【第19話】インバウンドの会社で働くことに
Wifiのレンタルなんてどんなことやるんだろう。そう思いながら会社に初めて出社したら、なんとそのオフィスに布団が引いてあってそこで寝てる人がいました・・・。よくみてみると面接してくれた人でした。
「おはようございます。今日からよろしくお願いします。」
「あ、おはようございます。すみません、寝過ぎてしまって。タバコ吸いますか？」
「あ、はい。じゃあ一緒に。」
「すみませんね、ここのエアコンの室外機のところで夏は暑すぎるし、冬はめちゃくちゃ寒いですが。どうぞ。」
「会社に泊まったんですか？」
「あ、いや、朝が苦手で、しかもやることも終わらないので家に帰るのを諦め始めたらいつの間にか住み込んでました。社長にはすごい嫌がられるんですけどね。」
「そんなに大変なんですか？」
「大変なときもありますが、別に常に大変なわけじゃないですよ。ただ単にちょっとでも早くお客さんに荷物を届けられるのであれば掬って行ってあげたいなと思って夜中に来る予約とかも郵便局に持ち込めばギリギリ発送してくれるタイミングまではやってしまうんですよね。あとはベンチャー企業で、ちょっと何かがあれば売り上げが吹き飛んでしまうくらいの売り上げ規模なので、新しいこともどんどんやっていければなと思って、なんか根詰めなくても良いのになにかしらやってしまうんですよね。」
その時はこの人がすごい人なのか、ただの変人なのかがわからなかったですが、仕事が好きな人なんだろうなという印象でした。
「今日はなにをすればいいですか？」
「もうすぐ他のやつらも来るので、来たら一緒に郵便局に行ってもらって返却物を取りに行ってもらってもいいですか？一旦オペレーションも一通りやってもらってから、その合間にインドネシアの旅行会社だったりに営業してもらうみたいな感じでやってもらえればと思ってます。」
10時になって他の人たちも出社してきたのですが、来る人来る人みんな若くて、ベンチャー企業ってやっぱり若い人が多いのか、と思いました。
その中の長身のイケメンの子と一緒に近くの郵便局まで歩いて行きながら会社のことを少し聞いてみました。
「この会社ってどんな会社なんですか？」
「社長が夕方に来るんですが、その夕方まではケッコー自由な会社でやりやすいっすけど、社長が来た瞬間みんなの空気が死ぬのでそっからは地獄っす。」
「社長は怖い人なんですか？」
「怖くはないっすけど、話しかけるとうざいし、こっちがワイワイしてるとなんか舌打ちとかしてくるんで誰も触れないようにしてるんすよね。まじで何しにきてんだろ。笑」
どの会社にも色々あるんだな、ただあんなワイワイしてたオフィスがどうなるんだろうな、とも思いながらその空気が死ぬ瞬間を早くみてみたいなとも少し楽しみにしてました。
郵便局に着くと積み上げられた郵便局の箱が10個ほど出て来てそれを整頓して台車に乗せまたオフィスまで戻って行き、その返却で返って来た封筒を開けてパッケージをばらしたら返って来たWiFiを充電し、そのあとにその日に出荷するパッケージを作っているタイミングで社長みたいなスーツの人が入って来ました。
「おはようございます。」
とその場にいる人たちが挨拶をしたあと、僕たちが作業する音と、キーボードのタイピング音だけになりました。
「こういうことか」
スンっと静かになったオフィスをみて心の中でつぶやきました。そしたら社長が立ち上がって僕の方にやって来て
「リノくんさ、大使館とかと繋がりないの？チラシとかおけない？」
「ないことはないですが、チラシは大使館の審査とかが必要なのでちょっと聞いてみないとわからないです。」
「ならちょっと聞いてみてよ。チラシは用意するから。」
「はぁ。」
社長の目の前にいた面接してくれた部長がため息をついてました。そしたら次の瞬間にLINEに
「英語のチラシ渡すんで翻訳お願いできますか？」
とその部長からメッセージが来てました。
「良いですけどパソコンってありますか？」
「あ、いま専用のものがないので自分の貸しますね。明日渡します。」
「わかりました。ありがとうございます。」
といったような感じでその日は少し微妙な空気感で仕事を終え帰りました。
「うまくやっていけるかな。」
そう思いながらその日は電車に揺られながら帰路につきました。そのインドネシア大使館にチラシを置くことになってからいろんなことが急に動き始めることになるなんて、その時は知る由もありませんでした。
★ポッドキャストはじめました！
★MAHAMERUコーヒーとは？
NHKにも出演したオーナーのリノが運営する松戸のインドネシアのコーヒーのみを取り扱ったカフェです。
URL：https://www.mahameru.tokyo/
住所：千葉県松戸市本町6-8平野ビル1F
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