見出し画像

スナムグリヒョウタンゾウムシ Scepticus tigrinus

過去の写真整理がてら書いていきます。
故に季節感がありませんがお楽しみ下さい。

春の海に想いを馳せて〜。



2021年4月、日本海側の砂浜をうろうろしていました。

クサフグが泳いでる〜
萌え〜
結構色々なものが打ち上げられていますね!
いつかアオイガイの殻とか拾ってみたいです。

昆虫のなかには、砂浜やその一帯にしか生息していないものがいます。
海浜性昆虫などともいわれ、打ち上げられた海藻や魚の死がいなど有機物を食べていたり、
ハマヒルガオなど海浜に生える植物に産卵、幼虫がそれを食べ、大人になり、また産卵…等、海浜性植物を軸にライフサイクルを回していたり、
さらにその虫たちやトビムシ類など小さな動物を食べていたりする虫たちのことです。

ちなみに以前ハマダンゴムシという、砂浜にしかいないアルティメット可愛い系ダンゴムシを見つけたので、
それもいつか書こうと思います。

あとは、オオウスバカゲロウという日本最大級のウスバカゲロウの仲間がおり、その幼虫も見てみたいです。

綺麗な海だなあ。


さてその中でも私は、なんとなくハマベゾウムシを見ることにずっと憧れていた為、
砂浜の流木等をひっくり返したりしていました。
すると、
ゾウムシが!歩いてる!

おおっ?!
これは!!
誰だ!?


今まで見たことないゾウムシの仲間だったため、テンションが上がります。
ごま斑がいかしています。


帰宅してから調べたところ、
スナムグリヒョウタンゾウムシ Scepticus tigrinus
という、日本海側と、東北以北の太平洋側の海浜に生息する種のようでした。

すなむぐりという語感が独特でクセになります。

なぜ日本海側だけじゃなく太平洋側の分布域があるのか?と思いますが、
その範囲は現在の対馬暖流ー親潮の潮流と一致するそうで、
虫たちはその海流によって分布域を広げていることが予想されるそうです。

海の流れと、昆虫の分布が関連しているというのが興味深いです!

また、トビイロヒョウタンゾウムシという同じ属の種は、
太平洋側と沖縄、大陸の一部の海浜に生息しており、日本海側ではみられないらしいです。

似ている種なのに棲み分けているのが面白いです。

このご当地感がまた、生き物探しの醍醐味でもあります!                  

海をバックに!爽やかっ
輝くボディ
畏い


調べてみると、彼らは海岸付近で栽培されている、タバコなど農作物を食べてしまう害虫としても悪名高いようです。

実験の材料としてですが、ヨモギやラッカセイも食べるようです。

なんやかんやと書きましたがなぜ海浜に特異的に生息しているのか、私は調べてもイマイチよく分かりませんでした…!
いろんな食草に対応しているけれど、とりあえずハマヒルガオとか他の昆虫が取り付きにくい海浜性植物を食べていて、
環境的にもスナムグれる土壌があれば大丈夫だけど、他の虫が少ない砂浜を選んでいるのか?
住める環境の守備範囲は広いけれど、他の昆虫との競争のすえ海浜を選んで生きてるのかな。
今度詳しい方に会う機会があれば伺ってみたいです。

あとは海浜性昆虫たちにとっては、
松林などの樹林ー草地ー砂浜ー海 という帯状の環境が重要みたいです。
砂浜だけではダメなのですね。


指に乗せてみる(人差し指)
サイズ感がかわゆい
青い空!白い砂浜!スナムグリヒョウタンゾウムシ!


なんにせよ私に絶大なる癒しを与えてくれた彼らに幸あれ。
全国の海浜環境がうまいこと存続してほしいです。


コウボウムギ
これも海浜性の植物です。
たくましくて格好いい!
花が咲いていた。
これは雌花みたい。


【参考文献】
・田村 光章, タバコにおけるスナムグリヒョウタンゾウムシの発生と加害, 関東東山病害虫研究会年報, 1982, 1982 巻, 29 号, p. 157-158, 公開日 2010/03/12, Online ISSN 2185-3673, Print ISSN 0388-8258, https://doi.org/10.11337/ktpps1954.1982.157, https://www.jstage.jst.go.jp/article/ktpps1954/1982/29/1982_29_157/_article/-char/ja
・河上 康子, 村上 健太郎, 海岸性甲虫類の種構成と海浜の面積および孤立度との関係, 昆蟲.ニューシリーズ, 2014, 17 巻, 2 号, p. 59-66, 公開日 2019/04/25, Online ISSN 2432-0269, Print ISSN 1343-8794, https://doi.org/10.20848/kontyu.17.2_59, https://www.jstage.jst.go.jp/article/kontyu/17/2/17_59/_article/-char/ja
https://mushinavi.com/navi-insect/data-zou_hyoutan_sunamuguri.htm
https://www.green-f.or.jp/hayashi/no10pdf/ikarasihama.PDF
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-16K07484/16K07484seika.pdf


(全て2021年1月2日に確認)


こちらもどうぞ〜

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?