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軽率にアラスカに行った話4

ドライブ断念

ムーラン効果で多少は持ち直したかと思ったものの、やはり喉の金属臭と不安は消えず、翌日もほぼベッドの上でした。

この日からレンタカーを予約していたのですが、国際免許証の入ったポーチも荷物の中なので、店舗まで出向いて事情を説明しキャンセルしました。ほぼ満額お金は取られましたが、スタッフにもの凄く同情されました(笑)

見事にノープランの旅ですが、一応いくつか予定は組んでいました。アラスカ第二の都市フェアバンクスまではさすがに日帰りがキツイので、パークスハイウェイを片道4時間くらいドライブするのと、氷河クルーズ、あと可能であればどこかでルアーフィッシングがしたいと思っていました。

氷河クルーズは日本から予約していますが、釣りは到着してから現地ツアーを探さないとなーわくわくだなーと、ほんの二日前太平洋上空で想像していたのが、遠い昔のようでした。

最初の楽しみだったドライブがムリとなり、ただでさえ低いテンションはだだ下がりです。

それでもせっかくアラスカまで来てホテルに籠もっているのはもったいないと思い、翌日は到着三日目にして、やっと朝からホテルを出ました。

ダウンタウンを散策する

取りあえずダウンタウンを散歩しようと繁華街に向かって歩きます。ショッピングモール近くのカフェでコーヒーとサンドイッチを食べながら地図を眺めるのですが、アンカレッジは想像以上に小さな街で、一日あれば散策し終えそうです。

格好良いfire truck.ちなみに日本でお馴染みのfire engineはイギリス英語

空は曇天で気温は10℃ほどでしょうか?真夏でこの寒さ、さすがはアラスカだと思いました。街のどこからでも眺められる山々は、さほど遠くない筈なのに雪が積もっています。カフェを出ると出鱈目に街を歩きました。

山には雪が積もっている

小さな街とはいえ、徒歩だとさすがに限界が来ます。3時間ほど歩いて昼時になったので、公園の屋台でホットドッグを買いました。焼いているのは美人のお姉さんで、初日の親切な二人を思い出し、アラスカには美人しかいないのか?と驚きました。

ホットドッグとチェリーコークを頼むと、ランチセットの方が得だと言われました。ランチセットとは何ぞ?と思ったのですが、小さなスナック菓子が付いてくるだけでした。菓子をランチにカウントする文化。だから皆さん、ふくよかな体型なのでしょう。

ホットドッグを作っているお姉さんの写真を撮らせてもらった後、食べながら歩いていると、ギターとカホンで演奏している白人二人組がいました。演奏してるのがビートルズだったりオアシスだったり、ぼくの好みの曲ばかりでした。何曲か聴いて拍手をしながら、ギターケースの中に5ドル札を二枚入れました。

二人はイギリスから来た大学生とのことでした。「楽器を持って旅するのは大変だろう?」と言うと、「カメラだって重いだろ」と笑われました。曲を聴きながら一緒に口ずさんでいたのを見られていたのか、「ビートルズは好きか?」と訊かれたので、「ビートルズもオアシスもブラーもポリスもエルビスコステロも好きだ」と応えると、オーコステーロ!と笑われました。何でコステロだけが笑われたのかは分かりません。

「楽器弾ける?」と言われて、もう一つあったギターを渡してきたので、オアシスのホワットエバーを弾くと、即席のセッションが始まりました。ビートルズのストロベリィフィールズなど何曲か演奏して、彼らと別れました。

アンカレッジ駅構内。勝手に入って怒られた

ガイドブックも持たずに来た旅ですが、ああ、こういうの悪くないなと感じました。観光だけじゃなくて、他者とコミュニケーションを図るってのも、もしかしたら旅の一つの魅力なのかもしれません。

昭和特撮の悪者みたいなAlaska Statehood Monument

シップクリークで釣りを楽しむ人を眺めたり、アンカレッジ駅で電車を眺めたりしていると、時刻はもう夕方で驚きました。白夜なので空の明るさでは時刻を予想できないのです。

シップクリークの釣り人。これでも河口付近。というかほぼ海

ホテルに戻る途中、小さなスーベニールショップの店先にドリームキャッチャーがあったので、一つ購入しました。悪夢から守ってくれる装飾品です。これでどうしようもないナイトメアから解放されれば良いのですが。

戻ってきたスーツケース

ホテルに戻り、フロントで「徒歩で行けて、ドレスコードが今の服で大丈夫な、一人で食事できる店を教えて」と尋ねると、すぐ近くのレストランを予約してくれました。

名前は忘れたのですが、白身魚のグリドルやステーキといった、アメリカ料理を腹一杯食べ、生ビールもしこたま飲んで戻ると、フロントで「スーツケースが届いているよ!」と言われました。

関空とバンクーバーを往復してきたスーツケースを運んでくれるポーターにチップをはずみ(嬉しさと酔っていたので20ドルくらい渡した筈)、さっそくクスリを取り出すと、三日分飲まないと効かない!となぜか思い込んだぼくは、規定の三倍のパキシルとマイスリーを、ミニバーのビールで流し込みました。

ドリームキャッチャー

シャワーを浴びて、買ってきたドリームキャッチャーを枕元に置いた辺りで記憶がなくなり、夢見ることなく翌朝まで無事に眠ったのでした。

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