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美味しさの正体って何だろう

私は普段ブレンド茶を販売していることもあり、人が感じる美味しさって何なんだろうと考えることがある。
味覚を含む感覚は完全に正直で、味を伝える情報は脇役だ。
感覚のセンサーは季節や時間、同じ人でもその時の気分や体調によって欲する味は自然と変わっていくように思う。そして現在の私たちの周りに溢れる食欲を刺激する情報。きっと昔の人は手に入らず食べられなかったものが、今はお金を払うことであらゆるものを食べられる恵まれた環境がある。

感覚と情報。それに仕事や人間関係などの刺激が加わりその人自身に余裕がなくなった時、本来なら一番大切なはずの感覚がぼんやりとして一時的に満たす味を求めることがあるような気がしている。
私自身にもそんな経験が沢山ある。当時はほとんど家に寝に帰るだけで、
深夜に一日の労力分のエネルギーを取り戻すかのように食べるという生活だった。若さにあぐらをかいて、身体のために何を食べるかなんて考える余裕は1ミリも無く、外食で華やかな食事を沢山していたはずなのに、今振り返ると食べ物やお店に大変失礼なことだけれど、あまり記憶がないのだ。その時の私は美味しさに気づいていなかった。

最近1つ前の記事で養生本を紹介させてもらったように、何度目かの体の変化を感じて養生強化中の日々を過ごしている。
よく食べているのが、玄米、黒すりごま、山芋、海藻、根菜、梅など。
私は甘いお菓子に頼りやすいので、暫く控えることにした。それに合わせてコーヒーもお休み。どうしても欲しい時は無理せず手作りしたものを少し食べている。
以前だったら翌日には断念しているような食べ方なのに、今回は中年という年齢のせいか、今いるストレスの少ない環境のおかげもあるが、不思議と素食に満足して続けられている。

美味しさの正体。
しみじみと美味しさを感じるにはその物だけでなく、その人の中に美味しさを感じとる心の余裕があって、素材や大地への敬意を自然と向けている時、感覚センサーが本来の力を発揮して、時間が経っても記憶に残る美味しさになるんだろう。

私がブレンドしているお茶を美味しいと言ってくれるお客様に対して、心の中で「それを美味しいと感じられるのは、あなたの中に美味しいと感じる感覚があるからなんだよ。」といつも思っている。


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