【5】step18 ユニークな価値を定める
この話は、ささいなキッカケから、「新しいこと」をはじめることになった高校生の2人組が、経営者や起業家、ユーザーの声をききながら、サービスをつくりあげていく物語です。
■ 主な登場人物
■ 前回までの配信
第5章 「価値」をつくる
「かけがえのない」をつくってみよう
Step18:ユニークな価値を定める
🎶「PPPPPPP….」
価値を考えるために蓮人がレクチャーし、二人が悩みながら書きこんでいったバリュープロポジションキャンバスマップが、ミックスジュースについての書き込みでいっぱいになったところで、セットしていた昼12時のアラームが鳴った。
集中しすぎていたせいで、三人とも、必要以上にアラームにびっくりしてしまった。もうこんなに時間が経ってしまっていたんだ。熱中したり、夢中になっている時は、時間が経つのも早いものだ。
蓮人「お、もう昼だね。これから13時には家を出ないとなんだけど・・」
爽太「そうですよね、たしか葵さんと出掛ける予定でしたよね。本当にありがとうございます。あれ、葵さんは・・・。」
タイミングよく、ガチャっと部屋の扉が開いた。
葵「ちょうどいい時間だったかな?きっとお腹ペコペコだと思って、お昼ご飯どうかなと思って今買ってきたんだけどね。」
そう言いながらコンビニの袋を持った葵が部屋に入ってきた。みんなして一斉に袋の中を覗き込む。中には4人分の冷やし中華とお茶とジュースが入っていた。
蓮人「ナイスタイミング!よし、いったん、区切りもいいし、お昼ご飯にしよう。」
爽太「うわぁ〜〜、、いいんですか・・・おふたりの時間を邪魔してさらにお昼ご飯までありがとうございます・・・。」
葵「ううん、むしろ蓮人がどんどん夢中になっててさ。この人、熱くなると熱中してのめり込んでしまうから、2人とも大丈夫かな〜ってちょっと心配してたんだよね 笑」
健人「たしかに、スパルタではあった(笑)。いやーでも腹減った!いただきま〜す!」
4人は包装をとって冷やし中華を食べ始めた。
蓮人と葵が午後の予定について話し始めたので、爽太と健人はバリュープロポジションキャンパスに書き出したさきほどの内容について二人で話し始めた。
話しながら、他の店舗や別の業態のお店でも自分たちがやっていることのイメージに近いものがないか、参考にできそうなものがないかとあれこれスマホで調べていった。
爽太「やっぱりさ、成分とかこだわりがわかるって意味では、このイタリアンのお店のテイクアウトの中にある画面表示のこんな感じの表現がわかりやすいよね。これをうちのお店でも表示できたら最高だな〜。」
健人「あ〜いいよね。ここにモーションがかかってきてさ、かっこいいのにシンプルでわかりやすい。他のお店だとかっこいいけど見にくかったり、わかりやすいけどダサかったりしてさ、なんか使ってて微妙、ってサイトも多いよね・・・」
2人が話していると、気がついたように蓮人が話に入ってきた。
蓮人「そうそう、2人ともVPCの次の段階で考えておきたいのはユニークバリューポイントなんだ。これも英語、3文字。UVPね。」
健人「ユニークバリューポイント?またカタカナだよ・・」
それにしても英語3文字で略すものが本当に多い。
みんな本当にこんなにたくさん英語3文字を覚えて使ってるんだろうか?
言葉遊びのように使って、本当の意味なんてわかってない人も多い気がする。
蓮人「そうだな(笑)つまり、ユーザーのかけがえのない価値は何か?を考えるということだ。お客さんのことを考えているようで、お客さんのためにっていろんなサービスや機能をつけがちなんだけど、それって独りよがりというか余計なお世話なことも結構あるんだよね。実はユーザーから見た時に、製品やサービスを評価している点って実はそんなに多くなくて、それをしっかり意識していることが重要っていう話だね。だから、かけがえのない価値の源泉、って意味で、ユニーク・バリュー・ポイント、ね。さっきのVPCともすごく近い関係にある。」
爽太「なるほどね。『かけがえのない価値』か・・・詩を想像すると、やっぱり”見せかけの健康じゃない”っていうのが重要そうだなー。あととにかく『新鮮』ってこと。」
蓮人「いやー、爽太くんはこうやってすぐに考えたこと、思いついたことを話してみる、書いてみるってのがすごくいいね。それって社会人でもなかなか出来る人は少ないんだよ。」
急に褒められて、爽太は少し恥ずかしくなってしまった。でも健人のお兄さんってこともあるけど実際に起業家として活躍している人から良い点を指摘されてなんとも言えない高揚感があった。そういえば、いつのまにかジュース販売について、夢中になっているなぁ。
蓮人「そうだね。『“見せかけの健康ではない新鮮なジュースを手に入れられる”という価値』だね。健人はどう?」
健人「実際にはさ、正直ものすごく面倒だけど、時間があればよっぽど家でこだわりの食材で自分のこだわりのジュースをつくりたいような人たちだからさ、『面倒なくらい丁寧に提供する内容についての情報を伝える』というのもあるといいかな。」
蓮人「うん、それもいい価値だね。さらにいうと、届けたい人たちってのが既にブレずに何度も登場していることがすごくいいよ。二人のこのユニークバリューポイントも忘れないように書き記しておこうか。」
蓮人は本当は乗りかかった船でもう少し一緒に話したいという顔をしつつも、出かける支度に入りカバンにいろいろと詰めながら振り返って二人に問いかけた。
蓮人「さて、ここまでで何か聞いておきたいことはあるかい?」
爽太「あ!あの、UVPってのをスマホで検索したら、すごく近い言葉で、ユニーク・セールス・プロポジションというUSPって言葉が出てきたんですけど・・・これあとから混乱しちゃいそうで。もう出かける時間なのにすいません・・・。」
蓮人はニカっと爽やかな歯を見せながら笑顔で言った。
蓮人「爽太くん!このもう外に出ようとしているのに空気に負けないで聞きたいことを聞こうとするってのも、ますます起業家向けだな!将来が楽しみだ。あとで、スマホに違いを送っておいてあげる。本当に、もう時間だ!じゃ、あとはもがきながら、楽しんでね!」
爽太・健人「ありがとう!いってらっしゃい!!」
5分も経たないうちうちにLINEグループに以下のようなQRコードが送られてきた。
「作ってるメルマガにポイント書いておいたからそっちを見てみてね。明日は僕の会社で続きをしよう。あとで送る住所の3Fまで来てね。検討を祈る! 蓮人」
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