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私の先生歴。③

 様々な指導から深く気付いた私は、カウンセリングの勉強から、コーチングの学びへと移行していき、これをピアノのレッスンに活かせないか?と模索しはじめました。

それまで、私は色んな本を読み、色んな講座にも足を運んでいたのですが、その中でも、人の思いや精神状態をコントロールする事で、理想の結果を出していける、といった『成功法則』についての本も読み漁り、その法則に効率的に乗せていける『コーチング』なるものがある事にたどり着いていました。

コーチングは、結果を出したい相手をその人が思う成功へと導く手法で、本人主体で物事を進めていけるので、コーチや先生が全て面倒を見て結果を出させるのとは真逆のやり方です。そして、クライアントの結果がでないのは、コーチの導き方に工夫がされていないから…という考え方。

それまでの教え方は、ティーチング(先生が結果を出させてあげる)優位だったと気づき、ここからは、結果を出すのは本人という考え方のコーチングでやりたい!もっと自主性を持たせて、力強く歩める生徒さん達になれるよう貢献したい!と強く思いました。そのために、今までの自分の考え方を矯正していく事に努力を費やしました。何があっても投げ出さない。その子に合ったやり方があるはず!という考え方になれたのも、この頃からだと思います。

そしてその頃に、何の因果か…他のお教室で結果が出ずに編入してきたMちゃん(当時6年生)が、駆け出しの頃に苦い思いをした県のコンクールの本選で最優秀賞(1位)を獲得!本選の演奏は、大ホールの会場がMちゃんのエネルギーでふわっと包まれたのを感じられたほど素敵でしたし、ここまでしっかりと目標を持ち、成功のイメージングもできていたので、これはコーチングのおかげだ!と疑いませんでした。そして、それまでの15年間の色んな思いが昇華されたのを感じ、Mちゃんとご家族に心から感謝しました。。。

私は、こうなる事をずっとイメージしていました。結果を出していた先生方を羨ましく思いながら、あんな風に本選で結果を出せる先生になると、きっと違う景色が見えるようになって、ワンランク上に上がれるのだろうなぁ〜と楽しみにしていました。

なのに…結果が出て感じたのは…

だから何?

という冷めた感覚でした。これは、私の魂からの声だと気付いてしまったのです。「本当にやりたい事はこれじゃないでしょ?」と。

獲得した時は嬉しかったのに、それはほんの一瞬でした。目の前の世界は何も変わっておらず、誰に認められる事もなかったし(感じられなかった)、それどころか、空虚な気持ちにさえなりました。

私は、こんな感覚になりたくて頑張っていたのか?

と。もちろん、賞を獲得なさった生徒さん親子にとっては、それはそれは意味のある事でしたが、私には、この結果に関しては何も関係がなかった…私は何も満たされていない…そんな思いでした。

そこから私は、180度方向転換。『ピアノのレッスンを通して何をしたいのか?何を生徒さん達に与えたいのか?』をもの凄く考えるようになっていきました。私のためじゃない。生徒さんのためにどうしたいか?
この世でたった一人の人間である生徒さん達の個性を生かした演奏。
Mちゃんが聴かせてくれた、キラキラと輝く個性と相まった音楽。。。

オリジナリティーを生かした演奏

子供達の感性をもっと音楽に乗せてあげたい!それこそが喜び。。最優秀賞を獲得したMちゃんは、本当に感性が素敵な生徒さんだったのですが、本選の変奏曲で聴かせてくれた緩徐楽章は、彼女そのものの演奏で、優しくて穏やかで。。。今でもビデオを観ると涙が溢れるほど素敵でした。。。こういう事を、コンクールに出るような生徒さんでなくてもできるのではないだろうか?と感じはじめたのでした。

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☆masami☆

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