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中学進学でホントに必要な力~質疑応答編~

『中学進学でホントに必要な力』と題し、教育講演会を開きました。
中学受験に向いている子、今はやめておいた方がいい子。
受験を3年伸ばした場合、その子の何を育てていくか。
学校の先生と親以外の、第三の大人の存在について。
本編の様子はこちらを。

noteでは質疑応答とアンケートにあった追加の質問について答えます。
すべての悩めるお父さんお母さんの助けになりますよう。

質問1
小4。読書の習慣がついていないし、漢字も読めない。本を読むのが嫌い。

回答1
10年間習慣づけていなかったことを今から習慣づけるのはかなり厳しいが、無理ということは絶対にありません。興味のあることが書いてある本を探しましょう。子どもはポケモンでかたかなを覚えるように、好きなもの、興味のあることなら、何が何でも読もうとします。その時に、ルビの振ってある本を選ぶと、漢字の学習にもなります。
参考
かいけつゾロリの次は何を読めば良いのか~アフターゾロリ問題1~
https://kakimakuru.com/blog/23001020170604

質問2
小2。第三の大人が必要だというが、ボーイスカウトとかに入れるのはハードルが高い。祖父、スポーツチームのコーチでも良い?

回答2
OK。ただ、祖父母の場合は「無償の愛」が強く、たくましく育ててもらう感はあまりない。祖父母の愛はとても重要なのですが。スポーツコーチはもちろんOK!勉強以外のことで心強い存在になるはず。コロナが収束したら、ぜひ「子ども会」に。関わる大人がぐっと増えます。そうやっていろいろな集団に入りましょう。
学校の先生と親だけだと、特に受験や勉強で行き詰まった時、折れた時に、道が閉ざされてしまう。
第三の大人の目標数30人(笑) そうすれば、30通りの生き方、30通りの問題解決方法、30通りの学び方が手に入る。

質問3
本人がやりたいと言って、ピアノを始めた。私が聞くと「続けたい」というが、その割に練習をしない。旦那曰く「そう言うのは、ピアノレッスン継続を望む母親の気持ちを忖度してるのでは?」
子どもの言うことを信じていい??

お稽古事は、本人がやりたいという物を全部選んでいたら、数が増えてしまって、実はそれらを定着させる時間がなくなるので注意。例えばピアノ。本当は1週間に1度、先生に30分教わったら終わりではない。同じ時間ぐらい毎日弾かなければ、ああいうものは身に着かない。そうやって、毎日の時間を考えると、毎日何かを教わりにどこかに通うというのは、おかしいということが分かる。本当なら、何かを始めたら何かをやめなければいけないくらいのはず。丁寧に選んでいきましょう。
ピアノの練習ですが、続けると思わぬ副産物もあります。集中力も付きますし、技術を身に付けるのには時間がかかるものだということを理解すると根気も付く。また、音楽は本来楽しいものなので、ストレス発散にもなります。ピアニストにするのならともかく、それ以外なら、「元」はどこで取れるか分からない。ある日突然、「ああ、私は毎月このためにお金払ってたんだわ。」と気づくことも。そもそもお金に換算しないことですけどね。
それと、父親がそういうのは、嫉妬です(笑) 反抗期に入ると、男の子は父親に対してライバル意識を持ちます。精神的な母親の取り合いです。それに触発されて旦那さんがやきもちをやいているんです。ママを取り合う三角関係ですね(笑) そういう過程を経て、男の子は独立した心を持って行く。
父親にも質問させたらどうでしょう。父親に対しても同じ返事なら、いい加減信じてあげてください。裏切られたって親だもの、いいじゃないですか。

質問4
中学入試はせず、高校入試で良いと思っているが、塾に入らないと受験情報が入ってこない。受験情報を得るために通塾するのは?

回答4
情報は「入ってこない」と待つものじゃない。子どものために「取りに行く」つもりで。今はインターネットがあるので、いくらでも情報はある。無料で説明会や、各校の出題傾向も含めた報告会をしている塾もあるし、学校自体も学校説明会を開いているから、そういうところに積極的に情報を取りに行くようにしたらいいと思います。情報のために塾に入れるのは、本末転倒。受験しないのなら、情報だけ、他から仕入れればいいですよね。

質問5
水泳に時間をとられている。選手コースにはいるけど、都の大会などに出るレベルではない。すごい子はすごい。そんな中これから先、勉強との両立がつらくなってくるのでは? そういう時は家族会議でしょうか。

回答5
今、話しているうちに情報が整理されて、答えまで出ましたね(笑)
本人が時間をとられている自覚がないのなら、そのままでいいのでは?大変になりそうな時、大変な時、家族で話し合うのは良いかと思います。一度の家族会議で人生決めるのも危険なので、何回も何回も話し合ってみてはどうでしょうか。

質問6
本人が中学受験に挑戦してみたいと言っているので、そうさせているが、先生の言う「中学受験に向いていない子」の条件にすべて当てはまる。主体性もなければ、積極性もない。おとなしくて何を考えているか分からない。このまま結構大変な受験勉強を続けてていいのか。

回答6
お母さんたちは「主体性もなければ積極性もない」のような身もふたもないような言い方や「うちの子は本当に情けなくて」のような謙遜染みた言い方をするけれど、実際には、本当にはどうなのか、子どもをしっかりと見て、胸に手を当てて、じっくり考えると、子どもの真実が見えるはず。それは教師には見えない。親でしか見えない部分もあるかと。特に母親。
中学受験をしようと思った「理由」をしっかり聞いてあげて。年齢的にちょっと無理かもしれないけど、例えば抱っこしながら。「うちの子いつもこうだから」という先入観をすべてとっぱらって向き合う。そして、本当の理由に納得したなら、全力で応援してあげて。理由が素直に言えたらそれだけでOKじゃないですか。子どもも「安心してこういうことを話してもいいんだ」と思える。親子関係が安心安全な場になったら、子どもはイキイキ伸びますよ。

質問7
勉強を先取りすると学校では「もうこんなの知ってるよ!」というタイプ。塾に通ったらもっとそんな感じが助長されて、勉強はできても、人間形成としてどうなのかと心配です。

回答7
子どもが小さい時、オムツが早く取れている子、羨ましくなかったですか?自分の子と同じ月齢なのに、早めに歩けるようになった子、羨ましくなかったですか? 塾の勉強も同じです。「先取り」なだけです。なので一時的な優越感に溺れてしまう子はいます。子どもですものね。人格形成ができているわけではないので「そんなこともう知ってる」そういう言葉も出るでしょう。でも、そこに謙虚さとか、もっと深く多面的にこの事柄について研究してみようという探究心があると、一見遅れているように見える学校でも学ぶことなんていっぱいあるんです。そういうことに気づかせてあげられるといいですね。言葉で分かるのは無理なので、態度で。まずはいっぱい話して、今のその子をまるごと認めてあげてくださいね。

質問8
小学校と中学校がある程度つながっている学校にいるが、中学校に上がったら大変だという噂を聞いて、このままでいいかどうか迷っている。また世の中の主流も気になる。

回答
小学校受験の場合、早い時期に勉強について道を決めてしまったリスクもあります。生まれて5年しか経っていない状態で学校を決めたのだから、そりゃそうです。だんだん合わなくなってきたというのも当然出てきます。
でも、私は「もったいないのでそのままいたらいい」と思います。小中がつながっている、うまく行けば高校までつながっている学校に通っているということは、塾に行かなくていいということ。自分のペースで自分の学びを深められるチャンスがあるということです。このチャンスを逃す手はない。学校、地域、家庭のことをきちんとやっていて、自分の学びを深められる時間があったら、最高ですよね。
出ていくということは、リスクもあります。やっぱり違ったと言って戻ることもできませんからね。
塾ジプシーになる親子もいれば、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学と、受験ばかりになってしまう子もいます。それだったら、一貫校にいる場合は、学校の勉強をきちんとして、自分の学びも深めるチャンスです。
また、「主流」というものに振り回されて、主体性をもたずそこに乗っかっていると、真ん中ぐらいの子、オールBの子になっちゃいます。
好きなことしかしない子が社会で必要になる時代、主流を自分の軸にしない方がいいですよ。

長くなってしまいました。第2部も近日中にアップしますね。

まほらbo 国語担当 松嶋有香

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