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目玉焼きのせ中華丼

中華丼といえば、本場中国にはない、日本人が創り出した丼だ。もちろん、似た料理はあるけれど、中華丼というメニューがない。それだけに、決まったスタイルはない。

肉や野菜を炒めて、スープで少し煮込み、水溶き片栗粉でとろみをつけたものをご飯にかける。それが基本スタイルだけれど、少々変わったものもある。たとえば、目玉焼きがのった中華丼。浅草の「あさひ」という老舗町中華で出しているのが中華丼には、目玉焼き、チャーシュー、ナルトがのっかっている。その下の層は、野菜のあんかけがあり、その下にご飯がある。

目玉焼きは半熟の場合もあれば、よく焼いたときもあり、その日のご主人の気分次第。自分はよく焼きが好きだけれど、半熟の黄身を少し割って、餡やご飯と一緒に食べるのも好きだ。

こういう中華丼は珍しいと思ったが、他にもそんな店があった。根津にある「オトメ」の中華丼にも目玉焼きがのっていた。

「あさひ」の目玉焼きのせ中華丼が男っぽいのに対して、「オトメ」のそれは女性っぽいように思う。ただ、チャーシュー、目玉焼き、その下にあんかけの野菜、その下にご飯がある。これだけ似ているのだから、なにか関係があるのではと思って店主に聞いてみたが、どちらも老舗であり、現在の店主は、あさひは4代目、オトメは2代目。初代ではないので、わからないそうだ。

しかし、明らかに関係のわかるお店があった。それは本郷菊坂にある「ゑちごや」さんだ。こちらの中華丼にも目玉焼きがのっかっている。

ただし、チャーシューはのっかっていない。こちらは明治10年創業のお店。創業時は八百屋さんで、その後、かき氷や和菓子を出すようになったのだが、現在の3代目の店主のとき、中華もやりたいと、根津のオトメさんで教えてもらっらのだそうだ。タダで皿洗いをするから、作り方を教えてくれとお願いしたそうだ。

どの店の目玉焼きのせ中華丼にも共通していることがあって、目玉焼きへの火の入れ方は、その時次第ということ。半熟を予想していくと、きっと堅焼きになるのかも。ご主人の気分なのか、厨房での調理の都合なのかわからなないが、なぜかそうなる。注文時に半熟にしてくれとか堅焼きにしてくれと言えば、対応してくれると思うが、僕はそういう注文をしたことはない。どちらでもいいというより、きょうはどちらだろうとあれこれ予想するのが楽しいので、あえて注文はつけない。


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