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私の好きなあの子。あの子の好きなチョコミント。

あの子がチョコミントを好きって私は知ってる。
だからみんなでお菓子を買うとき、
私はさりげなく買い物かごの中に、チョコミントのお菓子を入れるのだ。あの子の微笑む顔を想像して。

あの子は遠慮をしがちで、自分からお菓子を開けたりしない。
だからいつも私が開ける。
そして私はチョコミントのお菓子を口に入れ、咀嚼する。私が食べたかったというように見せるのだ。

そしていつも、あの子の目の前に残りのそれを置く。
あの子がそれに手を伸ばして、私が買ってあげたリップのラメが光る唇を開く。毒々しくも見える青色と茶色が彼女と一体になるのを見て、私は満足するのだ。

この前、あの子と2人きりのとき、あの子は「コンビニで見つけたの!」と嬉しそうにチョコミントのお菓子の新作をカバンから出して見せた。
そしてマニキュアの丁寧に塗られた指で私の口の中に入れてくれた。

うん。チョコミントの味がするね。

そして、あの子はチョコミントのアイスが人気のお店に行こうと言った。
私は「いつでもいいよ。」と答えた。あの子は断れない性格で、いつもバイトのシフトで予定がいっぱいなのを私は知っている。
あの子は「よかった。だって真尋チョコミント、好きだもんね。」とちょっといびつな八重歯を見せて笑った。

本当は、私はチョコミントが苦手だ。
あの清涼感がどうしても歯磨き粉のそれと重なってしまう。

でもあの子と二人で出かけられるなら、目的はなんだっていい。
チョコミントだって、上等である。

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