見出し画像

【ネタバレあり】攻殻機動隊 SAC_2045 シーズン1-1:NO NOISE NO LIFE/持続可能戦争【感想・考察】

本記事は、Netflixで配信中の「攻殻機動隊 SAC_2045」についての感想・考察記事です。
事前情報なしでアニメを楽しみたい方は閲覧に注意してください。
記事のトップ画は公式ホームページから引用しております。

0.本記事について

本記事では、1話ごとにそれぞれの内容について、見た感想や考察を記載したいと思います。
筆者はすでにシーズン1を全話見ていますが、1話ずつ、見た際の感想や考察、感じたことを、過去作なども踏まえながら記載していきたいと思います。
「こんなところもあったよ!」や、「ここはこういう意味なんじゃない?」みたいなものがあれば、コメントに記載いただければと思います。

1.オープニングテーマ

まずは初めということで、本作のオープニングから。オープニングテーマは「Fly with me」。音楽のことは疎いので、下記にまとまっている記事があるので参照して頂きたい。非常に面白い記事となっている。

ここでは別の視点から。攻殻機動隊が初めて映像化された「Ghost in the shell」や映画版の続編「イノセンス」においても、オープニングの背景は主人公である少佐の義体を制作するシーンが流れており、今作でもそれをオマージュしていることがわかる。それでいて、音楽や少佐の容姿も相まって、本作が作られた現在、もしくは作品そのものの時代背景の移り変わりを感じられる作りとなっている。

2.イントロ

これもシリーズおなじみ、イントロとして今作の時代背景となる2045年までの状況、特に今作のテーマとなる「サスティナブルウォー」について、簡単な説明がある。全文を書き起こしてみる。

2042年・・・
Great4(米帝、中国、ロシア、ヨーロッパ連合)は互いが”ウィンウィン”になる持続可能性を模索していた。

米帝は人工知能、通称「コード1A84」を使用し、

世界はのちに
サスティナブルウォー(持続可能戦争)と揶揄される
”産業としての戦争”をスタートさせた。

しかし、各国が自国の利益のみを優先させようとしたことから
その後世界は深刻な事態を迎える。

2044年・・・
全世界が同時デフォルトし、各国の金融機関は取引を停止。
紙幣はただの紙くずとなり、
仮想通貨や電子マネーはネット上からすべて焼失した。

これをきっかけに、”産業としての戦争”は急速に激化し、
先進国においても暴動やテロ、独立運動、
国を割っての内戦が勃発し始めた。

サスティナブルウォーは緩やかに、
だが確実に人類滅亡に向かって拡大しつつあった。

そして2045年、現在・・・

「攻殻機動隊 Stand Alone Complex」は2030年~の世界が舞台であったため、あれから15年の時が経過し、残念ながら世界は荒廃の道を歩んでいるように感じられる。
恐らくネット世界が拡張し、物理的な消費が冷え込んだ社会への解決策として、戦争ごっこによるモノの消費を促そうとしていたのだと推察される。しかしながら、当たり前の帰結ではあるものの、各国が自国の利益のみを考えはじめ、戦争ごっこに収集がつけられなくなり、負債が拡大。世界同時デフォルトになった、という話だと思われるが、この辺りは追々語られるところだろうか。

シリーズの流れを踏まえると、攻殻機動隊、特にSACシリーズで描かれる世界は「SFでありながら、現代と地続きで繋がっている未来」であり、テクノロジーなどは進歩しつつ、人の生き方や社会構造はそれほど大きく変わっていない、という信念がある。

SAC1では2030年の世界を描きながら、問題の根底は薬事法改正に絡む既得権益の問題であったり、SAC2では移民問題についてであった。

もし今作も現代から地続きの未来が描かれているとすると、この時代に起きている問題としては「AIの進歩による”シンギュラリティ”」が考えられる。イントロ冒頭でも「米帝のAI」がサスティナブルウォーを提言しており、AIでは考えられなかった何らかの問題が生じ、世界同時デフォルトに追いやられている。
各国が自国の利益を最大化、優先することはAIであれば当然考えられる状況でありながらも、戦争ごっこがごっこで終わらなかった要因を想定すると、AIによる裏切り、もしくは2042年のAIでは想定できなかった問題が生じた、ということが考えられる。特に、AIのシンギュラリティが生じるのは2045年前後と言われており、現代から地続きの未来という信念を踏まえると、シンギュラリティは今作の鍵になってくることが推察される。

3.イントロ後~戦闘前

いきなり少佐の登場。少し可愛くなっている(義体の問題)が、懐かしい声とウィットにとんだ言い回しで、非常に安心する
タイトルである「NO NOISE NO LIFE」は、何かしらの無線が飛び交う社会は当たり前であり、それらのノイズを感じ続けることは生きることに必須である、すなわちネット社会はいまだ健在であることが分かる。そんな当たり前の社会があるからこそ、ノイズが無って素晴らしい、永遠に続けばいい、と冒頭で揶揄している。永遠という言葉も、タイトルにあるサスティナブルウォーから引用していると思われる。

攻殻機動隊のタイトルは英語/日本語で記載されているが、意味は関連しているものの訳としては繋がっていないことが多い。それぞれに別の意味を持たせている。
1話では世界の状況が記載されており、人々が感じている状況、電脳化によるネット社会と、今作の主題となるサスティナブルウォーが紹介されている。

そして、後ろに積まれているのはタチコマ!
ちょっと小さくカスタマイズされているようで、お行儀よくちょこんと収まっている。
少佐と合流するトラックにはバトー、イシカワ、サイトー、そして新人であるスタンダードの4人と、兵装が積まれたタチコマ2両である。
この中だと少佐との付き合いが最長なのはイシカワであり、公安9課時代よりも更に少佐への軽口が増している。

そして、スタンダードが今作の新人であるが、その分かりやすい名前以上に”オモシロ”というあだ名をつけられ、文字通り今作のオモシロ枠であることが確定する。頑張ってくれ、オモシロ。

4.ノマドとの戦闘

BBQをしながらブリーフィング、なんてことは特段語られていないが、SAC2の1話でも、ブリーフィングをした後、作戦未開始であればヌードバーでヤケ酒、などと語っており、ブリーフィング×酒、というのは鉄板の組み合わせであることが分かる。

脳潜入とは、少佐の頭の中の電脳空間にみんなで集まってブリーフィングということ。で、アルコールを飲むと電脳空間がやや歪む(酔っぱらう)ため、バトーは少佐がすでに飲んでることにすぐ気づいた。もちろん彼女らは義体、電脳であるため、酔ってる気分を味わえるような設定になっているだけであり、それらをオフにすればこの歪みも解除されるはずだが、要は少佐はノマド(=フリーランス)相手に舐めプしようとしているのである。

ノマドに対し、イシカワが「サスティナブルウォーの加害者を気取った被害者」と形容したのは、彼らがサスティナブルウォーによって崩壊した社会の中で自由に生きているように見えながら、その実、そんなものが無ければそこそこまともに社会に順応してたであろう、時代の流れに良くも悪くも乗ってしまったモノ、という意味だろう。

戦闘中はオモシロ君がタチコマたちに嘲笑されているが、タチコマによる新人いびりは今に始まったことではないので、暖かく見守ってあげよう

その後、死人を出さずに少々痛い目を見せ、説教して解散。上記のように、彼らもまた被害者であり、世界中の情勢が伺える。

5.トグサパート

なんとも懐かしいケミカルでギラギラした街並み。Aパートを見ると、世界は衰退しきっており、こんな風景はさっぱり無くなっているかと心配してしまうが、「NO NOISE NO LIFE」のとおり、このような景色はまだまだ残っているようである。
そして懐かしのトグサ。後輩くんとの会話や状況から、トグサが所属しているのは警察組織ではなく、また少佐たちとも別行動していることがわかる。

ここではセリフなどは無いが、トグサが上っているのは”暗くて狭い階段”であり、これは原作の漫画版やイノセンスでも出てきたシーンである。その際はバトーとツーマンセルで、上から手りゅう弾が降ってきて死にかけるが、現在トグサが捕まえようとしている人間はそこまで危険ではないようだ。その証拠に、銃も”平和的な構え方”をしており、銃口を上に向けながら、対象者が奇襲してくることを想定していない。
そして、この時点で察しがつけばすごいが、大きく映る左手には結婚指輪が見当たらない

無事、期待通り暴れる犯人を制圧した後、コーヒーを飲んでると、荒巻(課長)からの電話が突然なる。
ここで、トグサが離婚したことが判明する。とともに、トグサが言う「情報はやい」とは、原作、およびSSSにてトグサが言っていた「情報ふるいぞ」の対義語になっていると思われる。元警察官だった彼にとって、情報の鮮度は非常に重要なことであり、相変わらず仕事が早い荒巻を最大限称賛する言葉であろう。

荒巻は内務省(外務省の対義語として、国内を管轄する全府省庁の俗称)で出世したようで、SSSでは痛々しく引き摺っていた片足も、杖こそついているものの、大分よくなっていそうである。
また、荒巻が見上げる歴代総理の肖像画として、SAC2で登場した茅葺の肖像画が飾られている。現総理の1つ前に飾ってあることから、茅葺政権はだいぶ長かったことが推測される。
また、現総理の容姿は明らかに日本人ではなく、今の日本に何かしらの変化が生じたことが推測される。茅葺は、アメリカ、中国双方と適度に距離を保ちながら、日本としての独立を維持しようとしており、現在の総理に対してその政策がどのように引き継がれているかが非常に気になるところである。

6.最前線の街

引き続き少佐たち。
G4とは、イントロで出てきた4か国。要はサスティナブルウォーの首謀国たちである。
バトーは紙に包まれた食べ物(屋台の看板にあるホットドッグ?)を、少佐はリンゴを手に取る。何かの見間違えかと思うが、リンゴは1個25$で、しかもSALEとか書いてるあたり、だいぶサスティナブっている。バトーの方は3個で1,000$。こちらもサスティナブっている。冒頭書いた通り、サスティナブルウォーの影響でモノが希少化し、物価が高騰しているのだろう。

少佐は、リンゴを見ながら、奥の女の子たちが気になる様子。少佐は女の子好きであり、謎の電子音の後、彼女らがリアクションしていることから、少佐から女の子にちょっかいをかけていたことが予想される。結局、直接的に話しかける様子などはなく、思わせぶりな態度を取られた女の子たちは地団駄を踏んで悔しがっている
少佐の女の子、ショタ好きは彼女の生い立ちに理由があるが、一旦置いておく。

7.作戦開始

司令官らしき人物の怒鳴り声が響き渡る。彼が怒っているのは、合流予定だったノマドが待っているのに来ないからである。”なぜか”と言っているが、理由が無いなんてことはないので、この時点で彼らは警戒するべきであった。それが無い時点でも彼らは素人であることが分かる。

そして謎の人物”オブシディアン”との通信。オブシディアンとは黒曜石を意味しているらしいが、そこにどんな意味が込められているかは詳しくわからない。

熱光学迷彩に気付かないあたり、やはり彼らは素人である。
内偵に入っていた人物と合流するが、会話の内容から彼は別の組織の人物であり、少佐たちのチームメンバーでないことが分かる。

何度も出てきている”レイド”という単語だが、英語元来の意味である「強襲、急襲」であろう。

そして、唯一の不確定要素であった謎の箱が番犬ロボであることが発覚。オモシロが「ドジったな、お前」と怒っているものの、内偵者が番犬ロボに気付かない、報告を怠るなんてことは考えられないので、意図的にこの情報を伏せていたことが考えられる。この時点でいろいろ怪しい。

8.エンディングテーマ

エンディングテーマは「sustain++;」。オープニング同様、下記の記事がまとまっているため、参照していただきたい。

こちらも別の視点から。正直、現時点でエンディングがどのようなストーリーになっているか、明確には分かっていない。
少佐が青いバラが入ったガラス容器と格闘している。上記の記事内より、このエンディングが人間関係をテーマにしており、少佐にとって思うところがあるバトーとトグサが登場することからも、少佐にとっての人間関係を描こうとしていると推測される。
青いバラの花言葉は「夢 かなう」とされているようで、ガラスのようなものに入った青いバラを粉々にしていることにどんな意味があるのか、作品の考察も含めて、今後考えていきたいと思う。

9.最後に

今後も1話1話、感想・考察記事を上げていきたいと思います。冒頭にも記載した通り、ここにはこんな意味があったんじゃないか、ここの考察違くない、みたいなものがあれば、たくさんコメント頂けると嬉しいです。
とても長くなってしまい、最後まで読んでいただけた方には感謝申し上げます。

もし楽しければ、スキを押してもらえると励みになります。
お読みいただき、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?