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リピーターの観光客が多い京都。特に多いのが40才以上の女性。地元人よりも京都通になっておられてガイド本など必要としない。「こちらは京都ですけど」と知ったかぶりして商売をやっていたらしっぺ返しを喰らうので気をつけないといけない。そんな時は素直に教えを請うのが無難だ。とは言えその他大勢の人はスマホ片手に溢れる情報の中から吟味され京都の街を闊歩されている。
でもスマホの情報を頼りにしても辿り着けない事がまだまだ多い京都。人通りの少ない場所で看板も出さずに自立している店などがあるから不思議だ。そのような店を見つければ足げに通ってみる価値あり。馴染みになれば常連客から手持ちの秘密のアジトのような店を教えてもらえるかもしれない。聞き出した希少情報は儲けもの。大事にしまっておこう。格好をつけて不特定多数に教えてしまえば元も子もない。
反対に「京都ブランド」と自ら冠を付けて手広く宣伝されているところは少なからず存在する。ブランドというのは身内から名乗るのではなく、まわりから評価され認められた結果だと思うのだが…。ご商売のあり方は店それぞれだからそれはそれで良し。

少し前までのことだが、看板も出さず週二日しか開けないbarに何十年も日参した。後年になって水曜日と木曜日しか営業しなくなったから客がつけた通称は水木庵。売り物はわずかの種類の酒。酒のアテは常連客とのシンクロするような会話。京都のことでわからないことがあれば常連の誰かが答えてくれた。当然知っている人しか入ってこない。店主自身が、店を知ってほしいわけでもなく、好きになってもらいたいわけでなく、とは言えぶっきらぼうで横着しているわけではない。そんな店主はどんな方面の話題も綺麗に整理できる懐があった。だから常連客は長年毎週連夜待ち望むように足を運んだ。こんな秘密のアジト?まで、リピーター観光客がたどり着いたとすれば、京都の人より京都通になったと脱帽するしかない。

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