肩書き、かたがき。カタガキ...③

「芸名を加藤ツッコミNo.1にするわ。」

改めて言おう。僕は正統派の漫才師になりたくて芸人になったのだ。

僕は止まらない。

「あとマジシャンに弟子入りするわ。」

もうこうなったら正統派漫才師云々ではなくなってきている。

１年目でコントをしていたり、キャラ漫才をしていたりと雲行きは怪しかったもののなんとか芸人という括りではあった。しかしどういう事だろう。自分がキャラものになりしかもマジシャンになるというのだ。

NSCに入る事を決めた時の僕がドラえもんの道具で未来を見にきたら漫画でしか見た事ない「どひゃー！」と言ってひっくり返るんじゃないだろうか。

こうして僕はプロマジシャンの巳碧さんに指導を仰ぐことになり、「加藤ツッコミNo.1」という名前のマジシャン芸人になった。

コンビでの活動はもちろん継続し、舞台でのネタは漫才、営業ではマジックをするという日々の中、自分で決めた「加藤ツッコミNo.1」というキャラクターもものに出来ず、相方のマッチョキャラを活かすことも出来ずあえなく解散。

そしてピン芸人となり、劇場には出演せずマジシャンとしての営業を中心に活動中である。そんな中コロナもありイベント等の開催が激減し、ほぼうどん屋のアルバイトの生活をしている。

一番最初の娘の問いに戻ろう。

「パパはなんのお仕事してるの？」

答えに困った自分がいた。僕は何者なのか。何してる人なのか。

肩書きにこだわるつもりはないが、自分の中では全てをひっくるめて芸人なのかなとは思っているのだが、いざ聞かれると答えに困る。たまたま娘からの質問だったので全力でうやむやにしたが。

次娘にもう一度聞かれた時に堂々と「芸人だよ」と答えられるように自分の中のモヤモヤをなくしておきたいところだ。