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「ことばの学習」実践からみる聴覚障がい児の学び-序章-

実は、また1歳取った30代の私は、この日から決めていることがある。これを取り組む姿勢を作るために今回の記事執筆からもう少し思考を巡らせた内容として皆さんに伝えればと思っている。

まず、私は先日の投稿で以下の通りの流れで何度かオンライン授業に触れてきた。受ける生徒側の感じた側面と教える教員側の感じた側面両方を併せ持っている私にとっては、このオンライン授業の実践が自分の蓄積した経験談となっている。

「新学習指導要領『社会科』にあたって」「社会科を知るために」「日本の環境問題に迫る」「人口爆発を考える」「古代で関心あること」「中世で関心あること」「自身への備えは学びから知る」「歴史を学ぶにあたって」「地理総合の一環に触れてみる」「日本だけではなく世界にも目を向ける」「外国史を学ぶ」

上記に挙げられている記事は、全て社会科に関する知識教養を考えて教える側の視線でまとめられたものである。ただ、これは受ける生徒としても大学の講義を通して身につけた主体性ある学びで調べる力が蓄えてきた成果である。だから、全員が同じ答えではない、正しい答えはないことをご了承したい。

 「勉強とは、本質を考えること」→学習者として一般的に心構えるにあたる私の持論であるので、聴覚障がい児童生徒の視点でいうと「手話言語と日本語について考える」という記事を合わせて、読んだ方が教育者としてどういう方向性で教えるべきなのか。少しは伝わってくるだろう。

その上で、今回から触れていく内容の前置きとして「オンライン授業の“必要なこと”を考える」を6回にわたって執筆してきた。オンライン授業をテーマとしたのはこの現世、コロナ禍によって新しく変わってきた社会現象の一つで今後も考えなければならない。未来への授業の在り方なのだ。

 ここでは、私が現在取り組んでいるオンライン授業をいくつか挙げるが今「ことばの学習」ということできこえない小学生向けに教えている。きこえる小学生にことばの学習をするのときこえない小学生に同じことは通用するのか。と聞かれたら、全てそうであるというのは誤解である。

きこえない小学生にはきこえる小学生に比べて、パラ言語の認知や自然にことばを身につけるたけの身体的機能が人それぞれ個人差が備わっているのである。一括りでいうと「耳に入ってくる情報量は少ない」ということ。

この耳に入ってくる情報量が少ないということは、具体的にどういうことか。まず私の生活経験から参考にしていくとほとんどが当てはまるのではないかと考える。

●親の日常的会話が自然に耳に入ってこない。→何があったのか。何をしているのか。何を言いたかったのか。といった様々な情報が出ているのにキャッチすることができない。つまり自分一人でことばの入らない空間にいるのだ。
●外出する場所それぞれに様々な音や会話などが交わってくる。補聴器を付ければ音はきこえるけれど、発音そのものをしっかり掴むことはできない。音量によっては小さな会話や音さえ、気付かない。つまり気付かないことで音や会話から出てくることばが自然的に頭の中に入ってこないことだ。

という風に考えておけば、きこえる小学生が学ぶ姿勢ときこえない小学生が学ぶ姿勢は異なる。教える側が発問しても答えを引き出すことが難しい。頭の中は空っぽ(空白)なんだということを理解した上で、ことばの引き出しを増やすように語彙力を上げないといけないというところから始まる教育実践が求められる。

 ろう学校では、親子の会話を重視として早期的に支援をするということをきちんと取り組んでいるが実は親には色々と不安が大きいのである。どのようにして会話をしながらことばを身につけるべきなのか。ということの悩みを多く耳にする。

◯手話言語で伝える。(視覚的にものと日本語を結びつける方法もある。)

◯音を出して会話するけど、きこえなくても口の形を見る、喉を触ることで日本語と結びつけるようにする。(専門用語で「読唇術」ともいう。)

といった色々な教え方がある中で、子どもに有効なのはどちらなんだろうか。ということもあれば、子どもには音を出して理解するべきだとする考えもあるわけで、手話言語より人工内耳という医学モデルの情報に偏る傾向も今、増えている。医学モデルで育てることが正解ではないんだという正しい情報を発信しなければならない課題はある。ここでは詳しく触れない。

ということばの学習をするにあたって、聴覚障がいの子どもたちの実態を把握する前提を書いてみた。では、オンライン授業ってどのようにして実践するべきなのか。私は以下の2点を留意している。

1、音はきこえないからとにかく目で見て覚えることは、「分かったふりさせない」ことを発問のやり取りでしっかり再確認しながら進める。
2、手話言語でことばを理解する⇨書記日本語で正しく書けているのか。意味をしっかり理解した上で自己表現ができているか。を確認する。

 以上の心構えで教材準備をして取り組んでから半年と経過した。7月から始まる新しいオンライン授業では、「アクティブ・ラーニング」で主体性ある学びを拡大する指導法で実践することでより子どもたちがきこえる子どもと同じ視線で【考える、調べる、発表する】という3大要素をしっかりみにつければいい。このようにことばの学習を基礎として大事に育てていくということの場所であるので、聾学校でいう対面授業以上に慎重に指導しなければならない。

楽しく会話しながら身につけるとすれば、聾学校現場では少ないロールモデル的存在として色々と教えることのできる教材を同じ聴覚障がい者として生きる成長意欲を伸ばすことが出来れば、私としてもやりがいを感じるのである。