約束

「約束」の賞味期限

人はいろんな人といろんな場面でいろんな形でいろんな内容の約束をする。
あまりに近い間柄だと、その内容に反して時に軽いものになってしまったり。
失ってしまった信用を取り戻すには途方もない努力が必要で、どれほど努力しても二度と元に戻らないこともある。

外では言われなくても当然必ず守るのに、長く連れ添っている妻との約束は守れなかったことも多々あるにもかかわらず、言い訳をして反故にしたことがどれだけあったことか。

一度、婚姻関係を解消しそうになったことがあり、そのとき初めて自分を真剣に見つめ直した。
思い返すと恥ずかしくて直視できないほどの情けない言い訳をして、逆切れして、優先順位の最下位に位置づけていた。
猛省だった。

約2年半かかって自分を徹底的に変えた。
その間は今思い返してみても辛さがぶり返すほど辛かった。
医者に行けばきっと、何かしらのメンタル系の病名をもらっていたんじゃないかと思う。

反故にされ裏切られ続けてきたが、それでも婚姻関係を解消しようとはしなかった妻。
私の辛さなど足元にも及ばないほど辛かったことを、そのときどんな気持ちだったのかを、2年半経ったそのときに痛いほど感じ取ることができた。
30代後半になってようやく。

土下座で謝罪し、思い出せる限りの私が辛らつな態度を取ったときのことについて、そのときの妻の感情について可能な限り寄り添い、その一つ一つについて丁寧に謝罪した。
簡単には言葉にできない感情があっただろうに、妻は私の謝罪を受け入れてくれた。

「これからは、全力で、自然体で、家族をあなたを守っていきます。」
「今更だけど、たった今から笑いの耐えない家庭にしていきます。」
「約束します。これからの私を見ていてください。」

それ以降、信用を築き上げ、今も約束を守り続けている。
お陰で、というか多分、妻のお陰でというのが正解なんだろうけど、テレビを見てる誰かが迷惑を被るほどに四六時中話し声が耐えないような賑やかな家庭になった。


約束の賞味期限とは、気持ちが変わるときまで持続するものなのかもしれない。


賛否あると思うが、何周も回って辿り着いた答。
それが自然な形なんだと今は思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?