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旅で磨こう「文化力」

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「大人の心は、いつも発見の旅を待っている」。そんな旅のヒントを、これまで体験した内外の旅を通じ伝えたい。
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#旅行

旅で磨こう「文化力」 始めます

#旅行 #紀行 #文化力 #エッセイ  世界を席巻した新型コロナ禍で、増え続けていた海外への旅は、すっかり冷え込んでしまった。されど旅の魅力は色褪せることはない。旅は発見と感動を与え、好奇心を満たしてくれる。さらに旅によって、「文化力」を磨くことが出来る。私にとって、旅は生きていることの確認の場であった。智が満ち、歓びの原動力となる、そんな旅を、生ある限りこれからも続けたい。気障に言えば、「大人の心は、いつも発見の旅を待っている」。そんな旅のヒントを、これまで体験した内外の

氷河、白夜…清冽な大自然の北欧 ノーベル賞や童話やおとぎ話、魅力いっぱい

 毎年秋になると、ノーベル賞の発表があり、ノーベルの生まれた12月10日に授賞式が行われる。この時期、しばしば北欧の旅を思い起こす。オーロラこそ見ていないが、白夜で知られ、フィヨルドや氷河など清冽な大自然の北欧は、印象深い地だ。朝日聞社に在籍していた1996年9月、初めての海外出張がノルウェーだった。それから約20年後の2015年6月、スウェーデンとデンマークも含め北欧3ヵ国を旅した。とりわけオスロ市立ムンク美術館やオスロ国立美術館にはいずれの旅でも訪れた。名画《叫び》との再

拉致と核、国交のない北朝鮮の旅  いつまで続くのか「近くて遠い国」

 国交のない北朝鮮への旅は、少なからず勇気が要った。何しろ拉致をはじめ核・ミサイル開発など難題山積で日本との関係は冷え、外務省からは渡航自粛の通達が出されていた2005年9月、北朝鮮の土を踏んだ。渡航の目的は、同国で初めて世界遺産に登録された高句麗遺跡調査だった。小泉純一郎・元首相が北朝鮮を電撃訪問し、金正日・朝鮮労働党総書記と日朝首脳会談をしてから3年後のことだ。その後、首相が交代しても、日朝国交正常化は進まず、小泉訪朝から来年9月には20年の歳月が流れることになる。国際政

未踏の地、アフガニスタンで政変〜バーミヤン大仏破壊から20年の今後は〜

 戦乱のやまないアフガニスタンでアメリカ軍の撤退に伴い、タリバンの侵攻が急テンポな展開となり、政府が崩壊した。タリバンと言えば、バーミヤンの大仏を2001年に爆破したことは記憶に生々しい。その直前、シルクロードを研究テーマにしていた私は隣国のウズベキスタンやパキスタンまで行きながら、当時の政情から足を延ばせなかった思い入れの地であった。その後、現地を何度も訪ねたことのある知人との交流や、流出した文化財の展覧会などを通じ、未踏の地ながら、その動向に関心を寄せてきた。タリバンが二

アウシュヴィッツの悲劇を伝えたい 〜「戦争の狂気」を語り継ぐ大切さ 〜

今夏もヒロシマとナガサキでの原爆祈念の日、そして終戦記念日の8月が巡ってきた。満州やマニラ戦線に出兵したことのある亡父から死を待つ床で、「戦争は絶対あかん。お前を新聞社にやれて、ほんとに良かった」とつぶやいた。筆者は、戦争をテーマにいくつかの記事を書き、出版、展覧会にも関わってきたが、どれほど戦争の愚かさを伝えられてきたのか、悔いが残る。  定年後、映画『戦場にかける橋』の舞台であるタイのカンチャナブリーをはじめ、ベトナムのハノイ、ボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボなど世界

アメリカで野球の聖地を訪ねる 〜「野球の殿堂」に詰まった歴史と文化

#旅行 #エッセイ #アメリカ #野球 ■約2300人の小さな町に野球の発祥地  大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手の投打にわたる破格の活躍が伝えられているが、新型コロナ禍とあって、NHKのBS放送で我慢するしかない。かつて野茂英雄やイチロー、松井秀喜選手らが活躍していた時期は、大リーグ観戦ツアーが実施されていた。しかしニューヨーク郊外の野球発祥の地を訪れる日本人はほとんどいない。2003年の晩秋、野球の原点を訪ねるツアーをーーとのユナイテッド航空の企画に参加した。野球文化

コロナ禍で人気低落のクルーズツアー〜 昼間観光し夜に運航、快適な船旅〜

#旅行 #エッセイ #クルーズツアー  ■初めての軍艦島、繁栄から衰退の姿 振り返れば海外渡航は100回を超し、訪れた国は57ヵ国に及ぶ。国内も全都道府県に行っている。コロナ禍の現在、海外への旅は大幅に制限され、目下自粛を余儀なくされている。そのコロナの感染者が当初700人以上になった横浜寄港のタイヤモンドプリンセスの騒動は記憶に新しい。人気低落のクルーズの旅から始めよう。  2019年10月、イタリア船籍の「MSCスプレンディダ号」に乗船し、横浜-長崎-釜山間を3泊4日