とーます模話のこざこざシリーズ 17「こっちががまんしてるのにおまえはなんだ!②」
【ある日の観察2】
ある景勝地にいったときのこと…
急な階段をのぼっていると、
進路上に、有名チェーン店の大きな袋がおいてある。
それが、捨てられたものであることがすぐわかった。
階段を上っている苦しさもあってなのか、
私は不快感を抑えることができず…
思わず叫んでいた。
「ゴミー!」
自分でも少し驚くほど自然に怒鳴っていた。
「もってけやー!」
すると…なにやら、階段の下の方で、
中国語の話し声が聞こえた。
私は数段上がったところで、振り返ると…
下の方から30歳くらいと思われる男性が
階段を上ってきたのだった。
その男性は私のほうをうかがいながら、
ゴミの袋を拾い上げた。
私はゴミの袋をもって
ゴミ箱に向かう必要がなくなったことを確認すると、
そのまま階段を上がり続けた。
正しい自分がまた出てしまったか…
心の声をきいてみる。
「おれはゴミは絶対に捨てない」
「なのに、おまえはなんなんだ」
「ふざけるな、おれがこんなにいつも我慢しているのに…
おまえはなんだ! いいかげんにしろ」
今回のことで、
この手の自分がよくやる正しさの押し付けは
「自分ががまんをしていることを他人が平気でやっていること」
に対しての怒りの爆発だったのかもしれないと悟った。
落ち着いた後、
私は今後は、
「ほめられようがどう思われようが、
自分の決定として、自分はゴミを捨てない」
「自分はゴミを捨てることは嫌いだから、
街を汚したくないから、きれいにしていることが好きだから
ゴミは捨てない」
くらいの意識で、
怒鳴ったりすることはやめようと思った…。