若者の結婚事情〜息子の伏線回収
先日不意に息子から言われた。
「もしかしたら一生結婚しいひんかもしれんけど、それでもいい?」
「…いいよ。そんなんユウタ(息子の名)の自由やん」
「ほんま?孫が欲しいとかない?」
「ないない、そんなんないよ。結婚しようがしまいが、ユウタが幸せであることがいちばん大事よ」
そうは言ったけれども私は、息子は今の彼女のことをそんなに好きではないから、今は(誰とも)結婚しようと思えないと感じているのではないかなと思った。
(ちなみに孫の顔が見たいといった気持ちは全くない。現在孫は1人いるが、はっきり言って孫よりも娘と息子のほうが何倍も大事でかわいい)
息子は今の彼女とは付き合って3〜4年になると思う。実は息子は昨年彼女に別れ話を切り出したらしいのだが、彼女が「嫌だ」と言って泣いたらしく、結局別れられなかったらしい。(我が息子ながら優しいなと思った。優しすぎるんじゃないか?)
その後、勤め先の同僚や先輩に相談したらしいのだが、彼らは「べつに別れなくてもいいんじゃない?そのうちまた好きになるかもしれんし」と言われたらしく、ズルズルと付き合っているようなのだ。
息子は彼女と結婚する気はないのだが、彼女の方は息子と結婚したがっているらしい。
私は老婆心ながら、女性は出産出来る年齢が限られているので、結婚する気が息子にないのなら、彼女のためにも早く別れてあげるのがよいのではと考えている。しかし、息子ももう大人なのであれこれ言いたくない。ただただ悶々とするのである。
【結婚しいひん】と、そういえば、息子が5歳のときもいきなりそう言ってきた。訊いてもいないのに。
息子は幼少期、とても精神年齢が高いと感じることがあり、突拍子もないことを時々言ったものだった。
「悪いけどユウタ大人になっても結婚しいひん」
「…そうなん?悪くはないよ。何か理由があるん?」
「うん。旅に出る」
「…そうか、じゃあ英語習っとくか。旅ってきっと海外のことやろうから、旅に出るなら英語は必要やで」
私がそう提案したら、息子は数秒間考えて、英語を習い始めることにのってくれた。
早くから習い始めたおかげで、息子の英語の成績は中学高校とずっと良かった。
けれども大学は理系に進み、英語からしばらく離れていた。それがずっと気になっていたようで、先月会社を辞めてワーキングホリデーに行くと言い出した。【旅に出る】のだな。
願わくば、息子がワーキングホリデーに行っている間に彼女を傷付けずに自然消滅的になってくれないかなと密かに思う。
なんなら海外で恋愛したっていいじゃん。外国人でもいいし日本人でもいい。とにかく本当に好きなひとと付き合ってくれと願う。
5歳のとき、あんなふうに息子は言っていたが、小学校に上がってすぐの頃、
「やっぱユウタ結婚するかも!だって今のクラスの女子、普通に優しいもん」
と言ったのだった。
旅が終わる頃、また優しい女性に会えますように。