【少年小説】「ぼうくうごうから」①
ゆきおはいつも何かにおびえて生きている。
しかし、ほとんどの大人たちは、この少年がそんなことを感じているとは気づかなかった。
ゆきおは「いかに自分が無邪気で陽気で、子どもらしい子どもであるかをアピールすること」に長けていた。
それは、いじましいほどの努力で、「自分の無実の罪の汚名を晴らそうとする」かのようだった。
彼自身、その努力がいったい誰にたいして、何のためにしているのかがよくわからなかった。
しかし、「子どもらしくない性格を見抜かれること」を徹底的に避けようと