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「あっという間」

平日も週末も、
仕事の時も休みの時も、
ひとりでいても、誰かといても。

今日ももう夜か。
今週ももう週末か。
今月ももう終わるね。
今年ももう秋になるね。

そんな言葉を言うことも聞くことも多くなった。

「あっという間」って、
ちょっと寂しいものだと思ってた。

誰かに会わないと

私は「ひとり」が好きだ。

自分の思い通りに何だってできるし、
そもそも何もしなくたっていい。

せっかく休みなのに何もできなかったなあ、
なんて日常茶飯事だし、
そんな自分が嫌になることもあるけど、
結局は「ひとり」以上に心地いいものはない。

そんな結論にたどり着く。

でも突然、その結論に納得できなくなった。

ひとりでできることには限界があって、
食べたいものとかなくて何でもいいし、
1日誰とも話さずに夜を迎える瞬間は地獄で、
何の予定もないのに、
雲ひとつない快晴の空はまともに見れない。

私の中で「ひとり」が終わった気がした。

だから、9月はとにかく誰かと会った。

大切な曲とジャンプ

去年の夏、
仕事に慣れなくて苦しかった時期の私を
支えてくれたのがケツメイシのライブだった。

今年も行くことになって、
それが頑張る理由の一つになっていた。

ファンの投票で歌う曲が決まるリクエストライブで、懐かしい曲ばかりだった。

あんな時期もあったなあと、
ふと過去を思い出してしまうような時間と、
日常の色んなことを忘れて、
ただ楽しんでジャンプする時間が入り交じった。

大半が初めて会う人たちで、
これが最初で最後かもしれないのに、
同じ音楽を通して人が繋がるあの空間が好きだ。

近くの席の元野球部らしい人が、
周りを巻き込んでテンションを上げてくれた。

笑い合って同じ歌を口ずさんだあの時間が、
日常とかけ離れるくらい幸せだった。

忘れていたこと

大して頑張りもしないで、
勝手に仕事に慣れたつもりになって、
勝手にああこんなもんかって決めつけて、

最近、日々にワクワクがなかった。

家を出て、本屋に行った帰り道、
音楽を聴きながら夜の街を見渡した。

そしたらふと、忘れていた感覚が蘇った。

「私いま東京にいる。」

大学の頃は
特に何もしてなくても、そんな状況だけで
ワクワクしてたし、
今考えればしょうもないけど、
そんな自分に自信が持てていた。

人間だから、
特別は時間が経てば当たり前になる。

決して東京が特別な場所じゃない。

でも私にとって大切な感覚を思い出せた気がして
夜風が冷たくて心地良くて、
久しぶりにまっすぐ前を見て歩けた。

口癖、人生

最近、何かと「人生だなあ」と思う。

友達と話すことの結論は大抵そこに行き着くし、
そんなつもりじゃないのに結果的にそうなってしまう。

これから先のことを考えすぎているからだと思うけど、同じようなことを考えている人が周りにいて良かったと思う。

9月17日、三連休の中日、何でこんな日に仕事しなきゃいけないんだと思いながら家を出た。

そこで1年ぶりに再会した方に挨拶をすると、
「なんか雰囲気変わった?」と言われてびっくりした。

確かに1年前、
たくさん話したしすごくよくしてくれたけど、
相手も覚えてくれているとは思ってなかった。

それに名前もしっかりフルネームで言い当てられた。

素敵な方だなと思いながら、
去年の私、案外頑張ってたんだなとも思った。

休憩時間に色んな話をした。

これまでどんな仕事をしてきたかとか、
何で今の仕事をしてるのかとか。

色んな生き方があるんだと思ったし、
好きな生き方をしていいんだと思った。

色々やりたいことも、
考えなきゃいけないこともあるけど、
私もいつか、
あんな風に自分の人生を語れるようになりたい。

だから今はとことん、
「人生だなあ」って悩んでいたい。

地元で私は2つの顔をする

仕事が入るかもしれないけど、
絶対に休みたいし帰りたい気持ちで、
1か月前に思い切って飛行機を予約した。

仕事が終わったそのままの足で
現実から逃げるように空港に向かった。

日付が変わる頃、やっと実家についた。

本当は夏休みだからやりたくもないけど、
外せない仕事をしながら地元で過ごした。

毎回、帰省すると、
特に何か成し遂げたわけでも、
何かが大きく変わったわけでもないのに、
ちょっと背伸びをしてしまう私がいる。

それとは反対に、
今日はこれが食べたい!ここに行きたい!って、
わがままな私もいる。

地元にいる時の私は、
無意識に大人と子どもの2つの顔をしている。

今回の帰省で1番地元を感じたのは、
温泉に入った後、
すっぴんだる着でご飯を食べに行った時。

それでも浮いたりしない、
もっとちゃんとしなきゃみたいな、
緊張感がない空気がいいなと思った。

方言の心地よさと、見慣れた風景。
どこに行っても、
親戚みたいな距離感で話してくれるお店の人。

きっとずっと前から変わってないのに、
私が知らなかった地元の良さを目の当たりにして
自分に合った居場所はどっちなんだろうと思った。

なんでもあるけど、
自分が何者でもないように感じてしまう都会と、
なんにもないけど、
温かくて自分の役割が分かりやすく感じる地元。

自分の中で考え方が揺らぎそうになりながら、
恋しくなってたまに帰るくらいが丁度いいかも、
と言い聞かせて結論を出すのを先送りにしてみる。

どっちがいいかなあ、
どっちかひとつに絞れないなあ、
きっとそんな風に揺れるのも人生だ。

たったひとつ、確実なことは、
昔より今の方が、地元を愛していること。

昔は上京するために頑張っていたのが、
いつしか帰省するために頑張るようになった。

地元の空港から離陸する時、
いつも聴く曲の中で大好きな歌詞がある。

「疲れ果てて足が止まる時
少しだけ振り返ってよ
手の届かない場所で背中を押してるから」

飛行機の窓から、遠ざかる地元を見下ろして、
よし、頑張ろうって思う。

大分弁と、好きなご飯と、温泉で溢れた日々。

きっとまたすぐに恋しくなるだろうな。

悪くないな

出張ばかりの仕事。

普通に旅がしたいなあと思う。

いつか行ってみたかった下呂温泉に、
まさか出張で来るとは思ってなかった

仕事が終わって、2時間後の電車を予約して、
ゆっくり街を歩いてみる。

仕事中に見た景色と同じはずなのに、
心が軽いからか、ちょっと違う景色に見えた。

カウンター5席くらいの、
小さな郷土料理のお店に入った。

おすすめを聞くと「全部おすすめだよ」と
先月入ったラーメン屋で聞いたのと同じ言葉が返ってきた。

お姉さんは今日は何できたの?どこから?と聞かれ、東京から出張で来たんですと答えた。

ああこんな田舎まではるばると言われた。

常連っぽい人と話してるのも相まって、
こじんまりした店の空気があったかかった。

ちょっと話していると外国の方が入ってきた。

日本語は少ししか分からないみたいで、
お店のおじちゃんがたどたどしい英語で、
頑張って料理の説明をしてた。

少し経って、一人旅ですか?と話しかけてみた。

シンガポールから1人で岐阜に来たみたいで、
日本は2回目で、1回目は東京観光をしたらしい。

そこからしばらく色んなことを話して、
温泉が好きって言うから、
地元大分の温泉街を勧めて写真を見せると、
目をキラキラさせてすごくいいねって喜んでくれた。

昔から言語の勉強が好きで、
英語も得意な方だったけど、
スピーキングは自信がなかった。

そう伝えると、
そんなことないよ!英語上手だよって褒めてくれた。

昔覚えた文法と単語の記憶をあさりながら、
頭をフル回転させて話したからか、
お酒で全く酔わなかった。

私は旅で生まれる出会いが好き。

国籍も年齢も、上下関係とかなしに、
対等に繋がれる感覚がある。

「気をつけて東京に帰ってね」
「旅、楽しんでね」

そう言い合って手を振った。

仕事とか関係なく、旅がしたい。

その気持ちと裏腹に、
仕事でここに来れてよかったと思った。

一見自分にとって嫌に感じることも、
どんなに小さくても、
ちょっとのいいことが隠れている。

この生き方も悪くないなって思った。

あっという間だったのは

この1ヶ月、やけにあっという間に過ぎた。

全人類に平等に与えられた時間の中で、
自分だけ置いてかれるんじゃないかみたいな
焦りを感じながら、
私なりに1日1日に意味を見出そうとした。

1人の方が楽だから、とか
まあ今日じゃなくてもいつかできるでしょ、とか
こんなことみんなは考えてないよな、とか

まあ大体こんなもんでしょって、
決めつけて冷めた目で世界を見ていた。

そう言う考え方や時間が必要なときもある。

でも、もっと素直に、
人を好きになって、誰かと共感しあって、
楽観的に生きていいんだと思った。

大人になればなるほど、と言うより最近、
どんなにすごいことを成し遂げている人にも
悩みはあるし、頑張れない日だってある、
みんな同じ人間なんだと思うようになった。

仕事でもプライベートでも、
色んな人の気持ちに触れて、刺激をもらって、
自分に向き合えたから、
きっと1ヶ月があっという間だったんだと思う。

気持ちがどんよりすることもあったけど、
結果的には心が軽くなってて、
いい日々だったなと思える。

きっと人生ってそんな感じだ。

「あっという間」という言葉を、
ポジティブな意味で使える人生を送りたい。

あっという間に過ぎる日々が嬉しく感じる、
そんな9月を過ごせて本当によかった。




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