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生徒が支持を聞かない…。それ、"ことば"の問題かも?
けい先生です。新学期が始まりました。もうドタバタで、「note読む暇なんてないよ!」という世の先生方ばかりだと思います。「こんなに忙しいのに、何で生徒は分かってくれないのか?本当にあいつらときたら…」と、生徒にぷりぷり怒る前に、一度立ち止まって考えてみたいと思います。
それは生徒の性格の問題である以前に、基本的な日本語の知識や運用能力が十分に身についていないからかもしれません。
1.自分は日本語話せてる?
ここで、現在の私自身を振り返ってみたいと思います。私はまことに貧弱な日本語話者です。国語教師なのに。新聞を毎日読みますが、ところどころ分からない単語が出てきます。日本語の難しい本や論文を読むと何が書いてあるか分からず、読み切れない本が積み上がります。仕事柄、大量の文章を書かなくてはなりませんが、うまく書けずに直してばかりです。そして、古文書はほとんどと言っていいほど読めません。
それでも、少しですが、母語である日本語を勉強をすることでできるようになったことがあります。
パートナーを得ることができた。
同僚に正確に意図を伝え、物事を進行させることができるようになった。
困っている人の問題を理解し、アドバイスができるようになった。
よい文章の見分けがある程度できるようになった。
いい本がどれか分かるようになった。
辞書や注釈を頼りに、活字であれば古典が読めるようになった。
結婚できたことが、ことばを勉強していて一番メリットがあったことですね。(厄介なパートナーでしたが)コミュニケーションを取り、お互いの思いや妥協点を確認し合って良好な関係を築くのは、本当にことばの力だと思います。
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2.分かりやすいことばで
さて、何の話だったか・・・。そう、言うことを聞かない生徒の話でした。
私は初任から6年間、貧困家庭の生徒も多く来る定時制高校で勤務しました。その際に、生徒の問題とされる言動が、じつはことばの問題ではないか、ということを強く感じました。つまり、自分が所属しているコミュニティで生まれ育って、そこで使用されていることばを習得しているので、高校で使用されている難しいことばを、理解したり使ったりすることがうまくできないのです。いわゆる「きたない」ことばを日常的に使うなどについては、性格や資質・能力の問題とは切り分けて考える必要があります。実際、優れた才能を持っている子はたくさんいました。
学校の中ではまず、授業がことばのトレーニングの基礎になります。これは国語に限らず、どの教科でも教えることができます。
まずは、「分かる」授業を心がけてください。
難しい理論の話をしているのではありません。われわれ教師自身が、自分の日本語は、本当によい日本語かを振り返ってみる必要がある、と思います。東京帝国大学講師だったラフカディオ・ハーン(小泉八雲)は学生に話す際、ゆっくり、学生が聞き取れる速度で、正確無比な英語で語りました。講義録が角川文庫で出ているので、ぜひ読んでください。私が心がけているのは次の通りです。
ゆっくり、はっきりとした発音で話す。
授業の構成を明確にする。
教師・生徒間のことばのやりとりを大切にする。
子どもたちのさまざまな言語活動を授業のなかで保障する。
「教師は話がうまくなければならない」。まずは、自分からです。よい日本語を学び、使っていきましょう。
けい先生はすべての記事を無料で公開し続けます。