脈絡が無い文章を書いたんじゃない、書いたら脈絡が無かったんだ。

文章を書きたい欲みたいなものが湧き上がってきた。しかし、日常を切り取って、エッセイにするには少し日々がつまらなすぎる。

文章の上手い人は、何が題材でも物語を書くことが出来るのだろうか。そういえばちょっと前に読んだ町田康さんの「バイ貝」は、一冊の本の中で起こった出来事は5個くらいだった。よくそんなに掘り下げられるものだ。他人と違う視点を持つ人間は、その日食べたもの、着た服、何でもネタにしてしまう。何も無かったことを掘り下げて書くという達人もいる。

エッセイを書き始めて今日で10日目だ。「ナカノは感想文が少なすぎる」とクラスメイト全員の前で言い放った中学時代の音楽教師に全部読んでもらうことって可能だろうか。特に嫌いな先生でもなかったが、「怖いのに可愛げがある」ことを自覚していたことに若干腹が立つ。

去年の元日から毎日続けていることがある。一日にサブタイトルを付けることだ。タイトルだけの日記というとわかりやすいか。一日一行書くだけで、その日の出来事を思い出すことが出来る。はずだったのだが、今見返すとよくわからないタイトルが多い。人間の記憶というのは当てにならない。

地元に友達が少ないので、人との会話はもっぱらSkype。相手はネットで知り合った友人。昨日も通話した。とある有名人と繋がりたいという夢を聞かされる。PV(その有名人は歌手でもある)をレゴで再現したら本人がSNSで反応してくれるんじゃないかという私の案は却下された。

そんな夢物語を聞かされて、思い出したことがある。とあるバンドのライブを観に行った時のこと。ライブ終了後、夕食を食べ、駅に向かっていた。すると、一軒の居酒屋が目に入った。外から内装が見えるようになっていたその店の中には、さっきまでライブでギターを弾いて歌っていたバンドのボーカルがいた。私はとても驚き立ち止まったが、少しだけ様子を見て、また歩き始めた。店内に入って話しかけることも可能だったかもしれないが、そんな勇気は無かった。

いつどこで誰と出会うかは誰にもわからない。その友人がその有名人とばったり出会うことだってあるはずだ。もしその時が訪れたら、私のように話しかけられずに終わるなんてことが無いように、私は祈るのだった。

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