見出し画像

ふたたびソニー復活  新聞とテレビの凋落について

○月△日
 突然で無粋ですが、2社目の会社の給料はメーカーにしてはとても高かったです。非上場でしたが一部上場企業以上ありました。この給料が高いって、人を勘違いさせますね。
 一緒に仕事をしていた、俗にいう下請け会社の人の給料は半分かそれ以下くらいだったと思います。一緒に仕事をすると言っても、こちらはその人たちに指図する立場でした。マネーもパワーもあるのです。こちらはパリッとしたスーツ、相手は油まみれの作業服のときもありました。自分が偉くなったような勘違いを起こします。

 さて新聞社やテレビなどのオールドマスコミの社員たちって、たぶん入社以来こんな状況だったのだろうと想像できます。自分たちは高給取り、そして下請けに指示をする。彼らの入社試験は倍率100倍超の狭き門です。初任給も特Aクラスで、常に同世代給与のトップクラスです。選ばれたエリートたちなのです。

 しかし、昔は隆盛を誇った新聞やテレビは、10年ほど前からオワコンだと言われていたのに、特に変化がありませんでした。これらメディアの凋落はもう止められないでしょう。内部の社員は何をしていたのでしょうか。高給をもらって、下請けに偉そうにできる日々の中、きれいなオフィスで会議を重ねていたでしょう。しかし何も変えられなかった。何かを変えられる「胆力」が彼らに備わっていなかったのです。

 新聞やテレビ、インターネットというメディアの形態の違いで、栄枯盛衰を論じるのはスマートで学術的でしょう。でも単純に、平均年収が1500万と300万(10年前です)との丸腰の泥レス(古いな)をやったら、どちらが勝つのか問題だったと思うのです。要は「胆力」が違うのです。

 以前にソニーがなぜ復活できたのか、パナソニックはなぜ凋落したのかという記事を書きました。
 一点だけ単純な理由について言及し損ねていました。他の家電会社と違ってソニーには、まともな労働組合がなかったのです。まともなというのは語弊があるかもしれませんが、他の家電業界のようなユニオンシップ制を敷いた、電機連合加盟の巨大な労働組合はありませんでした。

 労働組合がそれなりに機能していると、社員はそう簡単にクビになりません。社員は無意識的にクビにはならないはずと安心しています。著しい減給も無い仕組みになっています。出世して非組合員になったとしても、それまでの数十年の慣性がありますし、実際に非組合員が無下に解雇される場面もほとんどない訳ですから、安心と甘えの構造があります。

 この安心と甘えを払拭し、胆力を鍛えるシステムが、内部の人事考課システムなのでしょうけど、結局は単なる狡猾さを鍛える訓練にしかならなかったと思います。内部世界で柔らかいボールのノックを受けて、そのボールをエラーをしない特訓をしていただけでした。当たれば大怪我、落としたら即交代ではなかったのです。

 ソニー社員は、下手したらクビになるかもしれないという恐怖が無意識にあったのでしょう。なので低迷しても浮上できる胆力を備えていたのです。一方でパナソニックのみならず、凋落した家電メーカーにおいては、社員を守るはずの労働組合の存在が、安心と甘え意識の温床となっていたのです。

 起業を考えている身として、安心と甘えとエリート意識、これらが温床化しない組織作り、社員に胆力を養う仕組み作りが経営の課題なのでしょう。
 ま。そんなでっかい会社を作る気は毛頭ないのですけど。でっかくなったりして。まあそのとき考えます。でっかくなっちゃったって言いながら。それではまた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?