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【承認欲求と自己高揚動機】~切っても切れないふたりの関係

承認欲求で大変なことになっている人も多く見受けられますが、その根本にあるものは一体何なのでしょうか?

人には、自分を正しく評定したいという欲求がありますが、それを越えて、自分を実際よりも高く見積もりたいという欲求にまで発展することもあります。

今回は、その背後にあるシステムについて書いてみます。

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★「承認欲求」とは、他者に自分の存在を認めてもらいたい、あるいは、自分の考え方を受け入れてもらいたい、という欲求を指します。

承認欲求を測るツールとして、クラウン(Crowne,D.P.)とマーロウ(Marlowe,D.)による「社会的望ましさ尺度」というテストがあります。

承認欲求が強い人は、同調性が高いこと、説得されやすいこと、自己評価が低いこと、などが知られています。

また、周りの人から良く思われたいために、印象操作を多く行うといわれています。

現代の病理として、この「承認欲求」が挙げられることが多くあるため、上記のような内容は一般的に知られている事柄かもしれません。

★ここで、承認欲求と並ぶと言ってよいほどに、人間の根底に根差す欲求(動機)である、「自己高揚動機」を挙げてみたいと思います。

「自己高揚動機」とは、自己や自尊感情にとって肯定的な意味をもつように現象を解釈・説明し、そのような意味をもつ情報を収集しようとする個人の傾向を指します。
この自己高揚を、人の最も基本的で重要な動機として考える研究者もいます。

承認欲求については比較的多く語られていますが、この「自己高揚動機」については承認欲求ほど多く語られているようには思えません。
しかし、実は、承認欲求よりも大きな問題といえるかもしれないのが、この「自己高揚動機」だと思うのです。

この「自己高揚動機」は、自己や自尊感情に脅威があるときに、特に強く現れると考えられています。

例えば、今度の試験に落ちたら格好悪いと思い、試験前に、「今日は朝からお腹が痛いんだよね」とか、「昨日は家の用事があって、殆ど眠れなかったんだよね」などと言って、落ちた時用の「予防線」を張ることがありますよね。
万全の状態で試験を受けて、それで落ちたら、自尊心にとっての一大事ですから。

なので、たとえ落ちても「それなりの理由があるんだよ。実力が足りなくて落ちたんじゃないんだよ。ね?格好悪いことではないでしょう?」といった感じに持っていきます。

これを心理学では「セルフ・ハンディキャッピング」といいますが、このような行動の背後には、この「自己高揚動機」が存在しているという訳です。

このように、「自己高揚動機」は、人の根本に染みついている、かなり根深い「業」のような感じです。

★このように、「承認欲求」と「自己高揚動機」が表裏になることにより、自己の存在価値を見出だせるような情報を際限なく追いかけていくことになってしまうことも多々あるのです。

そのような情報が現実には存在しないと分かった場合などには、嘘をでっち上げてでも、自己の承認欲求や自己高揚動機を満たそうとすることもあるのです。こうなってくると生活に支障が出ることも多くなってきます。
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ネット社会がここまで進んで、自分好みの(自分に都合のいい)情報だけを選択的に取得できるようになった今、客観的な視点で(他者の目で)自分を顧みるといったことはなされなくなってきているのかもしれません。

独り善がりが度を越して、大変なことになってしまっているような人も多く見かけますので、可能な限り冷静かつ客観的に、自分を見詰めないといけないところですね。

ということで、今回は心理学についての投稿でしたが、またベースやバンド、法学などなどについても書いていく予定ですので、その際もどうぞ宜しくお願い致します!

それでは一旦この辺で!


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