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軽率にベトナムに行った話1

ベトナムってどこ?

そもそもベトナムという国はどこにあるのか?これでも義務教育は終わっているので、何となくの場所は知っているんだけれど、正確な場所とか大きさなんてものは知らなかったぼくです。だって日常生活にベトナムってビタイチ関係なかったんだもの。弾劾されても困っちゃう。

当然文化など知識も皆無。ぼくにとってのベトナムとは、大昔のベトナム戦争とそれを扱った映画以上の情報がないのです。本当に失礼極まりなくて申し訳ないけれど。

しかしある時、ネットで見た一枚の写真にぼくは心を奪われました。

それはアオザイを着た黒髪の美人を撮ったものでした。写真家の名前は失念しちゃったのですが、フランス人だったと思います。気になってアオザイで検索すると、出てくるのは美人の画像ばかり。

参考画像。Photo AC

ああ、自分もベトナムに行ってアオザイ美人の写真を撮りたい!写真がムリなら肉眼で愛でたい!そう強く思ったぼくは、またも軽率にJTB勤務のマツダくんに航空券の手配をお願いし、翌週にはベトナム航空機に乗り込んでいたのでした。ニートのフットワークは軽い!それはある年の春のことでした。

ベトナムって怖い?

関空で外観を見た瞬間、大丈夫かよ!?と不安になるようなボロボロのベトナム航空機でしたが、無事にベトナム南部の都市、ホーチミンに到着しました。

空港の敷地内には、古い軍用機やその残骸がゴロゴロ転がっています。誇張なく衝撃的な光景。ベトナム戦争終わってから何十年経ってるんだよ!?あれ、もしかして軽いノリで来ちゃダメな国だった?と、少々不安になりました。

タラップで飛行機から降ります。想像以上に多い日本人観光客たち。その誰もが機外に出た瞬間爆笑しています。何だ何だ?と思いながら自分の順番になり外に出ます。

出た瞬間、ぼくも思わず笑ってしまいました。

暑いのです。暑いというか熱い?まだ季節は春。ほとんどの日本人は長袖のパーカーなんかを着込んでいます。でも現実は夏。知らないような暑い夏。みんなが笑ってるのも十二分に理解できました。というか、もう笑うしかない。腕時計を見ると気温は37℃を示していました。

イミグに向かうと、そのバカみたいな笑い声も消えます。非常に緊張感を強いる入国審査だったからです。

言葉を選ばないとダメですが、職員の制服が悪役チックな軍服なんですよ。いや軍服かどうかは分かりません。単なる公務員の制服なのかもしれませんが、ポリスメンライクなアメリカや、サラリーマンみたいな日本のイミグとはまったく違う空気なのです。

曰く言い難い違和感。その中には多少の「怖さ」も含まれていました。ガキの頃に見たベトナム戦争を扱ったアメリカ映画の敵役を彷彿とさせます。ここに来て初めて、ベトナムは社会主義国だったことを思い出しました。

んー!?意外と窮屈な国なの?と思ったのですが、あっさりと入国審査通過。両替を終えて外に出ると、刹那感じた怖さなど払拭するような、アジアで見慣れた「何だか知らないけれど、凄い人の熱気」が、ぼくを待ち構えていました。

喧噪としか形容できないベトナムの空気に、空港を出た瞬間飲み込まれてしまいます。そりゃそうだ、嫌味ったらしく「趣味は海外旅行です」と言ってのける癖に、何の予習もナシでやってきた社会主義国。なのに人の熱気はアジア特有の熱気。何だここは?ってのが第一印象。第一印象つっても、まだ空港を出たばかり。

取りあえず少々高くても空港内で営業しているタクシーチケットを買うのが安全だと思い、市内のホテルに向かいました。

ホテルまでの道のりで、自分がベトナム語を話せない事実を思い出します。思い出したところで今さらどうなる訳でもありませんが。英語が通じることを神に祈るだけです(ぼくが知っているベトナム語は、挨拶とありがとうだけでした)

バイクと自転車の数に驚く

しかし、これだけ日本人観光客が入国したのです。まず間違いなくショッピングやレストランでは日本語が通じると直感しました。

ほどなくタクシーはホテルに到着。ボーイがドアを開けてくれ入ったロビーは白人ばかり。英語でフロントに話し掛けると、日本語で応えてくれました。

取りあえず荷物を置いてシャワーを浴びたら、散策に行くぜ!と外に出ました。

ホテルの窓から見えた軍艦。砲塔がこっち向いてて、暴発や誤射されたら死ぬ(笑)

ホーチミン散策

ホテルから出た瞬間、寄ってくる寄ってくる!俺は誘蛾灯か!?ってくらい、あらゆる人間がぼくを取り囲みます。ガムやら絵はがきをを買ってくれと言う小学生くらいの少女から、フェラチオ、オマンコ150ドルと怪しい日本語を話す、目の淀んだ若者、ベトナム名物のバイクタクシーの客引きなどなど。

真面目な話、まともに前に進めないのです。人垣もそうなのですが、有り得ない交通量で、比喩ではなく本当に前に進めません。信号なんかなく、横断歩道も単なる地面に描いた模様で、通りを渡れない。

最初に行った聖マリア教会

本当は歩いて街を散策し、スナップ写真を撮るつもりでしたが、こりゃムリだといきなり断念です。一番怪しいが一番日本語の巧いオッサンのバイクタクシーに、いくらだと訊くと、2時間4万ドンとのこと。4万ドンが日本円でいくらなのか分かりませんが、取りあえず値切るのが関西人。オッサンはあっさり3万ドンまでディスカウントに応じます。実際のところ相場はどれくらいなんでしょうか?

汗臭いオヤジの運転するカブの後ろに乗って、市内の有名どころの写真を撮りたいから案内してくれと頼みます。一切ショッピングはしない。カネもカードもホテルに置いてきたから、小銭しかないと釘を刺しますが、観光スポットを数カ所回った後は、土産物屋のオンパレードでした。買わねぇよ!と言っても、見るだけでオッケーねー!とオッサン。見るだけでオッケーなアジアの土産物屋なんか知らねぇぞ!?(笑)

こういうお店に連れて行かれる

実際初日で様子も分からないから、大金を持ち歩くのはヤバイと思って、財布に入ってるのは1万円程度でした。買い物をしたくても買えないのが現状。カードや現金をセーフティボックスに入れて正解だったなと、自分の選択を自画自賛です。

オッサンは本当に現金もカードも持ってないと理解したようで、自分が立て替えるから後でホテルで払えと言う。悪い人ではなさそうだけど、とにかくしつこい。

最後に連れて行かれたのは軍用品の店でした。地球の歩き方という、便利なようで結構ガセネタも多いガイドブックがカウンターに置かれ、掲載されてます!安心のお店です!なんて拙い日本語で書いてあります。何を買わせるんだと思ったらZippoのライター。それもベトナム戦争時のもの。一個3000円くらい。Zippoをコレクションしていた時期があるので、安いのは分かるんだけど、もう集めるのをやめたので興味はナッシング。

Zippoがお気に召さないと理解したのか、次にMA-1や迷彩服を売りつけようとします。こんなクッソ暑い国でMA-1とか需要あるの?本物だから燃えないよ!と、MA-1や迷彩服にライターで火をつける店のオヤジ。軍服にはなおさら興味がないので、仕方なくZippoを購入。二つで5000円にまけさせました。

謎のアピールをする店のオヤジ

少し気分が悪くなってきたので、日は高いがホテルに戻ることにしました。日本では考えられないレベルの排気ガスが気持ち悪いのと、帽子を被っていないので、軽い熱射病になってる感じです。良く見るとバイクに乗ってるベトナム人たちはマスクをしたりバンダナで鼻と口を覆って排ガス対策をしていました。

ホテルのシャワーが温いので、冷えたミネラルウォーターを買ってきて、頭にかけました。頭痛薬を飲んでNHKを見ていたら、いつの間にか眠っていて、ぼくのベトナム初日は終了したのでした。

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