とーます模話のこざこざシリーズ 28「わたしが俳句をつくる訳③ ~【草茂る 着工前の ビルの街】【路地過ぎて ふと戻り見る 軒のバラ】~」
①ビルの街 着工前の 秋の草(秋)
②草茂る 着工前の ビルの街(夏)
③ビル街の 空地にしばし 草茂る(夏)
④路地過ぎて ふと戻り見る 軒のバラ(夏)
⑤路地過ぎて ふと見上げたり 空の澄む(秋)
⑥風死して 路地の途中に 立ち止まる(夏)
⑦路地裏を ゆくりと歩く 空の澄む(秋)
⑧さざ波が 起こる川面に 秋の風(秋)
⑨秋の風 さざ波立ちて 川面揺る(秋)
※太字は季語
【解説1】
いま住んでいる町は、ビルの建設が頻繁に行われています。
古い住居を取り壊して、新しく10階建て以上のビルを建てるところが増えています。
2階建てなどの低層の建物が多かった街に、
急に10階建てのビルがたつということは…
これまでの景観がかわるということですし、
環境もかわってきているということでもあります。
老朽化する町でもあり、建て替えは必然でしょうが、
やはりなんだか残念な気持ちになります。
土の見える場所はますますなくなっています。
しかし、皮肉なことに…
建て替えのために更地になったところに雑草が生えて、
着工前なのでいずれその緑は失われてしまうのですが…
その草むらを通るのが…結構心地よいのです。
①~③は、そんな気分を書いてみました。
【解説2】
今の時期は酷暑のため、歩いていてもうんざりしてしまい…
けだるい気分が強いのですが…
町中を歩くたのしさも少しはあって…
暑いなかでもなんだか気分がなぐさめられることもあります。
例えば、各お宅の軒先に植えられた草花だとか…散歩する犬だとか
蝶や鳥やミツバチなどを見かけたりするときなど。
暑くてうんざりしますが…もう空は秋の空にかわっているようです。
青い空を見上げると…少し気分が晴れます。
④~⑦は、そんな気分を書いてみました。
【解説3】
隅田川をよく見に行きます。
川の水はきれいではありませんが、
流れている川を見ていると気分がかわって
気がまぎれることが多いようです。
秋になっても陽射しが強く、
川そばでも涼しくないのですが、
川面に太陽の光が反射して、
鯔の大群でもいるのか?と思うくらいに
さざ波だっていて…気になってじっとみていることがあります。
⑧、⑨は、そんなときを振り返って書いてみました。
それではまた。
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