『ビジネスモデル2025』/長沼博之


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知り合いからお薦めされた本。非常に秀逸な内容なので、印象に受けたところをメモメモしておきます。

<共有圏の考え方>

https://www.newsweekjapan.jp/stories/assets_c/2015/11/webbShare151119-a-thumb-720xauto.jpg

あらゆるモノが共有の対象になっていく共有経済へ世の中がシフト。最早、「共有しないもの」が何かを考える方が大変かも。


<削減される取引コスト/付加価値の重要性>
メルカリこそ社会的な取引コストを削減するビジネス。納得。売る人・買う人・あげたい人・もらう人をこれらを全て繋いでいく。メルカリ系のCtoCビジネスは特化型としてどんどんはやっていくだろう・・・。ライドシェア系、lyftやuberもその一つである。目的が低コストで快適に達成しやすい形になると、「+α」の付加価値が意味を持つ時代になる。自動運転時代では、車の空間に価値が求められるとか。この辺りは「ただ食べるだけでは終わらない飲食店」的な発想に近いのかな。
言ってしまえばちょっと前から「効率重視」な時代になっているわけで、食事なんてガソリン補給・・・これは個人がそうしたいというよりもお店側が工場のラインのように効率化することで続々とやってくる人を捌き続けるんだ。

参照図:『燃料補給のような食事』/石田徹也
https://tetsuyaishida.jp/71843/gallery/gallery3/

<企業から個人へ>
企業文明から個人へとパワーシフト。例えば企業が行うレンタル事業はそこに関わる様々なコストを貸し出し費用に載せなければならないため、コストが高くなるが、個人が行う場合「空いているものを貸し出す」という発想であれば、その値段は下がるし、参加者が得をしやすくなる。今でよくあったNPOやソーシャルビジネスは理想論に過ぎなかったが、共有経済、取引コストゼロ社会はあらゆる産業、業界に広がり経済システムそのものを再構築する。⇨万能性を誇示する行き過ぎた企業文明が徐々に力をなくして、そのパワーは個人に降りてくる。


<これからの大企業>
(1)基本的人権を守るインフラ
⇨災害時の出動。こういうのは大事。
(2)プラットホームとしての企業
⇨生産工場などを「市民インフラ」といて提供。個人が自由に注文できるTシャツを作るなど。
Appleのデザインチームはたった18人。社内のシステム、ビジネス全体のシステムを広義にメンテナンスする仕事が大企業における雇用の中心となる。


<価値消費のピラミッド>
http://social-design-net.com/archives/24890/
価値消費の「買う」は氷山の一角になる。1つの製品を作る際に設備投資なし、材料費は安く、在庫も持つことがないことになったら価格は限りなく下げることができ、戦略上「ゼロ円」が可能になる。


<ビジネスモデルのパラダイムシフト>

これを見ていると、今後の未来は「小規模なチーム/もしくは個人」で世の中回っていくんだろうなあ・・・って。かつてはそのような世界で経済の発展で大企業が出てきて、また再び元に戻ろうとしている・・・そんな印象を受ける。
初期投資含めて思っている以上に安いコストで自分達が望むサービスの構築が可能。利用者が増えた段階でマネタイズに本格的に取り組んでいけばいい。
恐れや巧妙な仕組みを作って消費させるというのはかつて良く取られた方法だったが、ようやく世の中がまともな方向に動き出し「好きになってもらう」といったアプローチを取り商売することが普通になってくる。
そう考えると何が重要になってくるか?
一つは「企業の理念」じゃないかと。
巷で流行りのオンラインサロンはモノを提供するわけでもないのに月額1万円も売り上げられるのは「その人(組織)の理念共感している、関わりたい、応援したい」という気持ちがやはり強いのであろう。今までの世界観でいえば、あまりこのような考え方はしなかった。「周りも持っているから買おう」とか「新しい機器が出たから買おう」、これは裏を返せば、「周りに遅れるのは嫌だ」「不便なのは嫌だ」「そもそもTVCMなどで洗脳されてなんとなく買っちゃう・・・」みたいな流れになっている気もする。「応援したい!」仕組みが主流になれば、一つの大企業や政府の思惑にハマった流れが断ち切られ、「みんなが良いと思う世界」に繋がるんじゃないかな・・・と思う。
そう、ブランドって大事なんですよね。
地域密着型のJリーグチームとサポーターの関係を見ていると、「好き」の力は大きいと思う。サポータはホーム戦には足繁く通い、アウェイ戦にも時折(人によっては毎回)出向く。アウェイ戦の費用は、チケット代の10倍以上することもザラである。
そういう意味だと個人的にはいくら売上が上がるからといって、ガチャばかり出すのはちょっとやめてほしいかな・・・(欲しい人もいるので意見が分かれるでしょうが・・・)。どちらかというと、有料でもいいので選手とサポーターが触れ合える場所をもっと作っていければ良いのかなって思う。サッカー教室は良い施策だと思うし、大人になってしまった個人としては、大人向けにも普段のプレイ強度/スピードを体験できるイベントを作るとかね。サッカーの戦術の解説とかも選手本人から聞きたい。Jリーグチームはそういう意味だと一番未来のビジネス(「好き」を軸に)を行う上で一番大きなインフラを持っているなあって感じる。

<クローズドな企業は社会において隔離された存在になる>
企業が公共性とかけ離れた自己利益のための「知的財産の保護」という古いパラダイムに取り残された場合、そこは研究者の隔離施設になる。「どこをどのようにしてオープンにしていくか?」に21世紀の価値創造がある。
<リアルタイムマッチング/空の物流>
物流に限らず、既存の運輸サービスにどれだけ新しいテクノロジーを注入できるかが大事になる。ドローンにせよ、アプリによる運搬者のマッチングにしても。
<ネットワーク力による価値消費の最適化>
Peerbyのようにご近所からモノを借りるサービスがある。
Playのように何かに特化した継続課金モデルのレンタルは一定の評価も得られやすくて良いだろう。
日本は、「クラウドソーシング」などの新しいトレンドの取り込みは遅いが、広まるスピードは超絶的に早い⇨日本人の持っている他者の目、世間を気にする同質性が世界でも稀に見えるスピード感を生む背景になっている。

ここからは書籍の内容を受けて思うこと。


<コミュニティに参加するマインドの重要性>
「これからの時代にあったら便利なスキル」は「道端に歩いている人、カフェで隣に座った人」に気軽に話しかけるスキルだ。スキルというよりは、必要なのはマインド。もちろんリアルな世界だけではなく、ネット上で、100万人フォロワーのインフレンサーだろうが、新進気鋭の経営者や可愛いアイドルであったとしても、普通に話しかけるマインドが必要だと思う。多分こういう認識を徐々に持ち続ける人が増えていることもあって「恋愛工学」の人気が上がってきているのだと思う。恋愛工学の本質はナンパといてのスキルというよりは、コミュニケーションのマインド/スキルだと捉えている。コミュニケーションスキルのマインドという観点では、「50声掛け/すぐ次に行くマインド」は非常に大事かと思う。「恋愛工学の教科書」の著者であるゴッホ氏は「ナンパをして早くゴミみたいな扱いを受ける経験が必要」と説く。確かにその通りで、私も散々声かけては「ガン無視」「何とか連絡先は交換したけど返事がこない・・・orz」みたいな経験ばかり。ただそのようなことを繰り返していると「傷つかない心」は形成されつつある気がする。最も私の場合、ゴールに至っていないので恋愛工学的には全然ダメな感じですが(笑)。数もそうだけど質を上げないといけない。自分自身の質と会話の質・・・全ての質が今は足りない。

<複数のコミュニティを持つ重要性>
個人が所属とかに頼らずに、ネットワークに参加、時に作り出すことがこの時代を生きる上で大事なのではなかろうか?会社や家族ではなく、ゆるいコミュニティー・・・。これはphaさんが提案している生き方でもありますね。イベントやオンラインサロンとか、ツイッター上の繋がりとか、何でもいいけどとにかく「複数」という鍵になりそう。ぶっちゃけ学ぶ場や働く場所だって複数にしたい。もっというと住む場所や家族だって複数いてもいい。とにかく分散することであらゆるリスクを軽減したい。それが生きやすさに繋がるといいなあと思っているし、少なくとも自分はこれからそういう生き方を目指して活動していくのだろう。

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