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何かとメンドくさい社会科学、何の役にも立たない人文科学

ボクは工学部出身、長くエンジニアをしていてバリバリの理系ですが、興味のベクトルはどちらかというと文系に向いていました。
高校生の頃は常に理系か文系か進路で悩んでいましたが、成績が理系の方が良かったので理系を選びました。
しかしその安直な選択は、良かったのか悪かったのか。

さて、いわゆる「文系」の学問を大別すると、人文科学と社会科学に分けられるようです。
人文科学は、文学、歴史、心理、宗教、哲学、文化、地理など。
一方で社会科学は、政治、法律、経済、経営、社会学とあります。
調べると人文科学とは「人間の内面が作り出したモノ」を研究する学問、社会科学は「人間と人間の関係から生み出されたモノ」を研究する学問とありました。
人文科学の哲学や宗教学は、社会科学の要素もある気がします。
歴史でも近現代史はある種、社会科学でしょう。というか学問かどうか保留したくなります。
心理学は、人文科学と社会科学、さらに理系の要素もあって、文系か理系かの分類さえできない気がしています。

そう言えば、1年前に理系の人種キャラクター分けをして記事にしていました。

ともかく、文系学問の分類には諸説あり、はっきりと分けられないようです。
より実用的でない、つまり生活に役に立たないほうが人文科学と言えるでしょう。

いずれにせよ、文系は理系と違って「明解な」答えが存在しない学問だと思っています。この「明解か」「明快か」のような、何らかの文系的命題を「明快に」証明することは常に難しいのです。

そして、これら文系的話題について人と語り合う時、ボクは人文科学よりも社会科学のほうが、難しさと気持ち悪さを感じてしまいます。
文学や歴史より、政治や経済について語り合うほうが何かとメンドくさいことになりやすいのです。
時にはお互い熱くなったり、気まずくなったり、誤解を生んだりすることが多かったように思います。

なぜそうなるのか。
第一に、対立構造を生みやすいからだと思っています。
政治は特にそうです。資本主義か共産主義か、リベラルか保守か、護憲か改憲か、死刑廃止か存続か、などです。一部は法学も絡んできますね。
経済も、積極か緊縮か、リフレか反リフレかのベクトルがあります。
経営も、経営者側か雇用者側か、株主優先か社会還元かの立場があります。
人文科学にはそんな対立構造がありません。

そして、それら対立した概念はたいていが生活基盤の保障に関わることなので、余計に厄介なのです。
つまり自分と反対意見だと、自分の生活を脅かされる危険性を感じ取ってしまい、反対意見を受け入れることが難しくなります。
さらに反対意見を「敵」と見なしてしまい、何としてでも潰さなければならない気持ちに駆られてしまうのです。
(なので同じ国の国民同士のほうがイデオロギーの対立が激しくなるはずです)
つまり対立した価値観を認め合うことができず、敵味方という構図ができやすいのです。
人文科学だと、敵味方にはなりません。例えば、より偉大な人物は織田信長か徳川家康かでは、生活を脅かされることはないからです。(尾張と三河の観光業界同士なら敵対するか)

さて社会科学を論じる難しさの二点目は、少ない情報や浅い視点でもそれなりの議論と判断が可能で、どのレイヤーからも、どんなリテラシーでも参加できるため、より複雑になりやすいという難しさがあると考えています。
例えば経済について、難しい現代理論は知らなくても、生活に密着する卑近なことからでも十分意見が言えます。そして意外にそれに強い論拠があったりします。
となると、どのレイヤーで議論し合っているのかが分かりにくくなります。
深さが全然違っていると、衝突したときにプライドも入ってくるので厄介です。
浅めかと思って緩いボールを投げると、バカにするなとけっこう速いボールが来てしまい、こちらも負けずに強く投げすぎたりして、ギクシャクすることがよくありました。
最初から速いボールを投げても、キャッチしてもらえず、気まずくなることもあります。

一方で、人文科学は生活基盤に関わっていません。
文学や歴史などは生活の肌感覚からは議論参加することはできません。
敵味方を生まないので、議論の潰し合いにはなりにくいのです。
平和に語り合うことができて安心です。
ボクの記事も人文科学的な考察記事が多いはずです。
社会科学的なことは苦手なのかもしれません。コメントも上手く書けないことが多い気がしています。
もし学生時代に文系を選んでいたら、人文科学系へ進んでいたことでしょう。
生活の役には立ちませんが。

つい数年前、会社の人たちと話していた時に失敗したことがありました。
有名大学の経済学部出身の人が経済の話をし始めたので、ボクも知識は浅いのですが、マウントを取られまいと流行の現代貨幣理論やらピケティの話をしたら、知らなかったようで、その人に恥をかかせてしまいました。
その人の部下の前だったこともあったのも厄介でした。
それから彼は、ボクに何かとマウントを取りに来て、かなりメンドくさい思いをしたのです。

知識でマウント取ろうとしてもロクなことにならないと、わかっちゃいるけど、やってしまいます。マウントを取られたら、取り返したくなります。
知っている知識は披露したくなります。それがどう思われるか、どんなことを引き起こすかよく考えずに。
50を過ぎて、いい加減、学習しないといけません。

そんな空気の読めないあたり、やはりボクが理系だからかもしれません。
文系でも、好きだけど生活には何の役にも立たない人文科学なんて選ばなくて正解だったのです。
社会で役に立つ工学を選んだからこそ、いろいろ物質的経済的に得られるものがあったのでしょう。
おかげで余裕も手に入れて、その時間で好きな人文科学について読んだり考えたりできたのです。理系を選んでたぶん良かったのだ。それではまた。

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