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未だ他人のうちの匂いがして

お邪魔します
の気持ち


ただい


自分の声色に少しの羞恥
思いのほか響いて狼狽


夜は電気を消して
手元だけ橙を灯し
良い酒を、ほんの少し飲む

窓を開け放てば風達の往来


今夜は
キッチンの床や
狭い廊下に横になって眠りたい


(いるならば)ゴキブリや蜘蛛や幽霊が
私の傍らを駆けていくだろう
孤独が散るなら
それはそれで構わない


私はこの家を早く
私の住処にしてしまいたい

ゴキブリや蜘蛛や幽霊と同じように
当たり前にここにいて
住処
と呼んでみたい


住めば都
否、
素晴らしい鄙


窓の外は深い青
手元は橙
酒が鼻の先端に香り
乾いた文庫をめくる音が
ペラ


それを幸福と呼ばずして、
なにをか

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引っ越して3ヶ月が過ぎました。

新品の匂いが家中からするので
お気に入りのお香を沢山焚いてます。

マーキング。もはや犬。


写真は引っ越し直後の部屋の一角。
我ながら酷い。
今は皆、静かに本棚に並んでいます。

1人で暮らす孤独は
たまに異常な大きさに膨れますが、
それにも慣れるんだと思うと余計寂しいです。

おやすみとおはようを
人に 言う/言われる が
こんなに大切だと思わなかった。

この暮らしは当分続く予定です。


渡部有希

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