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Altair

ベガに続く夏の大三角シリーズの第二弾は
わし座の【アルタイル】です。

アルタイルはわし座のα星です。
私たちが肉眼で観測することができる最も近い恒星の1つです。


このワシはある少年をさらった物語があります。
その様子がこの夜空に再現されているのです。

その少年の名前はガニュメデス。

ガニュメデスはトロイアの王子として生まれました。
この世で最も美しい少年と言われたそうです。(といいつつ最も美しいと言われる人何人も出てくるし…という疑問は置いておこう…)


ゼウスはトロイアの王子で大変な美少年であったガニュメデスを自分のそばに置きたいと思い、自分のもとへ連れてくるように遣いのワシに命じました。

ガニュメデスはその後神々への給仕係として聖杯を運ぶ役目となり永遠の若さを美貌を与えられみずがめ座となりました。


…………………………………

だいたいは上のようなことしかかかれていませんが

彼の心のうちはどれほど複雑だっただろうと私は考えずにはいられませんでした。

大神ゼウスの命令に背くことなどできないですし
背いたら自分の家族にどんな難がふりかかるかわからない…

そう考えたかもしれないですよね。

この星座の位置はワシがガニュメデスを連れ去ろうとしている場面です。

どういうことかと言いますと、
この星座は夜空ではちょうどみずがめ座の隣にあるのです。

このみずがめ座は星座となったガニュメデスの姿だと言われているのでワシがガニュメデスに襲いかかっているちょうどそのシーンが夜空に再現されています。


そのシーンだと思うとアルタイルを見るたび少し切なくなるのです。


トロイアの王子がいきなり連れ去られるなんて
普通に考えれば悲劇です。

もちろん子供が突然連れ去られたガニュメデスの両親はとても嘆き悲しみました。

その様子をみたゼウスがお詫びとして、神馬と黄金のぶどうの木が与えたそうです。


神に仕えることを受け入れたガニュメデスの方も、
当たり前ですが父と母に心残りがありました。

その心をくみ取ったゼウスが彼の両親がいつでも息子を見られるように、
水瓶をかついだ星座【みずがめ座】として夜空に輝かせたのですね。


私はガニュメデスには葛藤があったと思います。

ですが状況を受け入れ
その中で最善を選び
自分ができる方法でその場で輝こうと決意した。

彼には突然の運命を受け入れる強さがあると感じます。

優しさは強さだと思います。
自分が辛さの中にいるときに人を思いやることは大変です。
ですがそれができる人が本当に優しくて強い人だと思います。

彼には優しさという強さがあったのと感じます。

天に抗うこともなく
流れを受け入れ全うし
命は今も瞬き続ける

届いてますか
あなたに贈る今の僕

空を見上げれば今も燃ゆ
強さと決意の
献身の光


彼は悲劇を抗うことなく受け入れました。

いつでも空を見上げれば息子が輝いている。
それがどれほど父母の心を慰めたことでしょう。

私は優しく思いやりがあり、献身の心がある星に感じます。



生きてると急な出来事に見舞われて落ち込んだり
何が起きたかわからずに受け入れられないこともあります。

辛さの中では、
自分のことを真剣に思ってくれ、
考えてくれる人の存在を忘れてしまいがちです。

自分の状況を受け入れることがことができず、
抗おうとしたりもします。

そして状況をさらに悪化させてしまったりもします。



そんな時このガニュメデスの姿を

悲劇を悲劇としなかった姿を

アルタイルの星の輝きの中に私は見ます。


自分を想ってくれている人のことを忘れず

どんな場所でも自分らしく生きようとする姿

その姿こそが大切な人への自分ができるメッセージなのであると

そんな強さと優しさを私はアルタイルの輝きに感じずにはいられません。



夏の大三角って面白いですよね。

あとは残すは白鳥座のデネブです。
お楽しみに☺

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