飲み込んで生きづらい思いをしている若者たちとたくさん向き合ってきました。いやそんな事はない、君のその違和感は絶対に間違ってないと、何度も思いました。ただ、違和感が違和感のまま、社会に受け入れられて、世の中に自分の居場所が確立されるほど、社会は個人を相手にしてくれないのも事実で。だから、その違和感を価値に変える方法として、コンセプトで社会を見通し物事を考える感性=「コンセプト・センス」を、まとめました。13万字、2年弱の執筆を経て、今は怒りは昇華して、個人個人の元々持っている感性や違和感の可能性を信じるという、冴え冴えとした気持ちに至っています。
「明日の企画会議」から、「家族のライフスタイル方針」まで。
企画職やクリエーティブという単語に近しい方はもちろんのことながら、より広く、すべての「現状に対して漠然とした違和感」を持つ人の、そこから脱して「ここではないどこか」がどこなのかを見通す一助になったら、これ以上嬉しいことはございません。大袈裟な話を長々と書きましたが、ちょっとライフスタイルを変えたいとか、夏休みの過ごし方を例年通りから辞めたいとか、さらに漠然と「なんか人生つまんない」とか、そういう気持ちで手に取っていただいても、十分受け取っていただける、ある意味でのゆるい本だと思います。そしてそれは、読んでいただく方一人一人を、何か「自分の外側にあるセオリーにはめ込む本」ではなく、元々持っていた違和感やモヤモヤを否定せず、むしろより深く色濃く突き進んだ先にこそ、その人だけが見立てられるコンセプトがあると思っているからです。ぜひ、ありのままの自分を変にOFFにせず、手に取って欲しいと思います。
書籍の「サイドノート」をnoteに書いていきます。
書籍そのものはぜひ手に取って欲しいと思いつつ、5年ぶりに単著を、ライターさんなしで13万字自分で書き上げて思うのは、「これは最後に結晶化されたものなんだよなあ」ということです。この背景には膨大な捨て原稿と(とはいえ編集者さんには”あんまり捨てるところない”と言われて当初想定の分量の倍近い本にはなったのですが)、思考と執筆の過程と、その度に巻き起こる感情とがありました。
自分の振り返りと、読んでいただいた皆様とも相互のコミュニケーションを、本をこうして完成させた瞬間から今度はナマモノとして紡いでいきたいという思いで、「サイドノート」をマガジンとしてはじめてみます。
「子育てと仕事しながら、本を書くってどういうことだったか」
「会社員が、思想を持って社会と直結することの難しさ」
「本を出したい人へのエールとアドバイス」
「おすすめの都内作業スペース&おこもり作業宿」
「泣く泣く削除した、ディレクターズカットパート」
こんなあたりを、考えてます。どういうことを書くと、読者の皆さんに面白がっていただけるサイドノートになるか、「マシュマロ」での質問も参考に考えたいので、コンセプト・センス本文にまつわること、あるいはサイドノートにまつわることで、質問があったらぜひ投げてもらえるとこちらもありがたしです。
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自分にとっても、「著作を刊行する」というのはそんなに人生で何度も経験できる行為ではないので、味わい直しておくことで、最大限、今後の人生の豊かさの糧にしたいという思いもあり、いつまで続くかわかりませんが、お付き合いいただけますと嬉しいです。
May the concept be with you!
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【刊行記念イベント情報】
1/30 19:00~20:30
@青山ブックセンター本店 リアルイベント
「コンセプトと、コピーと、企てと。」
コピーライターの阿部広太郎さんをゲストに、「コンセプトの意義」と「コンセプトと言葉の関係性」をお話しします。企画をするすべての人にオススメです。
1/31 21:00~22:00
@Schoo オンラインウェビナー
「コンセプト・センス - 人を動かす企画の生み出し方」
この本を書くきっかけになったSchooさんでの凱旋講演です。2年前から大幅パワーアップした内容でお届けできると思います。初回は「そもそもコンセプトって何?どうして大事なの?」から、お伝えしたいと思います。コンセプト、実はよくわかってないかも…?という人にオススメです。
2/13 18:30~20:00
@六本木ヒルズ アカデミーヒルズ リアルイベント
「価値創造のための、逃走のススメ」
情報学研究者のドミニク・チェンさんと、「ここではないどこかへ」いくための創造と、その時にコンセプトは人と社会に何をもたらしてくれるのかをお話しする予定です。
2/26 18:30~20:00
@渋谷ヒカリエ 8/ COURT リアルイベント
【コンセプト、持ってる?】正解のない時代の答えのつくりかた 〜コンセプトづくりの3人のプロが導く、3つの秘技〜
おもちゃクリエーターの高橋晋平さんと、プロジェクトプロデューサーの横石崇さんと、社会のさまざまなグッドコンセプトをお題に、自由に語り合う予定です。
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今後もどしどし、企画中です。
随時、情報UPDATE致しますので、ぜひチェックしてみてください。
サポートありがとうございます! 今後の記事への要望や「こんなの書いて!」などあればコメント欄で教えていただけると幸いです!