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いつ出発するの?〜ヨルダンのマイクロバス事情①〜

居住地から活動先のパレスチナ難民キャンプへは、毎日バスで通っている。最近では、バスに乗り込む際に「アッサラームアレイクム(こんにちは)」と言う私の挨拶に返事をしてくれる人も多く、顔なじみも増えてきた。帰りのバスではウトウトしてしまうくらい、今となってはなんだか居心地の良いバス通勤となっているけど、最初は戸惑う部分も多かったので、今日はかなり独特なヨルダンのマイクロバスに書いていきたいと思う。

1. アラビア語が読めないと乗るのが難しい

まず、マイクロバスは基本的にはある区間とある区間の往復をしているため、バスの正面と側面には、2つの地域の名前がアラビア語で書いてある。基本的にはここに書いてある2区間にしか止まらないが、道中に乗客が立っていたり降りたい人がいれば、その都度止まってくれる。バスの出発地から乗車する場合は問題ないが、道中でバスを止める場合には、バスの前方に書いてあるアラビア語の地域名が読めないと、走っているバスを止めるのはなかなか難しいと思う。

2. 男女が横に座らない

バスは補助席含めて約28座席あるけど、イスラム文化が浸透しているヨルダンでは、異性との身体的接触をしないため、男女が横に並んで座席に座ることがない。男性の横しか座席が空いていないとなれば、1人席に座っている男性が私に座席を譲ってくれ、その男性は席を移動してくれたり…。乗客同士、言葉を交わさずともさっと動く様子は、まさに阿吽の呼吸。誰も動かない時があれば、バスの運転手が座席を移動するように声をかけてくれる。満席の時があれば、座席に座っている男性は大概、女性に席を譲ってくれる。

たまにどうしても男女が横に並んで座らないといけない場合があったりすると、横に座る男性は、隣の女性に触れないよう浅く腰掛けるなど、配慮してくれている。(地域差・個人差あります)

3. 暗くてタバコの煙が充満する車内

窓には黒の分厚いカーテンがしてあるため、カーテンを締め切っている場合は車内はかなり暗い。車内でタバコを吸う人もいるので、その時のバス内の空気はどんより、モクモク…といった感じで、最初はそれに慣れなくて気分が悪くなったりもしていたが、今ではなんとも思わなくなった。(慣れって恐い)

4. 出発時間はインシャアッラー(神のみぞ知る)

そして一番厄介なのが、バスの本数が少ない上に、バスの時刻表がないということ。バスは、乗客がある程度揃ったら出発するため、乗客が揃うまでバス内で待っていなければいけない。

私の利用区間では、朝のラッシュの時間で1時間に2本、帰りの時間帯では1時間〜1時間半に1本という少なさ。朝は、運の良いことにいつも同じような時間に出発してくれるので、家から活動先まで、バスの乗車時間20分を含め、片道30分で活動先に着くことができる。一方で、帰りは家まで2時間近くかかることも少なくない。それは、難民キャンプ発のバスの本数が少なく、いつも乗り込んでから平均して30分以上車内で待機しているからだ。1時間以上車内で出発を待つこともあった。バスに乗る時に「あとどれくらいで出発する?」と運転手に聞くのだが、毎回「あと10分〜15分で出発する」と言って、実際にそうなった試しがない。

今はバス内でその日の活動を振り返ったり、必要な連絡をしたり、明日の活動を考えたり、ウトウトしたりして(これが一番多い笑)、その待ち時間も苦にならなくなった。


日本とは異なる事が多く、初めは戸惑うことも多かったバス通勤は、なんだかんだ言いながら結構気に入っている。道中の、草の少ない草原や丘の景色をボーッと眺めるのも好きだし、アラビア語のラジオが流れる車内で、ヒジャブをしている女性やハッタ(赤白の格子模様の布を黒い輪っかで留めたもの)を頭にしているお爺さんの後ろ姿を見るのも好き。私にとって、もしかしたら日常の中で一番中東を実感している空間なのかもしれない。


※ 次回の「ヨルダンのマイクロバス事情②」では、マイクロバスに乗ってから降りるまでの流れを書いていきたいと思っています。

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