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自立って誰のため

ここで挙げる話は、あくまで私の感じていることであり自立活動における視点は人それぞれであると思っている。参考までに読んで頂ければいいし、YouTube「ろう学校の自立活動とは②」を視聴してくれるといい。

自立活動については先日の投稿(「自立活動について考えた理由」)で述べたが、これは聾学校における指導についての考えを自分なりに表現した内容となっている。でも聾学校と言っても文部科学省が決められている学習指導要領に「自立活動」の指導内容が記載しているほか、特別支援教育研究所で実践し、研究し、議論しまとめている報告書を参考として取り組んでいることが聞こえる教職員の中で多く占めている。

 そのため、聞こえない教職員からの視点で関わって実践するといった指導内容の研究はまだまだ浅く、蓄積されていない授業実践なのでその辺りは今後の研究テーマとして蓄積する必要もあるし全国で色々と集めて一つの実績を作り上げることがとても大事なことである。そこで、私が着目したものが全国聴覚障害教職員協議会が発行している「365日のワークシート」「みるみる日本語ドリル」などの教材をぜひ聾学校現場で積極的活用すること、そして埼玉県ではデフフッドの実践が積極的であることの授業例があり全国大会で発表されたばかりと注目している学問でも非常に関心がある。

 また一方で、デフスタディーズ(日本でいうと、「ろう者学」)というのが出ている。高等教育機関においては、筑波技術大学・群馬大学の方で何度か傍聴したことがある。特に筑波技術大学の挙げるろう者学プロジェクトは非常に良い取り組みであり、聾学校現場に影響を広げてほしいと願っている。しかしながら、これはあくまで学生のニーズに対応できるかどうかによる。

「自立活動」とはいえ、児童生徒が将来に求めることとは何かということをまず考えることが一つのテーマになる。私が思う将来に求めることとは、「聞こえない障がいと向き合う」ことである。細かなことは色々とあるが、一言まとめるとこのように表現するわけである。

障がいを向き合うことで何が良いことあるのか。私の経験では3つある。

①コミュニケーションに苦労はない。

 これは、単にいうと意思疎通の方法で聴覚口話法で育ってきた背景がある。詳しい人生については、最初に投稿した自己紹介で見ていただければわかる。家庭環境ではみんなきこえる人だったので、自然的に口話つまり音声の世界で生きていた。だから自覚の芽生えが出てくる時から、きこえないということで壁にぶつかる苦労というのはなく自然的に「会話が通じているんだ」と感じる日々であった。

ところが、大学では厳しくコミュニケーションが通じていないことの壁を大きく感じた。つまりろう学校の世界から出ると当たり前だと思っていることがそうでもなかったんだという大きな違いを肌で感じたのである。そこで手話に出会わなかったら、どうなっていたのだろうかということも考えるきっかけになった。早く手話と出会えたということに感謝している。

 だからろう学校で学ぶことは、色々な家庭環境の中で育ったとしても結局、社会では音のある世界。そこには壁が絶対あり、ぶつかることで困ることないように生きていかなければならないということをぜひ教えてあげないといけないものと考える。そのためにコミュニケーションにおいては、しっかり色々な選択肢を持つということの自分の自己アイデンティティを意識してほしいと願う。

②仕事の選択が自分らしくなること。

ここでは、アルバイトの経験になる。次回以降、もう少し詳しく触れていくともに先日の投稿(「A店長と私」)にも記述しているので省略する。

③生活に不便はない、乗り越えることができるということ

ここでは、学生時代に全日本ろう学生懇談会、そして青年部、聴覚障がい教職員懇談会などの団体活動を通して改めて自分が必要とするろう運動の心構えに気付いたことである。

 きこえないからという理由で、仕事の選択肢が限られているとはおかしい。自分の力で何かを考え、相手に伝えて一緒に働けるようにするために必要な行動力がとても大事なんだということである。まだまだ日本は、障害者差別解消法、障害者雇用促進法という法令が制定したとしても結局は慣例ないときこえない方に対する障壁に不安で、雇用に消極的な企業は多い

 例えば、建設業ではクレーン現場の近くで勤務する必要がある。だから危険物の落下などや音声での指示が色々と入ってくる。この時に随時、自力で判断して安全に仕事出来るのか。と問われてくることを聞いたことある。 

またオペレーターの仕事って時給が高いこと多い。でも電話ができない聴覚障がい者は、この時点でオペレーターの仕事には向いていない。時給が高いのにこれは対象外なんだという最初からの決まった門前払いで給料の格差も出てくるのだ。オペレーターだけではなく、事務職のほとんどは電話が出来ることを前提とした条件で募集することが多い。そのために電話が出来ないとなれば、選考対象が低くなるわけである。

 というように自立において、きこえる人と同じように成り立つためにはまずは相手の理解が一番求められるので、そのためにきちんと自分のこと(障がい)についてを正しく理解し、発信することの姿勢を高めなければならない。これが自立活動において、最も重要なポイントではないかと思う。

そこで必要な要素は何か。以下の通り、いくつか挙げてみる。

日本語力の向上、手話言語の豊かさ、障がい認識(エンパワメント)

これらを私なりに得たものや色々な話を整理した上でYouTube動画やnote投稿の執筆活動において、伝えていくことが大事だと心掛けているので一つの意見であるということを見て頂ければと思う。賛否両論はあるが、考えていない、全然興味とか意識しないというよりは少しだけでも気付かせるということが人間としての学びの意義ではないかと考えると非常に面白いのだ。