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 ひとりぼっちのヒヨドリ 最終話


     前のお話 ➡ ひとりぼっちのヒヨドリ その32話


あれからひよちゃんは、
昼間は呼んでも来なくなってしまった。

きっと昼間ここに来たら、
ひよちゃんのテリトリーだったこの庭を横取りした
あのカップルにいじめられるからに違いないと思う。
   ((+_+))


薄暗くなりかけた頃を見計らって縁台に
コーンと、刻んだリンゴとレーズンを
それぞれ別のお皿に入れて置き、
ヒ ヨ  と呼ぶと

何と!
先にいつものカップルが連れ立って来て、
ひよちゃんの為に用意した餌を
食べようとする。

   あんたたちは元気なんだからさ、
   ひよちゃんの餌を横取りしなくたって
   充分満腹してるんじゃないの?  (; ・`д・´)

と、この幸せなヒヨドリカップルが腹立たしい。


ガラス戸を ドン!とやって追い払うと 
すぐひよちゃんはやって来て、
レーズンを3粒だけ食べて
(やっぱりカロリーの高いものがいいのかな)
今日は飛び去らずに、
そこから5m程離れた所にある
自分が生まれ巣立ったコブシの木の枝に
丸く小さくなって座り込んだ。(´゚д゚`)

   え?どうしたの!
   疲れてもう飛ぶ元気も無いの?
     

もう、胸が潰れそう。


  この手で保護して餌を与えることができたら・・・・


  もっと手懐けて
  この手からエサを食べてくれるように
  しておいたら良かったのかも・・・

  今更どうしてやりようもない


後悔に囚われて
涙ぐましい思いで見ていると、
数分間そこで休んで、
暗くなりかけた庭を横切って
いつもの方角に飛び去った。


翌日も、その翌日も
同じようにコブシの木で暫く座り込んでから
いつもの方角に飛び去って

  ・・・・・・・
    ・・・・・・・・

それっきり来なくなってしまった。



   ひよちゃんは
   きっと力尽きて死んじゃったんだ。


   そうは思いたくないけどきっとそうなんだ。
       

      (ノ_-。) 



  ~~~~~~~~~~~~~ 
     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ひよちゃんが来なくなってから数日後、
例のカップルと思しき2羽のヒヨドリが
電線にとまって私を見て、
ピチヨピチヨ と声を揃えて鳴いていた。

   ひよちゃんもよくあんな風に私に向かって鳴いたっけ。 

   やっぱりあの鳴き方は
    「なんかちょうだい」
   っていう意味だったんだ。

「なんにもあげないよーーー」と言ってみたら、
まるで
意味が分かったかのように連れ立って飛び去って、
それっきり
この庭は寂しくなってしまった。


あれからもう2か月余り。

   ひよちゃん、
   今年の繁殖期はもうすぐだから、
 
   今度は必ず丈夫なヒヨドリに生まれ変わって

    ・・・・・

   そうそう、
   ヒヨドリって営巣して卵が産まれて
   孵化してそして巣立ちするまで、
   わずか1か月程なんだ!
   元気なメスヒヨに育って、
   また 
あの時 みたいに
   「なんかちょうだい」って
   この庭においでよね !

   今年は庭のブルーベリーがいっぱい実を付けたよ。
   ひと月も経てば黒く実るから。

    

    待ってるからね!


    お わ り


  つぎは生まれ変わって来てくれた猫ちゃんの話です。
  これも実話です。
  
  どうぞよろしく。



   
  

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